ナンチャッテ魔導具
「シ、シュウ!あの子達の、
あの力は一体全体どう言う事なんだい!?」
「確かに、まだ身体強化の魔法が使えるとは、
思えない年齢と見えるので不可思議ですな」
ケンの掘削作業及び、地崩れ防止作業が終わったので、
シュウが、ラビ子やウサ太に材料運びを手伝って貰ったところ、
身の丈を遥かに超えるサイズと重さの木材を、
軽々と肩に担いで運ぶ子供らを見たピョロピョ~ロとバトリャ~が、
驚きの表情を浮かべながらシュウに尋ねた。
「ああ、ピョロ君、
あれは2人が手首に着けてるブレスレットの効果なんだよ、
片方が力を強化するヤツで、
もう片方は転ばない様に体のバランスを調整するヤツだな」
「へ~、世の中には、
そんな便利な魔導具が売ってるんだね、知らなかったな~」
「はい、力を上昇させる魔導具に付きましては、
非常に高価ながらも流通していると、私も聞き及んだ事が御座いますが、
体のバランスを保つ魔導具とは、私も初耳ですな」
2人が感心した様子で、ラビ子らの作業風景を眺めながら告げる
「ああ、ありゃ非売品だから、
バトリャ~さんが見た事が無くても当たり前だぜ、
なにせ、両方とも俺が造ったお手製だからな」
「ええ!?あれってシュウが造ったの!?」
「ほう、シュウ殿は大工職人にも関わらず
魔導具の作製も手掛けられるのですか、
それは驚きましたな・・・」
「いやいや、大工の俺に魔導具なんて造れませんよ、
あのブレスレットは全部が木製で、魔法金属を使用していないから、
正確には魔導具じゃ無いんだよね」
「そうなの?爺ぃ」
「はい、確かに魔導具の定義と致しましては、
魔法金属を使用して効果を付随させた道具となって居りますな、
しかし、魔法金属を使用せずに、
如何にして、あのブレスレットに、
効果を付随させたのかが気になりますな・・・」
「それだったら、俺の建築魔法の中にある『能力付与』ってヤツだな、
俺やケンが造った物に、俺が与えたいと思った能力が付けられるんだぜ」
「ええっ!?それって凄くない!?
シュウ達が造った物だったら、どんな効果も付けられるって事だよね?」
「確かに、付与魔法使いの他に、
各種専門の属性を持った魔法使いを用意しなくてはならない、
魔導具造りと比べますと、
遥かに優れている製造過程と考えられますな」
「いや、一概に、そうとも言えないんだなコレが、
家具なんかに付与する簡単な効果だったら、
空気中の魔素を吸収して永続的に使えるんだが、
ナンチャッテ魔導具の方は、強めの効果を付与するから、
付与した魔力が消えたら、また俺じゃ無いと魔力の補充が出来ないんだ。
まあ、それでも、魔力が少ない人でも使えるって利点は一応あるんだがな、
対して、魔導具に関しては、魔力のある人が使えば、
魔導具本体が壊れない限りは、ずっと使い続けられるだろう?」
「へ~、そうなんだ、
確かに、シュウしか魔力が補充出来ないのは不便だよね、
僕も獣人の血が半分混じってるから魔力が少ないんで、
シュウのナンチャッテ魔導具?が使えたら嬉しかったんだけどな・・・」
「坊っちゃん、それでしたら、
最近は、魔力の消費量が極度に少ない魔導具が、
マッスル王国にて、ぞくぞくと開発されて居る様ですから、
お気を落としになる事は御座いませんぞ」
「まあ、ナッチャッテ魔導具を量産する気は無いんだけど、
ピョロ君が使う分ぐらいだったら、
何個か造って置いて、魔力が切れたら俺に送って貰えば、
また補充して送り返す様にしても良いんだがな」




