祈願
「土地神様ですか!?」
「私、初めて神様と直にお会いしました。」
「こんな、チンチクリンがホントに
カミサマなのか?」
シュウの言葉を聞いた3人は、
それぞれ3様の感想を述べる
「そうなのです!
マリモは本当の本当に、この地の土地神なのです!
と~っても偉いのです!・・・よ?」
「なんで、自分で疑問形なんだよ・・・」
「シュウ兄ィの扱いが、
ぞんざい過ぎるからじゃないの?」
「そうなのです!
シュウは、女神様の御寵愛を受けているというのに、
神族に対する敬いの心がゼンゼン足りないのです!」
「えっ?俺って、
女神様の寵愛とやらを受けているのか?」
「そうなのです!
シュウとケンからは、女神フェルナ様からの
御寵愛の気配がプンプンと臭って来ているのです。」
「俺たち兄弟が臭ってるみたいな事いうな!」
「そうだよね、せめて漂ってるぐらいの表現に
して欲しいよね」
「やはり、お二方は只者では無かったのですね・・・」
「はい、シュウ様とケン様が、
女神フェルナ様の御眷属で在らせられるとは、
驚きと共に、何か納得出来る様な気がします。」
「なんか、よく分からないけど、
兄ちゃんたちが、なんかスゴイってのは分かったよ・・・」
「それで、マリモと話したい事があるっていうのは、
何なのです?」
「ああ、それなんだけどよ、
今まで、この土地と館を買おうとした人達に
色々と嫌がらせなんかをしていたのは、お前か?」
「そうなのですよ、
あの者たちは、マリモとローズの思い出が
い~っぱい詰まった、この館を壊そうとしていたから、
マリモがバチを与えたのです!」
シュウの質問を聞いたマリモが、
エッヘンと胸を張りながら、ドヤ顔で答えた。
「ローズ?」
「シュウ様、ローズというのは、
多分、元々この土地と館の持ち主で在らした
ローゼシア様の事だと思われます。」
シュウの疑問に対し
商業ギルドの職員のイイネが答えを投げる
「ああ、なる程、
マリモ、そのローズって人は、
ここの持ち主だったローゼシアって人の事なのか?」
「そうなのです。
ローズは、ローゼシアで間違い無いのです。
元々は単なる地精であったマリモが、
普通では考えられないぐらいに早く
土地神へと昇神できたのは、
ローズが、毎日毎日たくさんの祈りを
マリモへと捧げてくれたからなのです。」
「祈りを捧げる?・・・ああ、
ローズさんが毎日、この社に、
旦那さんが無事に帰って来る様にとの
祈りを捧げてたのか・・・」
「そうなのです。
ローザは、年老いて動けなくなるまで、
毎日、一日とて欠かす事無く、
朝・昼・晩の祈りを続けていたのです。」
「それだけ、長きに渡って
一日も欠かさなかったってのは凄いな、
最後まで、旦那さんの事を愛していたって事
なんだろうな・・・」
「うん、たった一人の愛する人の事を、
死ぬまで思い続けたなんて凄いよね」
「はい、私も同じ女性として憧れます。」
「毎日の生活の中で、
亡くなった人との思い出は段々と色褪せるものだと
私は思っていましたが、
ちゃんと、残し続けられる方もいらっしゃるんですね」
「おれも、父ちゃんや母ちゃんたちの事を
ズ~ッと、わすれないようにしよ~っと」




