慰労
「そんじゃ、ピョロ君とバトリャ~さん、
それから、ギルマスとイイネさんは、
俺が説明して回るんで付いて来てくれるか?」
「その他の方々は、僕が説明して回りますので、
こちらの方に付いて来て下さいね~」
スロープを下り、地下のシェルターへと入室した段階で、
シュウが主要な人物らへと、
そして、ケンが館の使用人らへの、
シェルター施設の利用の仕方を説明する運びとなった。
ちなみに、ラビ子とウサ太の姉弟は、
参加者の人数が多いケン組の手伝いをする事となっている
「シュウ、僕達は何処から見せてくれるの?」
見物して回る組ごとに分かれた段階で、
施主であるピョロピョ~ロが、そう尋ねて来た。
「ああ、俺達の組は水廻りからだな、
向こうの組の人達には、水廻りの設備の使い方なんかを、
細かく説明しなきゃならないんで時間が掛かるだろうから、
俺達の組が先にパッと見ちまって、
あっちの組には部屋内の方を先に見て貰ってから、
水廻りの方をジックリ見て貰う事にしたんだよ」
「なる程、台所廻りなどの使い方あたりは、
調理師やメイドらが知って居れば宜しい事ですからな、
坊ちゃんが御自らでお使いをする機会などは、
まず考えられませんからな・・・」
「まあ、そんなとこだな、
設備の使い方は出来るだけ簡略化してあるから、
ピョロ君でも簡単に憶えられるとは思うけど、
ピョロ君一人で避難するなんて事は無いだろうから、
憶えとく必要は無いだろうな」
「シュウよ、まずは、どの場所から見せて貰えるのかのう?」
シュウらの会話を横で黙って聞いていた
建築業ギルドのマスターであるメークソが、
ワクワクした様子で、待ち兼ねた様に尋ねて来た。
「まずは、今回のシェルターで一押しの浴室からだな」
「何!?地下でフロじゃと!?」
「ああ、今後造る予定になっている、
一般の人向けの大規模シェルターでは、
収容する人数が人数だから、シャワー室になるだろうけど、
街長さん用の方にはフロを造ったんだよ」
「それは、ピョロピョ~ロ様やバトリャ~様方が使われる、
専用の浴室を設けたと仰る事ですか?」
商業ギルドのイイネが尋ねる
「ああ、ピョロ君たち専用のフロ場も造ったけど、
聞いた話じゃ、館で働いている人達も、
館にある使用人専用のフロに、
2日に一度は入って居るって事だったんで、
一度に10人ぐらいが入れるフロ場も造ったんだよ」
「まあ!避難先でお風呂に入れるなんて贅沢ですね」
「俺は経験が無いんだが、
避難施設に入ってる間ってのは、
結構、精神的なストレスが溜るもんらしいんだよ、
特に、ピョロ君なんかは、街を治める立場の者として、
かなりのストレスを感じる事になるだろうから、
それを、少しでも和らげる為のフロって訳だな」
「ストレスを和らげるのに、
お風呂に効果があるのですか?」
「ああ、俺やケンが住んでた国では、
時折、地域一帯が壊滅する規模の、
大地震や自然災害が発生する事があったんだが、
その際に、避難所に慰問で訪れた
臨時のフロに入った人達の表情が、
凄く解れているのを良く見てたんだよ、
まあ、フロ好きの国民性ってのも有るんだろうけど、
一定の効果は認められるんだと思うぜ」




