リアルタイム
「へ~、魔導映写機を壁に埋め込んで
窓みたいに見せているのか~
シュウ達は面白い事考えるんだね、
でも、僕が知ってる映写機って、
もっと画像が荒くて、
実際の風景には見えない筈なんだけれど、
この、映写機の映像は自然に見えるんだね」
「ええ、坊ちゃん
私が以前、目にした事がある最高級品の映写機でも、
これ程までに鮮明な画像は見る事は出来ませんでしたな・・・
シュウ殿、この素晴らしい性能を持った映写機を
何処で手に入れられた物なのかなどを
お聞きしても宜しいでしょうか?」
壁に埋め込まれた魔導映写機の画像が
余りにも自然な景色に見えた為、
ピョロピョ~ロとバトリャ~が各々告げる
「ああ、コイツは市販されているモンじゃ無ぇんだよ
既製品の画質が今一だったんで、
商業ギルドのイイネさんに頼んで、
ギルドの商品開発部の人達に特注で造って貰ったモンなんだよ」
「わ~、態々この施設の為に造ったなんて、
シュウ達の仕事に対する熱心さって凄いね」
「なる程、新たに開発した物であれば、
私が目にした覚えが無くても仕方がありませんな、
しかし、これ程の物を特注で開発したとなれば、
その費用は、かなりのものと為ったのでは御座いませんか?」
「いや、一から開発して貰ったんじゃ
確かに、とんでもない開発費とかを請求されたんだと思うけど、
今回の場合は、開発のアイデアと、
画面部分の原材料となる素材を提供したからな、
今後の技術使用なんかの利権も含めて
商業ギルドがタダで造ってくれたんだよ」
「まあ、今後、このシュウ様方がアイデアを御提供下さった
技術が生み出す利益を考えれば、
全然、タダという訳では無いんですけどね・・・」
シュウの発言を、商業ギルドの担当として来ているイイネが、
そう補足をした。
「へ~、アイデアと素材はシュウ達が提供したのか~
うん、この映写機の画質を生み出せるっていうんなら、
確かに、イイネの所のギルドも損はしないよね」
「なる程、商品化するのを商業ギルドに
委託したという訳ですな、
それならば、お互いに利益となりますから
試供品的な品物を譲るという形で、
値段を付けずに提供するというのも頷けますな」
「まあ、そういった所だな、
それで、この映し出されている映像なんだが、
これを見て、何か気付く事が無いかな?ピョロ君」
「えっ?この画像を見て何か気付く事?
う~ん・・・どこかで見た事がある様な気がするんだけど、
どこで見た風景だったかな~?
爺ィは分かる?」
「はい、坊ちゃん
この風景は、屋敷の裏手を映し出したものですな、
最近は、このシェルター建設の見物で幾度となく
訪れましたが、
普段、坊ちゃんが御目にする風景は、
館の表側に限られますので、
お気付きになられなくても仕方が御座いませんな」
「あ~、館の裏の風景だったのか~
通りで何か見た事がある様な気がした訳だね」
「まあ、シェルターの建設現場を見に来るのに、
周囲の風景何て、別にジックリとは見ないからな、
ピョロ君が気付かなかったのも、
当然っちゃ~当然だよな、
バトリャ~さんが今、言った様に、
この画像は、屋敷の裏手を映し出しているモンなんだが、
予め録画した物を映してるって訳じゃ無くて、
シェルターの入り口部分に取り付けられた撮影機から
今の風景を映し出してるんだぜ」




