善悪無記(ぜんあくむき)
「そうか!何個かシュウに造ってもらっておいて、
魔力が切れた物をシュウに送って充填してもらえば良いのか!」
「なる程、シュウ殿の居られる場所さえ把握して置けば、
その手段が可能ですな・・・」
「ああ、俺達には、ある重要な目的があるんで、
これからも、あちこち移動する事にはなるんだけど、
なるべく早めに解決しようと思ってるから、
ナンチャッテ魔導具の魔力が切れるまでには、
腰を落ち着ける場所が決まってると思うんだ。
まあ、どちらにしても、
必ず一度はこの街に戻って来る予定だから、
詳しい話は、その時にでもすれば良いと思うぜ。」
「その目的っていうのは秘密なの?」
「シュウ殿、お話になれない事情等が御座いますなら、
無理に、お話になる事は御座いませんぞ」
「ああ、これに関しては俺とケンの最重要な極秘事項だから、
いくら相手がピョロ君と言えども話せないかな」
「ふ~ん、シュウがそこまで言うなら、
それについては聞かない事にするよ、
それじゃ、必ず一度はココに戻って来るっていうのには、
何か理由でもあるの?」
「おう!それなら話せるぜ、
ピョロ君は、この街にある『ニャンでも百貨店』て店を知ってるか?」
「勿論、知ってるよ、
あの店は、『そこに行けば何でもそろう』って、
街の人達から言われてて有名な所だからね、
あの、お店がどうしたの?」
「あの店は、この街でも有数の繁盛店ですな」
「ああ、俺は、あの店の店員をしている、
ミケルンさんっていう素晴らしい女性に惚れててな、
俺達の目的を達成できた暁には、
ミケルンさんに、正式なお付き合いをして貰える様に、
頼みに来ようと思ってるんだ。」
「僕も前に、あのお店を覘きに行った事があるんだけれど、
確か、店員のミケルンさんって人は獣人族だったよね?
シュウは、相手が獣人族でも大丈夫派なの?」
「おう!全く持って無問題だな!
確かに、獣人族が苦手って人も居るんだろうが、
俺にとってのミケルンさんは、まさに理想の女性なんだよ!」
「うわ~、それは良かったね、
そういえば、シュウは、獣人ハーフの僕を見た時も、
普通に対応をしていたもんね」
「ああ、多少の見た目が違ったって問題無いからな、
言葉さえ通じれば、人と人ってのは分かり合えるもんだと、
俺は考えてるんだよ、
まあ、根っからの悪人に関してだけは聞く耳持たんけどな」
「まあ、どんな種族でも善人と悪人は居るからね、
それに関しては仕方が無いんじゃ無いかな」
「そうですな、いくら心を開いて話し掛けても、
会話が成立しない輩という物は実在致しますからな」
「シュウ様、材料の方が運び終わりましたけど、
如何いたしましょうか?」
「シュウ兄ちゃん、このウデワってスゲェぜ!
あれだけ運んでも、ぜんぜんツカれないんだよ!」
そのタイミングで、材料運びをしていたラビ子とウサ太が、
シュウに、そう声を掛けて来た。
「おう!2人ともご苦労さんだったな、
任せっきりでワリィワリィ!
そんじゃ早速、地下シェルターへの通路を造るから、
お前達は、見学がてら手伝ってくれるか?」
「はい、畏まりました。」
「オッケー!シュウ兄ちゃん」
「ピョロ君、バトリャ~さん、
ナンチャッテ魔導具に関しては、作業が終わったから、
詳細な注文とかを聞くって事で良いかな?」
「うん、それで良いよね?爺ぃ」
「はい、問題無いと思われます。坊っちゃん」




