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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
187/215

ハ~ヒフヘホ~

「このコンロの性能の方は、

実際に見て貰った方が早いな」

シュウは、デモンストレーション用にと

キッチンカウンター上に置いてあった鍋を掴むと

流しにある蛇口から水を注いでから、

魔導コンロの上へと置いた。


「シュウ、その流し台に付いてる水が出る口って

魔導具みたいに見えるけど、

やっぱり、さっきのお風呂場みたいに、

地下水脈から水を引いてるの?」

シュウが鍋に水を注ぐのを見ていた

ピョロピョ~ロが質問をする


「いや、キッチンの水に関しちゃ~

建築業ギルドで取り扱っている

水魔法が付与された魔石を利用した

魔導具を使ってるんだよ、

地下水脈の汚染なんてココらなら、

まあ、考えなくても大丈夫なんだろうけど、

一応は、黴菌ばいきんなんかを警戒して、

風呂や洗濯に使う水と、口に入れる水は分けたんだ。」


「『バイキン』って何?

爺ィは知ってる?」


「いいえ、坊ちゃん

私も知り得ませんな」


「ああ、黴菌ってのはなぁ・・・

ピョロ君、古くなった食べ物を食べると

体の調子が悪くなるのって知ってるか?」


「うん、お腹を壊したり吐き気がして、

最悪、命を落としちゃったりするんだよね」


「そう、あれってのは、

古くなった食べ物にかびや細菌っていう

目に見えない程小さな生物が繁殖して、

人の体の中に入った時に毒を出すから

体を壊しているんだよ、

黴菌ってのは、それらの総称だな」


「えっ!?あれって、悪い精霊の仕業じゃ無いの!?」

「うむ、一般的には坊ちゃんがおっしゃられた様に、

邪霊の呪いの所為だと言われて居りますな・・・」


「でも、そういう人を治療する時って、

教会で呪いを解くんじゃ無くて、

普通に、治療院とかの治癒魔法で治してるんだろ?」


「あれ?確かに、そう言われてみれば、そうだよね」

「はい、古くなった物を食べて体調を崩したものは

治療院へと連れて行きますな」


「多分、最初の内は教会に連れて行ってたんだろうけど、

呪いを解く魔法でも効果が現われなかったんで、

次第に最初から、効果が見える治療院へと

連れて行く様になったんだと思うぜ」


「ふ~ん、そうだったんだね」

「シュウ殿は、意外な程に物知りですな」


「いいや、俺やケンが生まれ育った国の国民性が、

異常な程のキレイ好きだったんで、

自然と、そういった知識とか

常識とかに触れる機会が多かったんだよ」


「へ~、キレイ好きな国民性っていうのは

良い事だよね」

「清潔な街が維持されているイメージがしますな」


「まあ、確かに、割と清潔な街にはなってるんだが、

そんな良い面の他に、

思わぬ弊害も併せ持ったりするんだよ」


「そうなの?清潔な街っていうのは、

とても良さそうな気がするんだけど・・・」

「そうですな」


「人って言うのは、住んでる環境なんかに順応して

進化をして来たらしいんだけど、

清潔な街で長い事、暮らして居ると、

その環境に体が慣れてしまって、

さっき話した黴菌とかに対抗する力が

弱まってしまうらしいんだよ、

実際に聞いた話だと、

一昔前の、現在より汚れなんかを気にせずに

生活をしていた頃の人は、

多少、古くなった物を食べても全然

平気だったそうなんだけれど、

今の人だったら、一発で治療院行きだからな」


「へ~、そんな事があるんだね」

「私は、獣人の方々の体が強いのは

種族的なものと考えて居りましたが、

もしかすると、生まれ育った環境なども

作用しているのかも知れませんな・・・」


「おっと、話が横道に逸れるのが長くなっちまったな、

さっさと、コンロの性能試験を見て貰わなきゃな」

シュウは、そう告げると、

魔導コンロに付いている火力調整用の摘まみを

クリッと廻した。

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