技術革新
「シュウ、館の皆にも集まって貰ったから、
設備説明会っていうのを始めて貰えるかな?」
「オッケー、ピョロ君
そんじゃ皆、俺に付いて来てくれるか」
非常時用に建設した地下避難シェルターが、
一応、完成の運びとなったので、
本日は、街長の館に勤める、
メイドやコックなどを参加させての、
設備説明会が行われる、
実際に設備を使用すると思われるスタッフの他には、
施主のピョロピョ~ロと、執事のバトリャ~、
商業ギルドを代表して、
今回の計画責任者のイイネ嬢と、
建築業ギルドのマスターであるメークソが参加していた。
「ほう、壁や天井自体の建材が発光して居るのか、
これは、面白いアイデアじゃな・・・」
青く淡い光を発光している、
地下シェルターへと続くスロープを降りながら、
メークソが呟く
「シュウさんの、ユニーク魔法を使って、
発光させているそうなんですけど、
殆ど魔力を消費しない造りになってるから、
魔力を必要とするのは最初に点灯させる時だけで、
後は、空気中の魔素を消費して光り続けるらしいですよ」
メークソの呟きを聞き留めた
イイネが、そう告げる
「ほう、それだけで、
これ程までに明るく出来るのか・・・
しかし、実際に使用する際には、
入り口の扉が閉ざされるのじゃろ?
そうすると、空気中の魔素が不足して、
灯りが消えてしまうんじゃ無いのか?」
「私も、そう考えて、
シュウ様に質問してみたのですが、
この、スロープを使用するのは、
殆どの場合が避難をする時と、
避難を終えて帰る際のみだろうから、
普段は消灯していても問題無いだろうとの事です。
また、非常の際に、
緊急で点灯させたい場合などは、
点灯用のスイッチを操作する際に、
少し多めに魔力を流せば、
暫くの間は点灯し続けるそうです。」
「なる程のう、確かに、
誰も使って居ない状態のスロープに、
灯りを灯し続けるのも、非効率じゃからなぁ・・・」
「はい、一般的に販売がされている魔導具などは、
ウッカリ消し忘れたりなどをすると、
中の魔石の魔力が消費し尽くされてしまって、
魔力の再充填が必要となってしまいますが、
この、シュウ様方のシステムを導入すれば、
必要な時に魔力が切れててガッカリといった
失敗が無くせると思われますね」
「しかし、それには、
シュウの、ユニーク魔法を必要とするのでは無いのか?」
「はい、私も、
その問題に付いてシュウ様に御相談を申し上げたのですが、
『魔導具の背面や下面などに、
魔素を吸収する機能を付与した魔法金属を張り付けて、
中の魔石と繋ぐ様にしては如何か?』との事でした。
その際は、使用者が魔力を流しても使える仕様に出来れば、
なお良いだろうとの事です。」
「ふ~む、確かに、
それが、技術的に可能であれば問題は解決するが、
実際問題として、それは可能なのか?」
「はい、今までは、
魔導具を稼働させる為の魔石を、
本体に内蔵させるのが当たり前と言う
考えが主流でしたので、
技術的な発展をしては居りませんでしたが、
魔法金属が、魔力を通し易いだけでは無くて、
通した後に、僅かに魔力が残留する事も、
広く知られて居りますので、
付与魔法を得意とする方と、
相談をしながら開発を進めれば、
技術的には可能となると思われます。」
「それは、楽しみじゃな、
シュウのユニーク魔法を真似する訳には行かんが、
その技術が発展をすれば、
ワシら、建築業に携わる者らにも、
大きな恵が与えられそうじゃわい」




