同好の士
「そう言えば、その首都にある本店で会えるっていう、
アンタの同僚の人は、何て名前なんだ?」
「そうだね、せっかくの異郷の地での同郷の人なんだから、
本店を訪れた際には、その方にも一言挨拶を言って置きたいよね」
この国の首都にある本店で、
ダクゾウ氏の同僚が店長を務めていると聞いたシュウとケンは、
思い付いた様子で、そう尋ねた。
「ハイ、ワタクシめの同僚の名は『ニャンコ・ナデゾウ』
人呼んで『モフるセールスマン』と呼ばれて居りますです。ハイ」
「何か、俺と気が合いそうな名前の人だな、
出来れば、そっちの人と先に会いたかったぜ」
「そうだね、何だかシュウ兄ィと気が合いそうな気がするね」
「おや?シュウ様は、ネコ好きでいらっしゃるんですか?」
「おう!日本に居た頃は、
自他共に認める大のネコ好きで通ってたな」
「そうだね、自宅で飼うだけじゃ無くて、
シュウ兄ィは、ボランティアで捨て猫の保護や、
貰い手探しとかもしてたもんね」
「それは、それは、素晴らしい行いで御座いますな、
それなら、確かに彼とは気が合いそうですな、
シュウ様とは、ちと内容が変わりますが、
彼も首都では、孤児の獣人の子供らを保護して、
お店の手伝いとして雇い入れて居りますからな」
「そりゃ、良い人そうなエピソードだな、
日本のペットと、コッチの獣人の人らを一緒にすると、
怒られそうだけれども、
日本から来た俺らに取っちゃ、獣人でモエるなという方が無理だからな」
「まあ、シュウ兄ィらに取れば、
確かに、その点だけはコッチの世界の方が、
良い点なのかも知れないね」
「ええ、彼も、コチラでの生活に慣れて来た頃に、
その様な事を言っていましたな」
「こりゃ、首都に行く楽しみが一つ増えたぜ、
日本に居た頃は、俺と一緒に保護ネコ活動してる人達は、
その殆どが女性ばかりだったからな、
まさか、コッチに来て、希少な男の同士に会えるとは思わなかったぜ」
「そうだね、日本に帰れる情報が手に入れば一番良いんだけど、
もしダメだった場合でも、楽しみな事が出来たのは良かったね」
「おやおや、すっかり話し込んでしまいましたな、
折角の、お二人のカレーも冷めてしまいましたでしょうし、
アツアツの物を、ただ今作り直してきましょう。
そちらの、お嬢様と、お坊っちゃんも御代りは如何ですかな?」
「おう!サンキュ!折角なんで頼むわ」
「ありがとう御座います。嬉しいです。」
「私は、もうお腹一杯なので結構です。
とても、美味しかったですわ、ご馳走様でした。」
「オレはお代わり!
今度は、シュウ兄ちゃんと同じ、
鳥肉のカレーが食べて見たいな!」
ダクゾウの言葉を聞いた一同は、
銘々に、そう注文をした。




