映像画面はカメアタマ工場製
「ところで、シュウ
さっき言ってた『ナンチャッテ暖炉』って何なの?」
ピョロピョ~ロがシュウに尋ねる
「ああ、それだったら、
あの、リビングスペースにある、
一見、暖炉に見える魔導具の事だよ、
密閉された地下空間で薪なんて燃やしたら
空気が汚染されて危険だから、
見た目には薪が燃えている様に見えながら、
実際には火魔法の魔石と、風魔法の魔石を組み合わせた
環境にクリーンな暖房設備なのさ」
「それって、普通の暖房用魔導具じゃ駄目なの?」
「私も、坊ちゃんと同じく、
暖炉の形に拘る理由が分かりませんな・・・」
「ああ、それな!
俺も専門家じゃ無いんで、
詳しい理由とかは説明出来ねぇんだけどさ、
何か、人って暖炉とか焚火で揺らめく炎を見てると
心が落ち着く作用とかがあるんだってさ、
俺やケンが暮らして居た国って、
夜になっても凄ぇ家ん中や、街中が明るくって、
今一、実感出来ていなかったんだけどさ、
この国に来て、旅の途中とかに夜営する機会とかが
あった際に、それが実感出来てさ、
今回のリビングにも導入したってところだな」
「ふ~ん、暖炉の炎に、
そんな作用があったなんて知らなかったなぁ~」
「私は、商会を経営して居た頃に、
シュウ殿の様に野営の経験がありますから、
仰ってる事は良く分かりますな」
「ハハハ、ピョロ君は、
昔の俺やケンみたいに、真っ暗闇の恐怖的な物は
経験する機会が無かっただろうからな、
俺が思うところ、
今みたいに道具や武器が発展する以前の時代に、
夜の闇に紛れて近付く野獣なんかから、
自分や家族、仲間なんかを守る為に焚いていた
焚火や、篝火なんかの記憶から、
安心感が湧いて来てるんじゃねぇかと思うんだよな、
実際に、火を嫌う魔獣なんかも多いらしいしな」
「なる程、そう言われると、
何か僕も分かる様な気がするよ」
「ええ、夜営の際に火を絶やさぬのは
旅をする者に取っては鉄則ですからな・・・」
「まあ、ナンチャッテ暖炉に関する説明は、
こんなもんにしといて、
次なる説明は、このリビングスペースで、
俺が一番、設置するのに力を注いだとも言える逸品
『100インチ魔導映写機』だな!」
シュウが、ババ~ン!という効果音が聞こえてきそうな
仕草とハイテンションにて、
皆の視線を、リビングスペースの壁面へと誘導した。
「この、大きな黒いのって魔導映写機なの?」
「私も、これ程までに大きな画面を持つ品は
始めて目にしますな、
それに、先程の坊ちゃんの執務室でも
気にはなっていたのですが、
この魔導映写機の薄さは・・・?」
「ああ、商業ギルドに頼んで開発して貰った
恐らく世界でも最大級ってクラスの物だな、
ちなみに、100インチっていうのは、
画面の長方形の対角線が2メートル50センチぐらいも
あるんだぜ!
それから、バトリャ~さんの疑問は当然の物で、
今回の、この魔導映写機は、
今までの品物と全く違った技術で映像が
映し出されているから、
恐らく、本体の薄さでも世界初なんだと思うぜ」
「へ~、世界最大で、世界一の薄さって凄いね!」
「はい、坊ちゃん
一体全体、どの様な優れた技術が注ぎ込まれて居るのか
非常に気になる所ですな・・・」
「ハハハ、流石はバトリャ~さんは、
元、大手商会の会長さんだっただけありますね、
商業ギルドとの取り決めで、
詳しい技術内容までは話せないんですけど、
簡単な仕組みの説明をするのは許されてるんで、
その辺を、ピョロ君とバトリャ~さんには
説明しますね・・・」




