ちょっと脱線
「ホワ~イ!シュウよ!
何故、ワシがコレ程の『ツッコミ・チャ~ンス!』を出したというのに、
ナイス・ツッコミを決めんのじゃ!?」
建築業ギルドのマスターである、メークソの期待を、
軽~くスルーしたシュウに、
メークソが批難の眼差しを向けながら、そう問い掛けた。
「『アタック・チャ~ンス!』みたいに言うな!」
「うむ、それじゃよソレ!」
「ハッ!?しまった!
つい、反射的にツッコンでしまった。」
「その、ナチュラルなツッコミこそが、
お主の持つ、最高の才能じゃよ、
ワシは、お主ならば、アノ惜しくも若くして此の世を去った
夭折の天才ツッコミ師と呼び名も高い
『マラド・タケッチ』の再来と、成れると踏んで居るのじゃよ」
「へ~、『トロ・クボータ』の他にも、
そんな人が居たんですね、
若くして亡くなったとの事ですが、
病気か何かだったんですか?」
「いいや、彼の死因は病気では無いぞ、
タケッチは若くして、そのツッコミの才能を買われて、
或る国の祭典に特別ゲストとして招かれて居ったんじゃが、
その国の王妃様に『更年期か!』とツッコンで処刑されたんじゃ」
「ソレ!王妃様に言っちゃ一番ダメなヤツでしょ!」
「うむ、当時カレは、飛ぶ鳥も落とす様な勢いを持った
売れっ子ツッコミ師じゃったからな、
周りの者達が持て囃して、勧めるがままに酒を飲んで、
相当、酔っぱらって居った様じゃ、
まあ、『酒を飲んでも、飲まれるな』ということじゃな」
「ええ、酔っぱらっての一瞬の判断ミスで、
命を落とすんじゃ堪んないですからね」
「うむ、昔から『チューハイ1本、酒一升』と言うしな」
「それを言うなら『注意一秒、怪我一生』だろ!」
「おおっ!今のボケが、良く分かったなシュウよ!
ワシも、パスを出して置きながら、
『コレは余りにも、分かり辛ら過ぎるじゃろ?』と思って居ったんじゃ」
「はっ!?つい、また・・・
いいえ、ギル・マス、俺は飽く迄も『大工』であって、
その『ツッコミ師』とやらに成る気はサラサラありませんからね」
「その点に関しては心配いらんぞ、シュウよ、
あの『トロ・クボータ』も、自ら書き記した書籍の中で、
ツッコミ師を含む『オワライゲイニン』は、
売れなくなった時の為に兼業が『でふぉ』と残して居るからな、
ワシには、この言葉の意味は良く分からんが、
多分、話の流れから言って、
『兼業した方が良い』と言って居るんじゃろ」
「まあ、そうですね・・・ところで、
それは、それとして、
肝心の、ギル・マスの奥さんの話は何処に行ってしまったんでしょうか?」
「ん?おお!そうじゃった、そうじゃった!
元々は、ドングリーノのヤツめとの不仲の要因となった
ワシの嫁の話をして居ったんじゃったな・・・
ついつい、シュウのツッコミのキレの良さに、
本筋を忘れて、ツッコミ問答膝栗毛へと、
のめり込んでしまったわい」
「膝栗毛?・・・い、いや、それは取り敢えず置いといて、
どうぞ、奥さんの話を進めて下さい。」
良いお年を!(^o^)/




