ダンドリ
「・・・うん、これだけ外気が取り込めていれば大丈夫だろ
よっしゃ!そんじゃ、地下に潜って作業を続けるかな」
シュウは、トレウス(亜空トレーラー・ハウス)から持って来た
大型の扇風機2台を、地下シェルターへの入り口と、
スロープの途中とに、扇風機の土台部分の3脚の足の長さを
倒れない様に角度を調整してから稼働させた後
体感で外部からの空気の流れを十分に感じられた事から、
酸素欠乏症の恐れは無いだろうと判断した様だ
「お~い!戻ったぞ~!」
スロープを下まで降り切ると、
そこには広々とした地下空間が広がっており、
事前にシュウが指示を出していた通りに、
横幅が約100メートル、奥行きが約150メートル、天井高が3メートル程で、
約2.7メートル間隔で均等に、一遍が約10センチ角の柱が立っている、
まだ、本設の照明を設置していないので、
ケンが作業用に設置した仮設の照明が所々に灯っているのみであり、
薄暗い空間内を見渡すと、その奥の方で動いている光が見て取れたので、
シュウは、そちらの方向へと向けて大きな声で話し掛けて見た。
「お帰り、シュウ兄ィ
今、そっちに行くから、ちょっと待っててね~」
「お疲れ様です。シュウ様」
「おかえり~シュウ兄ちゃん」
奥の方から、すぐさま返事が返って来る
まだ、部屋と部屋の間の間仕切壁が無いので、
広く密閉された空間特有の、エコーが掛かって響く声で聞こえた。
「おう!了解了解」
ケンの言葉に、そう返事を返してから、
周囲の状況を見渡したシュウは、
先に、この場所へと降りて来て、
材料の運び込みを行っていたケン・ラビ子・ウサ太の3名は、
運び終えた材料を、ある程度、
使用する場所近くまで配っているのだと判断した。
「お待たせ~」
「お待たせ致しました。シュウ様」
「もどったよ~」
暫くシュウが近場をキョロキョロと確認していると、
先程の言葉の通りに3人が戻って来た。
3人とも、ゴムバンドで頭に着けられるタイプの
ヘッドランプを、おでこに装着しており、
このランプは、トレウスの荷台にある謎空間内の
シュウ達の仕事道具が保管されていた倉庫に
一緒に置かれていた品物で、
当初は、日本でシュウ達が仕事で使用していた
LEDランプの電池式の物かと思ったら、
空気中の魔素から自動で魔力を補充する、歴とした魔導具であった。
「ある程度の材料は、もう振り分けちゃったんだな」
「うん、ラビ子ちゃん達にも手伝って貰ったんで、
地下への運び込み作業は直ぐ終わっちゃったんで、
ついでに、あちこち配って置いたんだよ」
「シュウ様に御造り頂きましたブレスレットのお蔭で、
ケン様の御手伝いが出来ました。」
「シュウ兄ちゃん、このウデワはサイコ~だぜ!」
「ああ、お蔭で直ぐにでも作業に入れそうだな、
それと、ラビ子とウサ太も、ご苦労だったな!」




