鎮静色(ちんせいしょく)
「よっしゃ!これで、スロープ部分の組み立ては、
取り敢えず完了だな・・・」
床板、壁板と取り付けて行き、
最後に天井板を下から地上へと向かい張り上げたシュウは、
最後の天井板を、両壁板へと掘り込まれた溝に差し込んで、
隣りの天井板と対になる様にオス・メスに加工された物を、
当て板をあてて金槌で打ち込んでから告げた。
「はい、お疲れ様です。シュウ様」
「さすがプロだぜ!シュウ兄ちゃん
ちょ~カッコよくなったじゃん!」
シュウを手伝っていたラビ子とウサ太が、
そう労いの言葉を投げた。
「おう!お前らも手伝ってくれてサンキュな!」
「いえ、とんでも御座いません
弟と共に、シュウ様方にはお世話になっているのですから、
御手伝いをさせて頂くのは当たり前の事です。」
「兄ちゃん、カッコよくデキたんだけど、
ツウロのオクのほうがクラすぎるんじゃないのか?」
ウサ太が告げる様に、スロープの入り口付近は、
外から入り込む陽射しで明るいものの、
地下へと進むに従って光が弱まり、
一番下の方は、ケンがシェルタースペースを確保する為に、
建築魔法の『掘削』を使って作業する為に灯している、
魔導ランプの灯りが僅かに漏れてボ~ッと明るく見えている程度であった。
「ああ、それだったら、
勿論、ちゃんと考えてあるぜ、
ラビ子、そこの壁板に嵌め込んである魔石に魔力を流してみろよ」
「シュウ様、御存じの事と思われますが、
私やウサ太は、獣人族の血が入ったハーフですから、
魔力量が非常に少ないのですけど大丈夫でしょうか?」
シュウから魔力を流してみろと告げられたラビ子が、
少し心配そうな表情を浮かべながら、そう尋ねる
「ああ、勿論、大丈夫だぜ、
子供なんかが使う事も考えて、
明るくしたり、暗くしたりをする信号を送る為だけの魔石だから、
いくらも魔力を消費しないで働く様にしてあるんだよ」
「そうで御座いましたか・・・では、
魔力を流してみる事と致します。」
ラビ子は、ホッとした表情を浮かべながら、
壁板に嵌め込まれた魔石へと、少し魔力を流してみた。
「おっ、ちゃんと計算した通りに起動したみたいだな」
ラビ子が魔石に魔力を流すと、
魔石が嵌め込まれた壁板からス~ッと、
周囲の壁・天井の板が柔らかな光を放ち始め、
幾分も経たない内にスロープ全体が明るくなった。
「わ~、壁や天井全体が光っているから、
とても明るいですね」
「兄ちゃん、姉ちゃんがいうように、
たしかにスゲェあかるいんだけどさ、
なんでアオっぽくヒカってるんだ?」
「ああ、明かりの色の事か?
確かに色を白っぽくしたり、黄色っぽくしたりは出来るんだけどさ、
前に、青い色の光は、
心を落ち着かせる作用があるって聞いた事があるんだよ、
この施設の使用目的を考えると、
ここを通る人の心が落ち着ていた方が、
無用のトラブルなんかを引き起こさなくて済むかも知れないだろ?
だから、態と青っぽい光にしてあるって訳さ・・・」
「光の色には、その様な効果があるのですね」
「へ~、兄ちゃんは、スゲェものしりなんだな」
2人が、尊敬の眼差しでシュウを見つめながら告げる
「い、いや、そんな様な事を聞いた覚えがあるってだけだぜ?
学者先生って訳じゃ無いんだから、
本当に、そんな効果が有るか如何かってのを、実験とかした訳じゃ無ぇからよ」
2人から送られる眼差しに、少し照れた表情を浮かべながら、
シュウは、そう発言をした。




