ロゼス ハニー
「シュウ!僕達も一緒に休憩をしても良いかな?」
シュウ達が、お茶や菓子を楽しみながら歓談などをして、
庭園の東屋で寛いでいると、
この館の主であるピョロ君が、
執事のバトリャ~を伴いやって来て、そう尋ねる
「よう!ピョロ君、皆で一服を御馳走になってるぜ
それと、ピョロ君とバトリャ~さんは、
この庭園の持ち主である御施主様と、その側近なんだから、
一緒にお茶して貰ったところで全然問題無いぜ」
「是非、御一緒に休憩しましょう。」
「お先に御馳走になっております。」
「いっしょに、うめぇオカシ食おうぜ!」
「うん、ありがとう!
それじゃ、爺ィ、ボク達も一緒に休憩しようよ」
「ハイ、畏まりました。坊っちゃん
それでは、坊ちゃんと私の分も用意して貰えるかな?」
ピョロ君の言葉を受けたバトリャ~が、
東屋の傍らで控えていた給仕係のメイドに命じて、
2人分のお茶を追加で用意させた。
「なあ、ピョロ君、
この庭は、手入れが行き届いた良い庭だな」
お茶が用意され、2人が東屋の席に腰を落ち着けたタイミングで、
シュウが、そう話し掛ける
「うん!ボクも、この庭が大好きなんだ!
この庭は、亡くなったボクのお父さんと、
お父さんの幼馴染で庭師のタワラン小父さんが、
長い事話し合いながら造り上げた自慢の庭なんだ!」
「お二人とも侃侃諤諤たる御様子でしたな・・・」
「へ~、そうなのか、
若輩者の俺が言うのも何なんだが、
2人ともホント良いセンスしてるよな~」
「うん、五月蠅過ぎず静か過ぎず絶妙なバランスだよね」
「私には詳しい事は分かりませんが、
この場所は、とても気持ちが良いですね」
「うん、なんかオチつくんだよね」
「皆に気に入って貰って、
お父さんも喜んでると思うよ」
「そうですね、坊ちゃん」
「この、お茶に入れている蜜って、
もしかして、この東屋の周りに沢山咲いてる、
あの花から採ってるのか?」
シュウは、お茶の甘み付け用に、
ティーカップの傍に添えられていた蜜をカップへと注ぎ、
そこから仄かに立ち昇る甘い香りを楽しみながら尋ねる
「うん、そうだよ!
良く分かったね、シュウ」
「ヤッパそうなのか、
俺やケンが生まれ育った国にも、
あの花に似たバラっていう、
見た目や香りがソックリな花があったんだよ、
でも、その俺が知ってるバラって花は、
ここに咲いてる花の三分の一ぐらいの大きさだったんだがな」
「そうだね、大きさは兎も角、
形は、確かに薔薇ソックリだよね」
「ふ~ん、そうなんだ、
その、バラって花からも蜜は採れるの?」
「う~ん、その手の事には、俺は詳しく無いんだが、
一応は、花なんだから採れるんだとは思うぞ?
でも確か、花の香りは密に含まれているとかじゃ無くて、
花びらから抽出して使うんだったと思ったな・・・」
「確か、花びらから抽出したエキスとかを、
香水なんかにも使ってるんだよね?」
「ふ~ん、その辺は、この花『ロゼス』とは違うんだね、
ロゼスから採れる蜜には、
最初から、この良い香りが付いてるんだよ」
「へ~、そうなのか、その蜜を採るのには、
ヤッパ蜜蜂とかを使うのか?」
「ミツバチ?
蜜を採取するのには『キラービー』って魔物を使うんだよ、
蜜の採取を専門にしているモンスター・テイマーの人達が居て、
色々な花が咲く時期に合わせて、各地を移動して歩いてるんだよ」
「なる程、モンスター版の養蜂家って訳か」
「そうだね、シュウ兄ィ」




