か、火力が足りんぞ!
「さあ!ここが、俺達自慢のオリジナル調理器具
が揃った厨房となる訳なんだが、
まあ、ピョロ君達が使うなんて事は余り無いんだろうな」
浴室の案内を終えたシュウは、
ピョロピョ~ロらを連れて厨房へと訪れていた。
「オリジナルの調理器具っていうと、
シュウ達が開発したの?」
「そうだぜ、ピョロ君
あれらの厨房設備は、俺やケンが考えた物を
商業ギルドのイイネさんにお願いして、
このシェルター専用に製造して貰ったもんなんだよ」
「へ~、シュウ達って、
そんな物まで開発する知識があるんだ
とてもじゃ無いけど、
普通の大工さんでは収まりきらない才能だよね」
「はい、坊ちゃま
通常、職人気質と言われる人物らは
己の専門分野外には、とんと無頓着ですからな、
シュウ殿方の様な職人は、
まことに稀有な存在と言えますでしょうな」
「いやいや、ハウスメーカー・・・って言っても、
こっちの人には分からないか、
ハウスメーカーっていうのは、
俺やケンが生まれ育った国にあった
建築業ギルドみたいなもんなんだけどさ、
そこが、一括管理して立てた家とは違って、
俺やケンの大工の師匠だった親父は、
建物全体を自分の作品と考えていたからな、
厨房設備から、庭石の一つに至るまで
懇意にしている業者と詳細に打ち合わせていたんだよ、
当然の如く、弟子の俺達も同席していたからな、
自然と、建物全般の事に詳しくなったって訳さ」
「へ~、シュウ達の大工の先生は、
シュウ達のお父さんだったんだ~」
「こうして、シュウ殿方が建てられた
素晴らしい建築物を見るだけで、
シュウ殿方の御父上の為人が見えて来る
思いですな・・・」
「ハハハ、俺達には鬼の様にキビシイ師匠だったけど、
こうして、今現在、教え込まれた知識が、
ちゃ~んと役に立ってるから、
俺もケンも、親父には感謝しているよ、
まあ、親父の事は置いといて、
まずは、自慢のコンロを見てくれるか」
シュウは、ピョロピョ~ロらに
そう告げると、
厨房の一番奥の方に位置する、
コンロへと、皆を誘導した。
「へ~、なんか普通のコンロとは、
いやに変わった形状をしているよね?爺ィ」
「はい、坊ちゃま
この様に、一枚板の金属のみを使用したという
コンロは、私も初めて目にしますな、
炎の吹き出し口が見られないという事は、
ストーブの様に内部で火を焚いて、
上の金属板を熱して調理するという事ですかな?」
「バトリャ~さん、
上の金属板を熱して調理するってのは当りなんだが、
このコンロに火は使わないんだよ、
一応、壁や天井を造る際に、
空気を浄化する機能は付与してあるんだけど、
火が燃焼する際に出る、
人体に有害な物は馬鹿にならないからな、
このシェルターで使用されている設備では、
火を一切使わない様に工夫されているのさ」
「ほう、火を使わずに熱するという事は、
火魔法が付与された魔石でも
使用されて居られるのですかな?
しかし、私の記憶では、
火魔法の魔石では、火種として使われる他は、
物を温める程度の火力しか擁して無いので、
調理をするまでの火力は望めないと思いましたが・・・」
「ああ、バトリャ~さんが言う様に、
俺やケンも、最初は火魔法の魔石を利用しようかと
考えてたんだが、
調理をするには圧倒的に火力が足りないんで、
雷魔法の魔石と、黒魔鋼を使うシステムへと
切り替えたんだよ」




