消臭激~♪
「道具に魔法が付与された物は、
皆、魔導具では無いのですか?」
「オレも、そう思うんだけど、
違うのか?シュウ兄ちゃん」
ラビ子とウサ太が、不思議そうな表情を浮かべながら尋ねる
「ああ、俺とケンも、そう思ってたんだけど、
この前、商業ギルドに行った時に聞いたんだけどな、
昔の偉い人が決めた魔導具と判断する定義には、
魔導具は、魔力の流れを良くする為に、
一般的な物には魔鋼や黒魔鋼、
高級な品物なんかになるとミスリルなどといった
魔法金属が使われている事が前提とされているそうなんだよ、
俺やケンが造る物は、家具にしても、
アクセサリーなんかにしても木材のみで出来てるから、
魔導具の定義からは外れるらしいんだ。」
「え?シュウ様方が造られる家具には、
金属を一切使用されて居られないのですか?」
「クギとかぐらいは使ってるんじゃないのか?兄ちゃん」
「ああ、大きな建物なんかになると、
流石に、補強の金具や釘を使う事もあるけど、
家具やアクセサリー程度なら、
木材の加工を工夫すれば使わなくて済むんだよ、
俺やケンが大工仕事を一から叩き込まれた
師匠である親父には、
普段から人が触れる事が多い家具やアクセサリーには、
金属は一切使用しないっていうポリシーがあったんで、
俺達も自然と、そう造る様になったんだな」
「腕輪やカチューシャなどのアクセサリーは兎も角として、
テーブルや椅子などと言った家具類を、
金属を使わないで造る事など出来るのですか?」
「兄ちゃん、サスガにムリなんじゃないの?」
「いいや、それが、加工の方を工夫すれば可能なんだな~
これから、お前達に造る『ナンチャッテ魔導具』を加工する時に、
どんな風に造るのかを見せてやるから、一緒に加工場へ行こうぜ」
「はい、是非、御一緒致します。」
「うわ~、どんな風につくるのか楽しみだな~」
シュウは、2人が選んだ材料である木片を両手に掴むと、
木材倉庫に隣接した加工場へと、2人を伴って移動をした。
「あっ、シュウ兄ィ、丁度良かった。
今、ちょっと聞きに行こうかなって思ってたんだけど、
明日使う材料って、全部エルダートレントとトレントの素材で良いの?」
「う~ん、そうだな・・・いや、
俺が建築魔法の『能力付与』を使って、
空気の清浄なんかをする場所にだけトレント系の材料を使う様にして、
調理場やトイレなんかの水回りには、
水気に強くて、消臭作用が良い材料を使う事にしよう
トレント系の材料は、
強靭で軽く、魔法効果を付け易いっていう利点もあるんだけど、
元が魔獣の所為なのか、水気で傷み易いっていう欠点もあるからな、
防水の『能力付与』を、他の効果と重ね掛けして効果を落としちゃうよりかは、
元々の素材の良さを利用する方向で行くことにしよう。」
「うん、そうだね、
水廻りなんかは、癖が無いトレント系の材料より、
ヒノキみたいな材料を使った方が良いかもね」
「そうだな、俺様の『能力付与』は割と融通が利くからな、
悪臭のみを消臭する様にして、
元々、材料が持つ良い香りを生かす様にすれば、
トイレなんかにはピッタリかも知れないな」




