街長の館にて・・・
「商業ギルドのピョロリ支部に所属して居りますイイネと申します。
本日は、街長で在らせられますピョロピョ~ロ様との、
御会談のお約束が有り御伺いを致しました。
こちらの御二方は、同行者として御連絡済の、
建築業ギルドのギルド・マスターで在られるハナクソン様と、
同ギルド所属のシュウ様です。」
ピョロリの街の最奥に位置する、
街長の館へと馬車が着くと、
馬車から降りたイイネが、
門を警備する巨体の虎獣人と見られる兵士に向けて告げた。
「はい、承って居ります。
今、案内の者を呼びますので、
少々、お待ち下さいませ」
警備の兵には、ちゃんと話が伝わっていた様で、
丁寧な対応にて、門の中へと誘導される、
シュウ達が乗って来た馬車は、
館の横にある広い駐車場へと案内された様子であった。
「皆様、主の元へと御案内致しますので、
こちらへと、お進み下さいませ。」
幾らも待たせられる事は無く、
案内のメイドが館の玄関口へと現れてシュウらに告げる、
街の代表者の館に勤めるメイドだけあり、
その容姿や所作は洗練されたものであったが、
シュウには、それよりも、
彼女の頭の上で終始ピコピコと動いている、
ネコ耳の方が気になって仕方が無かった。
「御主人様、お客様方を御案内いたしました。」
ネコ耳メイドが、重厚な作りの扉に付けられたノッカーを、
コン!コン!と鳴らしてから、そう告げると、
部屋の中から、
「うん、入ってもらってくれるかな」との返事が返って来た。
(うん?街長さんって、いやに甲高い声の人なんだな・・・)
シュウは、部屋の中から聞こえて来た
街長と見られる人物の声を聞き、そう考えた。
「畏まりました。
皆様、どうぞお部屋の中へとお入り下さいませ。」
ネコ耳メイドは扉を開けると、
シュウらに向けて、そう告げる
「商業ギルドのイイネで御座います。
街長様、失礼致します。」
「お邪魔するぞ、街長様」
「お邪魔します。」
3人は、そう入室の挨拶を口にすると、
街長が待つ部屋へと、足を踏み入れた。
「やあ!イイネ、メークソ、久し振りだね、
それから、初見だと思うけど、
そちらの人物が、今回の耳寄りとかいう提案を持って来たという
シュウって人かな?」
シュウ達が部屋内へと進むと、
豪華な応接セットの一番奥に置かれたソファから、
立ち上がった人物が、そう告げる
「はい、ご無沙汰をして居りました街長様、
街長様に置かれましては、御健勝の御様子で幸いです。」
「おう!街長様、久し振りだな、
イイネが言う様に元気で何よりだ、
街長様ぐらいの年齢は元気が一番だからな!」
「・・・イヌ獣人の子供?」
そう、シュウらに出迎えの声を掛けた街長らしき人物は、
その頭に、イヌっぽい垂れ耳を付けた獣人の少年だったのであった。




