ヒーリング映像
「ピョロ君、バトリャ~さん、
この扉の表面に掘り込まれているかに見える
デザインが何か分かるかな?」
シュウが、豪華な細工が施された扉の方へと
右手を翳しながら質問をする
「うん、左右の扉に掘り込まれているのは
甲冑を着込んだ騎士たちだよね?」
「そうですな、坊ちゃんが仰る通りに
勇壮な騎士らに見えますな」
「正解!
でも、この騎士たちは掘り込まれて居るんじゃ無くて
実際には貼り付けられて居るんだぜ」
「木像みたいなのを造って、
扉の表面に貼り付けたって事?」
「なる程、それで、これ程までにも立体的に
見えているという訳ですな・・・」
「そう!その通り!
しかも、この騎士たちはタダの木像じゃ無くて、
ピョロ君に対して悪意を持った者が付かづくと、
扉から飛び出して、
そいつらを撃退をするゴーレム的なヤツらなのさ!」
「えっ!?コレらがゴーレムなの!?」
「なんと!シュウ殿、
これらがゴーレムだと仰るのですか!?」
「おう!一見、扉に張り付いてるから
背中側が真っ平らに思えるかも知れないけど、
実際には、この扉は凄く厚みがあって頑丈になってて、
人型のゴーレムが中にスッポリ入り込んでるって寸法さ」
「へ~、凄い技術が使われているんだね~
でも、木造のゴーレムで大丈夫なの?」
「そうですな、坊ちゃんが仰る様に
金属製の武器を持った暴漢には
些か心許無くは思えますな・・・」
「ああ勿論、その辺は大丈夫だ!
これらのゴーレムには、
エルダートレントの素材が使われているから、
下手な金属よりも頑丈な造りになってるんだよ」
「へ~、そんな凄い素材が使われているのか~」
「ほう、確かに、シュウ殿が仰る通りに
エルダートレントの素材でしたなら、
相当な衝撃にも耐えられますな・・・」
「ああ、だから、この執務室は、
災害時に避難した時のみに使うんじゃ無くて、
緊急時の退避先にも使ってくれよな」
「うん、ありがとう!シュウ」
「はい、もしやの際には、
坊ちゃんをご案内させて頂く事と致します。」
「おう!そんじゃ、部屋の中も見てみようぜ」
シュウは、そう皆に告げると、
重厚な扉を開いて、皆を部屋内へと導いた。
「へ~、ここが僕の執務室になるのか~
避難時用とは思えない程に豪華な造りに
なってるんだね・・・あれ!?シュウ!
この部屋は地下にある筈なのに、
ちゃんと窓が有って、
外の景色が見えているよ!」
ピョロピョ~ロが、シュウの案内で、
自分の執務室となる予定の部屋へと踏み込むと、
まず、扉から入った正面に大きな執務机がデン!と
置かれているのが目に入り、
続けて、その前に置かれたソファと机がセットになった
応接セットが目に入る、
そして、部屋の中をグルリと見渡した段階で、
何らかの違和感を感じて、
よくよく考えると、地下の施設にも関わらず
部屋の窓に外の風景が、
普通に映し出されているに気が付いたのであった。
「ハハハ、やっぱ、ピョロ君は気が付いたか、
自然な造りにはした心算なんで、
もしかしたら、誰も気が付か無いかとも思ったんだが、
その年で、街長という重責を務めるだけあって、
流石に優れた注意力をしているな、
あの、一見、普通の窓に見えているのは、
実は、窓に見える枠に嵌め込んだ魔導映写機なのさ!」




