魔法使い
「ケン達は如何だ?
今日のヤキソバの出来栄えは・・・」
ピョロピョ~ロやバトリャ~より、
本日のヤキソバに関して好評価を貰ったシュウは、
続けてケンらにも尋ねてみる
「うん、凄く美味しいよ、シュウ兄ィ
ほんの暫く食べて無かっただけなのに、
何故か涙が出る程懐かしく感じる味だよね、
大きな鉄板で、まとめて大量に焼いた所為か、
何か、母さんがウチで作ってたヤキソバより、
お祭りの時なんかに、
友達らと屋台で買って食べた味を思い出したよ」
「いつもの、茹でた真っ直ぐな麺を使った
ヤキソバも凄く美味しいですけれども、
こちらの方が、より庶民的な味や食感が感じられて、
一般的な家庭で育った私には、美味しく感じられます。」
「シュウ兄ちゃん、すっげぇオイしいぜ!
これだったら、いくらでもタベられそうだぜ!」
「おう!皆も気に入ってくれた様で良かったよ、
ケンが言う様に、このヤキソバは大きな鉄板で、
大量に焼いた方が、なんか美味しく感じられるよな、
偶に、焦げた肉とか野菜が入ってたりするのも、
ご愛嬌だしな」
「へ~、シュウ達の住んでた所には、
この、ヤキソバを扱う屋台が出てたの?」
「これ程の美味しさなら、人気の屋台となりそうですな」
ケンの言葉を聞き留めたピョロピョ~ロが尋ねる
「この街みたいに、毎日の様に屋台が出ている訳じゃ無くて、
お祭りなんかの、特別な日に限って出る屋台なんだよ、
まあ、大きな都市部なんかでは、
昼飯時とか、夕方からとか決まった時間帯に限って、
毎日、屋台だ来る所もあるらしいけどな・・・」
「えっ?お祭りとかの特別な日に限ってなんて、
そういう日って、そうそう、
しょっちゅう有る訳でも無いよね?
そんなんじゃ、商売として成り立たないんじゃ無いの?」
「他に副業を持っているという事ですかな?」
「同じ場所に限って屋台を出している訳じゃ無くて、
あちこちの、お祭りや、
催し事を移動しながら店を出しているんだよ、
広範囲を視野に入れれば、
結構、どこかしらで、
何らかの催し事が開かれてるんだと思うぜ」
「それにしても、屋台を引きながら、
移動できる距離なんて限られて来るよね?」
「そうですな、同じ場所で続けた方が、
安定的な利益が上がりそうな気がしますな」
「ああ、ピョロ君の考えは尤もなんだけど、
こっちの一般的な屋台とは機動力が違うんだよ、
勿論、この街にある様な、人力で引く屋台もあるんだけど、
俺達の国で主流なのは、
荷車タイプの魔導車みたいなのの荷台に店が付いてるのとか、
荷台から降ろして設置するタイプの屋台なのさ」
「え~!?魔導車の荷台に店が乗ってるの!?」
「高級品の魔導車を、その様に利用するとは、
シュウ殿らの国は、非常に裕福な国なのですな・・・」
「いやいや、まあ、貧しい訳では無いけど、
特別に裕福な国という訳でも無いんですよ、
俺達が生まれ育った国には、種族的な特徴として、
魔法が使える者が殆ど居なかったんで、
その分、油を燃やして魔導車みたいな車を動かすとかいう
技術が発展していたんですね、
そういった技術を、かなりの昔から、
改良に改良を重ねて来てたんで、
ちょっと古いタイプの物なら、
一般の人でも購入出来る様な安価で、
魔導車的な物が販売されていたんですよ」
「へ~、殆ど魔法を使える人が居ない国なんてあるんだね、
でも、『殆ど』って事は、少しは魔法を使える人も居たの?」
「ああ、ある特定の条件を満たした人達は、
30歳を過ぎると魔法使いになるって言われてたな」
「シュウ兄ィ・・・」