驚きの早さだ!
「シュウ殿から提示した金額ですと?」
避難用の地下シェルター建築費用に置いて、
その、破格とも言える安値を提示したのが、
シュウ本人だと聞いた執事のバトリャ~は、
困惑の表情を浮かべながら、
シュウへと確認の言葉を投げ掛けた。
「ああ、確かに普通に考えれば、
この値段で地下施設なんか造れる訳が無いんだが、
俺と弟に関しては、その普通が当てはまらないんだよ」
シュウが、バトリャ~に告げる
「シュウ殿と弟殿なら、
この金額でも、赤字とならずに造れると仰られるのですかな?」
「ああ、そうだ。」
「その理由を御伺いしても?」
「う~ん・・・まあ、さっきバトリャ~さんが言ってたけど、
俺から見た、ピョロ君とバトリャ~さんの為人から判断すれば、
別に、俺達の秘密を話しても大丈夫かな?
まあ、結論から言うと、
俺と弟のケンが、この金額で地下シェルターを造れるっていう根拠は、
俺達が持っている『建築魔法』のお蔭だな」
「『建築魔法』?
ボクは聞いた事が無い魔法なんだけど、爺ぃは知ってる?」
シュウの言葉を聞いたピョロピョ~ロ少年が、
横の席へと座るバトリャ~に問い掛ける
「いいえ、私も存じ上げませんな、坊ちゃん
建物の基礎に土魔法を使ったり、
木材の乾燥に火魔法や風魔法を使うと聞いた事がありますが、
『建築魔法』というものは聞き及んだ事が御座いません」
「まあ、多分なんだけど、
この世界で使えるのは俺とケンだけだと思うから、
希少なユニーク・スキルみたいなもんだと考えれば良いと思うぜ」
「なる程!世界で2人にしか使えないんじゃ、
確かにユニーク・スキルみたいなもんだよね」
「ええ、私共に聞き覚えが無いという、
理由の説明にもなりますな」
「まあ、そういう事だな、
それで、この魔法の説明なんだが、
読んだ字の如く、建物なんかの建築に特化した魔法で、
さっきバトリャ~さんが言ってた、
基礎や、木材の加工なんかも、
他の魔法を使うよりかは、ずっと早く正確に出来るって寸法さ」
「へ~、それは凄そうだね」
「はい、時間が掛かる基礎工事や、
材料の加工作業を、魔法にてスピーディーに進められるのであれば、
先程の200万ギルという金額も頷けますな」
「バトリャ~殿が先程、言っていた材料費が安いというのも、
製材や加工はシュウ達でするから、
建築業ギルドは、丸太のままで運搬と搬入をすれば良いからじゃな」
ここで、今まで黙って皆の話を聞いていた
建築業ギルドのマスターであるメークソが口を挿んだ
「なる程、原材料である丸太での運搬と搬入となれば、
確かに、あの金額でも納まりますな」
バトリャ~が、納得の表情を浮かべながら頷き、そう告げる
「ああ、俺とケンなら、
丸太と、建物を造るスペースさえあれば、
一から何でも造る事が出来るからな!」
「わ~、凄いんだねシュウ達って」
「ええ、坊ちゃん、この出会いに感謝したいですな」
「それでは、この計画を進めても宜しいでしょうか?」
今回の話し合いの進行役を務めている、商業ギルドのイイネが、
街長のピョロピョ~ロ少年と、その執事であるバトリャ~へと問い掛ける
「うん、良いよね爺ぃ?」
「はい、街の予備費で十分に間に合いますので、
街の全人口である約1200人が皆、
速やかに避難できる規模・・・そうですな、一応の余裕を考えまして、
200人程が収容できる地下シェルターを、
合計7ヶ所、街の各所に建造願えますかな?」
「はい、私共も、その程度の規模ではないかと想定して居りました。」
「うむ、材料の手配の方にも問題は無いぞ」
「200人ぐらいが入る大きさの地下シュルターなら、
俺とケンなら、1ヶ所3~4日も見れば建てられるぜ」




