なのです。
「ってな訳で・・・おい!
社ん中に居る『誰か』さんよ、
ちょっくら外に出てきて、
俺達に話を聞かせてくんねぇか?」
謎の社に向かいシュウが、そう声を掛ける
「ええっ!?この御社の中に
何方かがいらっしゃるのですか?」
突然、社へと向かい声を掛けたシュウに対し
驚きの表情を浮かべながらイイネが問い掛ける
「この中・・・っていうか、
この社自体に宿ってる?的な『何か』の存在を
感じ取ってるって感じだな」
「うん、僕も、シュウ兄ィが感じ取ってる
『何か』っていうのが居るのは感じられるね」
「ケン様にも分かるのですね・・・」
「御社にいらっしゃるのなら神様的な存在の
方が宿られて居られるとかですかね?」
「オレには、ふつうの小っこいジンジャにしか
みえないけどな」
「お~い!居留守を使っても無駄だぞ、
俺やケンには、お前がソコで息を潜めて
ジッとしてるのが分かってるんだからな、
早い事、出て来て俺達と話をしないと
住む所が無くなっちまうぞ?」
シュウは、外出時には何時も自らの背中へと背負ってる
魔導リュックを傍らの芝生の上へと下すと、
その中から大きな木製のハンマーをスルスルと取り出し
社を叩き潰さんとばかりに振り上げるポーズを取った
『わ~っ!待つのです待つのです!
ちゃんとアナタたちと話をするから、
ワタシのおウチを壊してはダメなのです!』
シュウが大ハンマーを振り上げた途端
ポン!という小さな破裂音と、
ポワンという感じの小さな白い煙と共に
身長15センチ程の、見た目は10歳程度の年齢に見え
銀色のオカッパ髪に緑眼で巫女服という
日本人のシュウとケンからすると
外国人の少女がコスプレでもしてるかにしか見えない
少女が社の屋根の上へと現れる
その少女の頭にはピコピコと動く3角形のケモ耳があり
巫女服のお尻の辺りと思われる部分からは
キツネの様なモッサリとした白いシッポが突き出ていた
「ふん、お前がソコに居るのは分かってたんだから、
とっとと出て来て話をすれば良かったんだよ、
そうすりゃ俺も、こんな余計な手間を掛けないで
済んだのによぉ」
シュウが、大ハンマーを再び魔導リュックの中へと
戻しながら、そう愚痴を溢す
『ワタシのおうちを壊さないのです?』
「うん、僕もシュウ兄ィも大工だからね、
古くなってガタが来たとか、危なくでもならない限りは
建物を無暗に破壊したりとかはしないよ」
『む~、ワタシの事を騙したのです?』
「いいや、騙したんじゃ無くて、
戦略的な示威行為ってヤツだな・・・」
『せ、せん?じ、じいこうい?・・・む~
わざと難しい言葉を使って、
ワタシの事をケムに巻くつもりなのです?』
「まあ、その辺の事は取り敢えず置いといて、
俺達と少し話をしてくんねぇか?」
『む~、何か納得が行かないのですが、
約束なので話はするのです。』
「あの~、先程からのシュウ様とケン様の
御様子からすると、
お二方には、何らかの存在がお見えになっていらして
その存在と会話を交わされていらっしゃるのですか?」
「ええ、イイネさんが仰る様に、
確かに、そんな感じに見受けられますよね」
「兄ちゃんたちにだけ、なんか見えてんのか?」
シュウとケンの様子を傍らで見守っていた
イイネとラビ子、ウサ太らが、そう発言をする
「えっ?イイネさん達には、
コレの姿が見えたりとか、声が聞こえたりしてないのか?」
「皆の様子からすると、そうみたいだね、シュウ兄ィ」
『コレ言うななのです!
こう見えても、わたしは歴とした
この地を守る土地神の一柱なのですよ!』
「えっ?お前が土地神だって?
そりゃ地縛霊かナンかの間違いじゃ無いのか?」




