正中線を意識するのじゃ!
「そんじゃ早速だが、
これから、2人に使って貰う『ナンチャッテ魔導具』を作成するが、
見た目に、何の意匠も無いんじゃ、面白みとかが無いんで、
2人が好きな動物でも掘り込もうかと思うんだけど、
ラビ子とウサ太は、好きな動物とかは居るか?」
「はい、私はネコが好きです。」
「オレは、ドラゴンだぜ!シュウ兄ちゃん」
「オッケー!ラビ子はネコで、ウサ太がドラゴンだな、
そんじゃ、大まかな形から刻み込んで行くから、
2人とも、良く見とくんだぞ」
「はい、分かりました。シュウ様」
「うん、オレも、ちゃんと見てるぜ!兄ちゃん」
「よしよし、そんじゃ2人に選んで貰った木材から、
建築魔法の『刻み』を使って、
最初は、大まかな形を造るんだ・・・『刻み』×2っと!」
シュウが魔法を発動させる為の呪文を2度唱えると、
ラビ子とウサ太が、木材倉庫より選び出して来た木片より、
其々2つの輪っかと、木の削りくずが現われた。
「これは・・・もしかすると、ブレスレットですか?シュウ様」
現れた輪っかの形状や、大きさから推測したラビ子が、シュウに尋ねる
「ああ、そうだ、
今回、俺が2人に造る『ナンチャッテ魔導具』は、
両手首に付けるタイプのブレスレットだな」
「片手だけだとダメなのか?兄ちゃん」
「まあ、片手だけでも出来ない事は無いんだけど、
さっき、ケンとの話でも出ていたと思うんだが、
能力の付与を重ね掛けすると、
その分、効果が落ちちゃうんで、
2人には、両手首に付ける様にして貰おうかと思うんだ。」
「はい、ブレスレットですから、
別に、両の手首に付けて居ても、
特別、邪魔にはならないと思います。」
「シュウ兄ちゃん、重い物を運べるようにするだけなら、
力が強くなるようにするだけでも良いんじゃないのか?」
「ウサ太、体が大きな大人なら、それでも良いんだが、
お前たちの小さな体では、
重い物を持ち上げた時に、バランスを取るのが難しいんだ、
2人とも、元々が獣人だから体のつくりの方は、
人族よりもズッと頑丈に出来てるんで、
今回は、元々人族より強いパワーを、
さらに強化する付与を右手首のブレスレットに付けて、
左手首の方には、自動的に最適な、
体幹を維持してくれる機能を付けようかと考えてるんだ。」
「タイ・・・カンですか?」
「それが良いと、バランスをくずさないのか?兄ちゃん」
「ああ、体幹っていうのは、
簡単に説明すると、体を真っ直ぐにして立った時に、
足のカカトから、背骨を通って、頭の天辺へと伸びる軸の事だな、
これが、しっかりと真っ直ぐに繋がっているお蔭で、
俺達は、体を、ふらつかせないで立っていられるんだが、
腰を曲げたり、しゃがみ込んだ姿勢なんかをすると、
当然、体幹も変化して来る訳だ、
その時に、ちゃんとした体幹を維持できないと、
体に負担を掛けたり、持った物の重さを何倍にも感じさせたりするんで、
今回、2人の左手首の方に付けて貰うのは、
それを、解消するための機能を持ったブレスレットって事だな」
「なる程、ただ力を強くして頂くだけではダメなのですね、
体の軸が大事などという事を初めて知りました。
ありがとう御座いますシュウ様、勉強になります。」
「分かったよ、シュウ兄ちゃん
オレたちの体の事も心配してくれてたんだな、
ホントありがとな!」
「ああ、どう致しまして、だな」




