エビフリャ~
「おや、お気付きになられましたかな?シュウ殿」
シュウの様子に気付いた
街長のピョロピョ~ロから『爺ぃ』と呼ばれている人物が、
そう尋ねる
「ええ、先日、ホテルの屋上露天風呂でお会いした方ですよね?」
「はい、その節は、
この様な老体とお話をして頂き、ありがとう御座いました。」
「いえいえ、こちらこそ、
色々と有益な情報を提供して頂きまして、ありがとう御座いました。
でも、あの時に伺った商会の会長さんって話は、
真実では無かったんですね?」
「はい、シュウ殿を騙す様な形になってしまいまして、
申し訳御座いませんでした。」
「いえ、街長さんの側近ともなれば、
何かしらの利益を得ようと近づいて来る人達も多いでしょうから、
警戒して素性などを隠すのは当たり前だと思いますよ」
「そう言って頂けると幸いです。」
「でも、爺ぃが商会の会長だったのは本当だよね」
2人の会話を聞いていたピョロピョ~ロ少年が、
話しに参加して来た。
「はい、坊ちゃんの御父上で在らせられる、
先代のピ~ヒャラ様に御仕えする前の話しで御座いますが・・・」
「そんじゃ、丸々のウソって訳でも無いんですね」
「勿論ですよ、シュウ様、
この方は、当商業ギルドでも伝説として未だに語られている、
『シャチホコ商会』を一代で築き上げた御方ですからね、
先代の街長さまに口説き落されて、専属の執事となられるまでは、
今は亡きフェルナリア皇国の経済を担う重要人物と言われた方ですから」
商業ギルドのイイネが、
シュウが知らないとみえる情報を提供した。
「へ~、そんなに凄い人だったんですね、
こりゃ、改めて挨拶をして置いた方がいいかな?
建築業ギルド所属で、大工業を弟と共に営んで居りますシュウです。
よろしくお願いしますね」
「いえいえ、全ては遠き過去の話しですので、
内容が大袈裟に伝わっているだけですよ、
実際には、亡国にてソコソコに大きな商会を、
営んで居っただけに過ぎません、
シュウ殿が、それ程までに気を使われる必要など、
全くと言っても良い程、御座いませんな、
それから、申し遅れまして、
大変、申し訳が御座いませんが、
先代のピ~ヒャラ様の代より、
現在はピュロピョ~ロ様へと引き続き、
当ピョロリ家の執事を務めさせて頂いて居ります
『バトリャ~』と申します。
以後、お見知りおきの程、よろしくお願い申し上げます。」
執事のバトリャ~は、そう告げると、
シュウに対して深々と頭を下げた。
「名古屋弁か!」
「は?ナ、ナゴ・・・何ですかな?シュウ殿」
突然、謎の言葉を大声で発したシュウに対して、
バトリャ~が問い掛ける
「い、いえ、突然取り乱してしまいまして済みませんでした。
今の言葉は、突発的に出てしまう発作の様なものですので、
気になさらないで下さい。」




