雰囲気のスパイス マジック
「そう言えば、シュウ
お昼ご飯は如何するの?
どこか街の飲食店に行く予定なら、
ウチの館の料理長に頼んで、皆の分も用意して貰うけど・・・」
「どうぞ、ご遠慮なさらずに、
お申し付けくださいませ。」
休憩中の歓談時に、ふとピョロピョ~ロが、
そう尋ねると、
執事のバトリャ~も続いて奨めて来た。
「あ~、折角のピョロ君のお誘いなんだが、
今日の昼飯はバーベキューにしようって皆と決めたんだよ、
ピョロ君ところの料理の方が、
ずっと美味くて高級なんだと思うんだけど、
俺の口が、もうバーベキューモードに入っちゃってるもんだから、
申し訳ないけど、御馳走になるのは後日でも良いか?」
「シュウ兄ィ、昨日から楽しみにしてたもんね」
「お肉などの食材もタレに浸けこみ済です。」
「オレ、ニクニクニクやさいのジュンバンでくうんだ!」
「うん、それは全然構わないんだけれども、
シュウ、『ばーべきゅー』っていうのは、どんな料理なのかな?」
「私も、前職の取引などで各地を旅した際に、
色々と当地の料理などは食べましたが、
とんと聞き覚えが御座いませんな・・・」
「あ~、一般的にコッチでは、
冒険者とか、商隊なんかじゃないと、
外で食事を摂るなんて機会は無いもんな・・・
バーベキューっていうのは、
簡単に言えば野営なんかで食べるメシの豪華版ってとこだな」
「シュウ兄ィ、それじゃ簡単にし過ぎだよ、
ピョロ君、バトリャ~さん、バーベキューというのは、
お肉や野菜などの食材を、専用のタレやスパイスなどで、
事前に味付けしたりしてから、
大き目の焼き台で少し焦げ目が付いて香ばしくなるくらいまでに、
焼いてから食べる料理なんですよ、
まあ、食材の種類などによっては、
焼いてから味付けしたりする物もあるんですが、
大筋に於いては、そんな感じですかね・・・
最後のシメに、大きな鉄板の上で麺やライスを油で炒めて、
調味料を少し焦がして香ばしく頂く場合なども有りますね」
「今日は、ヤキソバ麺も、チャーハン用のライスも、
御用意してありますよ」
「オレ、リョウホウともくいたい!」
「ふ~ん、確かに、
僕は、外で食事をした経験なんて覚えが無いや、
それに、聞くからに美味しそうな料理みたいだね」
「私は、商隊を組んでの旅の途中で、
何度か野営にての食事を摂った経験が御座いますが、
その際は、保存の利く食材のみにての物でしたから、
大変、味気の無い物でしたな・・・」
「ああ、その味気無い野営飯が、
新鮮な食材と、豊富なスパイスを使う事によって、
普通のお店では食べる事が出来ない様な御馳走に代わるんだよ、
それに、俺達が仕事で木材を加工する際に出る、
端材なんかを炭に加工した物も使えるから、一石二鳥ってヤツだな」
「へ~、それは何か凄く美味しそうだね・・・
え~と、シュウ、僕ちょっとお願いがあるんだけど・・・」
「ハハハ、ピュロ君も参加したかったら全然問題無いぞ、
食材の方も、俺達だけじゃ食べきれない程に沢山用意してあるから、
良かったらバトリャ~さんも一緒に参加して下さいよ、
その代わり、現場の前にある裏庭のスペースを一部使わせて下さいね。」
「うん!是非お二人で参加して下さいよ!」
「お館の料理人の方々には、とてもじゃ無いけど御及び致しませんが、
微才ながら、腕に縒りを掛けさせて頂きますね!」
「こうは、いってるけど、
姉ちゃんがツクるメシは、ナカナカだぜ!」




