高血圧発生装置
「シュウ様、そろそろ宜しいでしょうか?」
焼き台の上に乗せられた大きな鉄板の上で、
2本のフライ返しを使って下から掬う様に、
ヤキソバを掻き雑ぜていたラビ子が、そう尋ねる
「おう!良い感じに全体にソースの色が付いてるし、
肉や野菜にも、ちょっと焦げ目が付いたし、
そろそろ良いんじゃねぇかな」
鉄板の上のヤキソバの状態を確かめたシュウが、そう返答する
「畏まりました。
では、お皿に盛りつけて皆さんに、お出し致しますね」
「ああ、お客さんのピョロ君とバトリャ~さんから配ってくれや、
それと、その量じゃ一度で盛り付けきれないだろうから、
焼き台の方を弱火にして、焦げ付かない様に保温しといてくれるか」
「はい、畏まりました。」
シュウの指示に従って、ラビ子はピョロピョ~ロらから順番に
ウサ太に命令を出し、皿へと盛り付けたヤキソバを配ると、
焼き台の火加減を調節してから、自らも席へと戻った。
「ラビ子は調理ご苦労だったな、
さ~て、ラビ子も席に着いた事だし、
締めのヤキソバをカッ込む事にしようぜ、
まだまだ、結構な量が残ってるんで
遠慮せずに、ドンドンお代わりしてくれよな!」
「それじゃ、頂いてみるね、シュウ
うわ~、良い匂いがしてるから楽しみだな~」
「坊っちゃんが仰る様に、
妙に食欲に訴えかける芳香ですな・・・」
「このタイプのヤキソバを食べるのは、
ホント久し振りだから楽しみだね、シュウ兄ィ」
「確かに、いつものヤキソバとは、
香り立つスパイシーな刺激が段違いな気がします。」
「いっただきま~す!」
一同は、シュウの言葉を皮切りに、
自らの前に置かれたヤキソバの皿へと、
箸やフォークを走らせた。
「うわ~!鼻に抜ける、
このスパイスのガツンと来る風味が堪らないね、爺ィ」
「はい、どうやら、パスタなどと比較して、
この細く縮れた麺も、ソースの味が良く絡む様にと、
研究を積み重ねた結果の様ですな、
麺に良く絡んだソースが齎す
鮮烈で刺激的な風味が絶品で御座います。」
「ピュロ君やバトリャ~さんが、
どうやら気に入ってくれたみたいで良かったよ、
なにしろ、ヤキソバって言ったら、
俺の故郷の国では、庶民を代表する様な料理だったからな、
この街を治めるという上流の階級に属する、
ピュロ君や、その執事のバトリャ~さんの、
口に合うかが心配だったんだよ」
「十分以上に美味しいよ!シュウ
今まで食べた事がある料理の中でも、
一番のインパクトを僕に与えた料理といっても過言では無いね」
「はい、坊ちゃんが仰る通りに、
上流階級の方々の食卓へと上っても、
少しも不思議では無い料理だと思いますよ、
何しろ、思いも寄らぬ程の香辛料と果実が、
ふんだんに含まれているとみられるソースが、
これ程に濃く味付け出来る量使われて居りますからな、
上流階級の方々が好まれる味付けだと思われます。
そして、その味付にて、
他の上流他家の様に、しょっぱ過ぎず辛過ぎずに、
美味というのが称賛に値すると思われます。」
「あ~、そう言えば、
こっちのお偉いさん方のパーティー料理とかって、
高級な香辛料が、ふんだんに使われているのが
ステータスらしいからな、
そんで、一般的に良く流通してるのが
塩と胡椒のみとかだったら、
料理が塩辛くなるのは必然だよな・・・」




