下準備
「今日、俺とケンは、明日の街長さん家の地下に造る
シェルターの材料の準備とか、
簡単な加工とかをしてくるんだけど、
その間、ラビ子とウサ太は何かやりたい事とかあるか?」
翌朝となり、ホテルの食堂での朝食を摂りながら、
シュウが2人に尋ねる
ちなみに、シュウ達が宿泊をしている『ホテル ニューコシガヤ』の朝食は、
大皿に盛りつけられた何種類かの料理から、
宿泊客が食べたい物を自分でチョイス出来る形式になっていて、
普通に盛り付けられたケンとラビ子の取り皿に対して、
シュウとウサ太の皿には料理がテンコ盛りとなっていた。
「宜しかったら、シュウ様とケン様の御手伝いをさせて頂けますか?」
「オレも、兄ちゃん達の仕事してるとこを見たいな、
ただの丸太がアッという間に、形になってくるのが面白いから」
「シュウ兄ィ、2人もこう言ってる事だし、
一緒に連れてってあげれば良いんじゃないかな?
この街の観光は結構回っちゃったし、
ホテルでテレビ(魔導映写器)見ているだけじゃ退屈だもんね」
「オッケー、そんじゃ2人も俺達と一緒に行くとするか、
ついでに、建築工事の時に、
2人に手伝って貰う為の道具も造っとくとするか」
「ラビ子ちゃんとウサ太くんに手伝って貰う為の道具?」
「態々、お造り頂けるのですか?」
「うわ~、何造ってくれるか楽しみだな~」
「おう、何を造るかは、
仕上がりを見てからのお楽しみって事でな・・・」
朝食を終え、お茶を飲みながらの歓談という、
暫しの食休みを行ったシュウ達は、
ホテルのフロントに外出する旨を伝えてルームキーを預けると、
街の駐車場に停めてある『亜空間トレーラー・ハウス』
通称『トレウス』の元へとやって来た。
トレウスは、一見普通の2tトラックに見えるが、
その燃料は、シュウとケンの膨大な魔力から提供され、
人工衛星など存在しない筈なのに、
正確な位置情報を提供するナビゲーション・システムも搭載されている、
そして、タダの小型トラックを『トレーラー・ハウス』と、
シュウが命名した最大の特徴は、
一見、荷物が乗っていない空荷に見えるトラックの荷台にあり、
そこには、シュウかケンが許可を与えた者にしか入れない、
広大な謎空間と、そこに建つ純和風式で建てられた家屋、
木材の加工場、倉庫などが存在しているのである
「よ~し、そんじゃ皆で加工場に行くぞ」
背の低いラビ子やウサ太でも上り易い様に、
トラックの荷台の、後ろのアオリを開けながらシュウが告げる
「うん、オッケーだよ、シュウ兄ィ」
「畏まりました。シュウ様」
「トレウスの中に入るのって、
なんか久しぶりだよね」
「良し、行くか!」
シュウは、皆の準備が整っているのを見届けると、
先行して、荷台の謎空間へと入って行った。
「ラビ子ちゃんとウサ太くんから入って良いよ」
シュウが通常のとおりに入って行ったのを見届けてから、
ケンが2人に告げる
「はい、畏まりました。ケン様」
「オッケー、ケン兄ちゃん」
2人は、ケンに対して、そう返事を返すと、
シュウに続いて謎空間へと入って行く
「良し、そんじゃ僕も行くとするかな」
ひと言、そう呟きを残すと、
最後のケンもトレウスの荷台へと消えていった。




