進展
「では、お話合いの方もお付きした様ですし、
こちらの土地と建物を、シュウ様の方で御購入をして頂くと
いう事で宜しいですか?」
話の成り行きを傍らで見守っていたイイネが尋ねる
「おう!俺が両方とも買うって事で手続きを進めてくれるか?
そう言えば、まだ聞いて無かったんだけどよ、
ここの土地と建物って両方合わせて幾らで買えるんだ?」
イイネに返事を返したシュウは、
まだ購入金額を聞いていなかった事を思い出し、そう尋ねる
「はい、こちらの土地と建物は、
両方を合わせまして500万ギルとなって居ります。」
「ここら辺の土地とかの相場ってのを、俺知らないんだけどさ、
この場所で800坪もあるんじゃ
その金額ってのは破格なんじゃ無いのか?」
「はい、通常でしたら、
その十倍のお値段でしてもお安いと存じます。」
「そんじゃ何で、そんなに安く売ってくれるんだ?
商業ギルドの売り上げに貢献してるからって、
俺やケンに気を使ってくれてんなら、
それ程、気にしないで普通の金額で売って貰っても良いんだぜ?」
「いえ、当ギルドに多大なる御貢献を頂いてるシュウ様やケン様への
サービスなどは吝かでは無いのですが、
今回に関しましては、元々この御値段での販売となっているのですよ」
「そうなのか?ホント、俺やケンに気を使ってとかじゃ無いのか?」
「はい、この土地と建物は、
件の呪い騒動にて全くを持って買い手が現れず、
御覧の通りに建物の方は大分傷んでおりますし、
当ギルドと致しましても、
季節ごとに庭の手入れで人手を入れるだけでも、
大きな費用が嵩んでおりましたので、
売り上げは二の次にて、この値段が付けられていたのですよ」
「でも、呪いの真相ってヤツが分かったんだから、
もっと売値も上がるんじゃ無いのか?」
「いえ、その真相をお解きになったのはシュウ様方ですからね、
シュウ様方が現れなかったら、ここは何時までも不良債権として
当ギルドの予算を圧迫し続けたのですから、
500万ギルにて、シュウ様に御買い上げを頂くという事で
問題は御座いません。」
「まあ、イイネさんが、そう言ってくれるなら、
俺の方は喜んで買わせて貰うんだけどよ、
だが、あれだな、迷惑だらけだったマリモの行動の中で、
この件に関してだけは唯一、俺に対する得が発生したって事で
評価してやっても良いかもな」
「まあ、それ程でも有るのですよ!エッヘン!」
「お前、あんま調子に乗ると社の屋根の上に
金色のウンコの形したオブジェを据え付けるぞ?」
「そ、それだけは勘弁して欲しいのです!」
「ハハハ、冗談だよ冗談、
お前には、俺が再び、この街まで帰って来るまでの間、
この場所を守っていて貰わなきゃなんねぇんだからな、
約束通り、カッチョイイ赤鳥居を造って建ててやるからよ、
期待して待っててくれて良いぜ。」
「分かったのです!
マリモの神格が一気に激上がりする様な
立派でカッコイイ鳥居が出来上がるのを期待するのです!」
「おう!俺とケンに任せろ!
そんじゃ、イイネさん、
早い事、館の方の修繕にも入りたいんで、
急ぎで契約手続きの方を進めて貰っても良いか?」
「はい、もし御時間の方が宜しければ、
このまま御一緒に当ギルドまで御足労を頂きまして、
契約の御手続きの方を御進めさせて頂きますが如何でしょうか?」
「おう!俺の方は全然問題無いから、
お金の支払いの方まで手続きを進めて貰って構わないぜ。」




