クレーマー対策
「それでは、持ち上げて見ますね」
ラビ子は、そう宣言をすると、
自らの身長の何倍もの長さと、
自らのウエストの倍以上はありそうな太さを持つ角材へと、
抱え込むようにして腕を廻した。
「おう!さっきも言ったが、
思いきりじゃ無く、ゆっくりと力を込めるんだぞ」
「ガンバれ!姉ちゃん」
ラビ子の傍で見守る、シュウとウサ太が声を掛ける
「はい、では・・・えっ!?か、軽い?」
ラビ子は、シュウが注意した様に、
ゆっくりと角材を持ち上げ様と力を込めたが、
余りにも簡単にヒョイと持ち上がってしまった為、
拍子抜けした様子で、そう告げた。
「おお!どうやら、性能的な問題は無さそうだな」
「すげぇや姉ちゃん!そんなオオきなキを、
カンタンそうに、もちあげるなんて」
「え、ええ、シュウ様、
拍子抜けするぐらいに、簡単に持ち上がってしまいました。
それから、ウサ太、あなたも試して御覧なさいよ、
この軽さなら、あなたでも簡単に持ち上がると思うわよ」
ラビ子は、持ち上げた角材の手ごたえを確認する様に、
上下へと軽く振って見ながら、そう告げる
「シュウ兄ちゃん、オレも、もってみてイイか?」
「おう!ウサ太も試して見ろや」
「うん、そんじゃ、オレもモッてみるね」
ウサ太は、そう返事を返すと、
姉のラビ子の傍へと向かい、
同じ様に部屋の隅へと置かれている角材へと手を伸ばした。
「うわっ!?ホ、ホントに、すっげぇカルいや!」
ウサ太は、通常で考えると、とてもじゃないが、
到底、持ち上げられる筈も無い大きさの角材に対して、
思わず力を込め過ぎたのか、
ブンッ!という音と共に、
大きく角材を振り上げてしまいながら、そう告げた。
「おい、気を付けろよ?ウサ太
まあ、体幹を補正してくれる機能も、
ちゃんと働いてくれてるみたいだから、
ダイジョブそうでは、あるがな・・・」
「そうですね、あの様に大きな角材を振り上げた割には、
全然、ウサ太の体がふら付きもしていなかったですね」
「兄ちゃん、このカクザイって、
ホントはオモいんだよな?」
ラビ子は感心した様子で、そう語り、
ウサ太は、持ち上げた角材をブンブンと振って見ながら、
シュウへと確認の言葉を告げていた。
「おう、その角材の原料になってる木は、
繊維がギュッと引き締まってて強い分、
他の木から比べると重いからな、
お前が思ってるよりもズッと重い筈だぞ」
「へ~、そんなオモさのキが、
こんなにカンタンに、もちあげられるなんて、
兄ちゃんがツクったマドウグって、ホントすげぇな!」
「ウサ太、魔導具じゃ無くて、
そのブレスレットは、魔法金属を使って無いから、
正式には『ナンチャッテ魔導具』だぞ?
今ん処、家具に付与するぐらいしか予定は無いけど、
もし、将来的に販売とかする事になった場合、
その辺を、ちゃんと謳って置かないと、
いちゃもんを付けてくる人がいるかも知れないから、
十分に注意する様にと、商業ギルドの人から聞いてるからな」
「あ~、そういうお客さんていらっしゃいますよね、
昔、母の食堂でも、普通では考えられない様な文句を仰られる、
お客さんがいらっしゃったりしましたから」
「あ~、スープがアツくてビックリしたとか、
モンクいってくるヒトがいたりしたよね、
スープがヌルかったりしたらウマくないじゃんかよな」
「まあ、ソイツに取っての常識じゃ、
スープは温いもんなんだろうな・・・」




