門前の小僧・・・
「うん!美味い!流石だな、ラビ子」
「本当に、どの料理も美味しいよ、
僕やシュウ兄ィが作ってたオカズとは、
正に『天と地』程の差があるね」
「あいかわらず姉ちゃんの作るゴハンはウマいなっ!」
木材の加工場に居たケンへと声を掛けてから、
亜空間トレーラー・ハウス通称『トレウス』の荷台にある、
謎空間中の住居へと移動したシュウら一行は、
今は亡き母親が食堂を経営して居り、
その調理を手伝っていたという、
セミプロ級の腕前と言えるラビ子が調理をした料理に、
皆で舌鼓を打っていた。
「畏れ入ります。
私も、ウチのお店では高くて手が出なかった調味料や、
初めて見る香辛料などを存分に使わせて頂き楽しかったです。」
「おう!どうせ、一晩経ったら、
使った分が元に戻ってるんだから、
使用量なんか気にしないでドンドンつかってくれや!」
「どうせ、僕とシュウ兄ィは、
塩コショウか醤油かカレー粉ぐらいしか使わないしね、
前みたいに新しい香辛料なんかにチャレンジして、
謎の物体Xを造り出しても、しょうが無いしね・・・」
「前にシュウ兄ちゃんが作ったソーサクリョウリとかいうのは、
足がはえて、うごきだしてもフシギじゃないブツだったもんね」
「はい!ありがとう御座います。」
「しかし、ラビ子の料理の腕前も然る事ながら、
ウサ太の食器選びのセンスや、
テーブルセッティングの技術にも驚いたな、
俺は『食べられりゃ食器なんて何でも良いじゃん』派だったんだけど、
こうして、ウサ太がチョイスした食器で食べて見ると、
只でさせ美味いラビ子の料理が、より一層美味く感じるもんな、
皿とかの配置にしたって、料理を取り皿に取ったり、
口に運ぶ動線なんかをスムーズにする為にって、
考えられてるのを感じるよ」
「ホントホント、ウサ太君を手伝って、
ウサ太君の指示の通りにシュウ兄ィと、
お皿を並べていた時には気が付かなかったけれども、
こうして、実際に食事をして見ると良く分かるよね」
「そうなのか?
オレは、母ちゃんのミセを、てつだってたトキみたいに、
何となく、よさそうな皿をエラんだり、
テキトーにナラべてるだけなんだけどな」
「へ~、そりゃ『環境が人を作る』ってやつなのかもな」
「そうだね、シュウ兄ィ」
シュウ達は、美味しい食事と、
食後の、お茶や会話を楽しみながらの食休みを終えてから、
引き続き午後の作業へと望み、
日が暮れて来る前には、明日からの着工が予定されている、
街長の館へ先行して建設する、地下シェルター向けの材料加工を終えた。




