過去バナ
「それは、助かるのう、
ワシも、建築業ギルドのマスターという役職柄、
商談の相手などには、敬語を使わねばならぬ事があるが、
ラフに話す方が性に合っているからな、
では、遠慮なくシュウと呼ばせて貰うぞい、
ワシの事は、メークソでも、ギル・マスでも好きに呼んでくれや」
シュウの発言を聞いたメークソが、そう告げる
「ああ、分かった。
そんじゃ、ギル・マスと呼ばせて貰おう、
俺も弟も、建築業ギルドに所属している事だしな・・・」
「うむ、それで良いぞい、
では、早速だが話を聞かせて貰うとするかな、
シュウ、そこに腰を下ろしてくれや」
メクソンが、シュウに応接セットの椅子へ腰を下ろす様に促してから、
その、テーブルを挿んで対面となる椅子へと腰を下ろした。
「ああ、失礼するぜ」
シュウが指示に従い腰を下ろす
「アイソ、お茶を持って来てくれるか?
ワシは、燻し茶が良いかの・・・
シュウは何を飲むか?」
メクソンが、傍らに立つギルド職員のアイソに告げつつ、
シュウに尋ねた。
「燻し茶ってのは、お茶っ葉を燻したもんか?」
シュウは頭の中に、焙じ茶やウーロン茶を思い浮かべながら、
そう質問をする
「おう、そうじゃ、
緑茶の葉を、特殊な製法で燻した物での、
香ばしさが際立って、ワシの好みの品の一つなんじゃ」
「そんじゃ、俺も同じもんで頼むわ」
「畏まりました。
ただ今、お待ちしますので、
暫し、お待ち下さいませ。」
2人の注文を聞いたアイソが、お茶を淹れに退室した。
「そんじゃ、アイソを抜きにして話を進めるのも何だから、
お茶が来るまでの間、雑談でもするかの、
アイソの話しでは、
シュウが商業ギルドの紹介状を持参していたとの事だが、
良く、あの因業のドングリーノめが、
ワシんとこのギルドを紹介したのう」
「ええ、ドングリーノさんは、
建築業ギルド抜きでも、計画を進められるって言い張ってたんだけど、
どう考えても、協力して貰った方がスムーズに進むと思うんで、
アイソさんの姉の、イイネさんに発行して貰ったんですよ」
「おお!商業ギルドのイイネか!
あの娘は、確かに話が分かる良い娘だの、
あのバカの、部下として働いとるのが勿体無い程の人材じゃわい」
「あの~、何でギル・マスと、ドングリーノさんは、
そんなに中が悪いんですか?」
「ワシと、あのバカが学生時代の同級生だったのは聞いとるか?」
「ええ、何か、勉強なんかでライバルだったって聞いてます。」
シュウは、それだけの理由にしては、
2人の中が悪過ぎると思いながらも、そう告げる
「うむ、ワシと彼奴は勉学は元より、
戦闘の授業や、昼食の早食いに至るまで競い合う中じゃった。」
「はあ・・・」
(何か、話だけ聞いてると中良さそうなんだが・・・)
「そんな競い合う2人の前に、
或る日の事、1人の転校生が現われたんじゃ」
「ふむふむ・・・」
「その転校生の名は、『ディードリットット嬢』といい、
森の奥深くにあると言い伝えられている、
幻のエルフの里『ロドス村』出身の美貌のエルフだったんじゃ!」
「え~と、そのネタは大丈夫なの?」




