超不自然災害
「ふぃ~、ホント良いお湯だったぜ・・・」
ホテルの屋上にある大浴場から、
客室へと戻ったシュウが、
入り口のドアから入るなり、そう言った。
「お帰り、シュウ兄ィ
随分と長かったけど、大分ここの風呂が気に入ったみたいだね」
「お帰りなさいませ、シュウ様」
「お帰り、兄ちゃん」
「ああ皆、ただいま、
確かに、ここの風呂が気に入ったってのもあるんだが、
一緒に露天風呂に入ってた、商会の会長さんって人と話し込んじゃってな、
それもあって、だいぶ長い事掛かっちゃったんだよ」
「へ~、何か面白い話題でもあったの?」
「ああ、それ何だけどよ、
ケンたちが風呂に行った時って、露天の方にも入ったか?」
「勿論、ウサ太君と一緒に入ったけど・・・」
「気持ち良かったよね、ケン兄ちゃん」
「じゃあ、その時、
偶に、街の上空でバチバチと火花が出てるのが見えなかったか?」
「ああ、あれか、
街の防御結界に、夜間飛行性の魔獣が当たってるってやつでしょ?
僕も、不思議に思ったから、一緒に入ってたウサ太君から聞いたんだよ、
今まで、夜に街の上を見るなんて事が無かったから気付かなかったよね」
「バチバチッ!って凄かったよね、ケン兄ちゃん」
「ああ!私も丁度、その時、女湯の露天風呂に入っていました!
割と、大き目の魔獣が当たったみたいで、凄く大きな音と火花でしたよね!」
「おお、ソレソレ、
それで、ここからが話の本題なんだけどよ、
あの結界ってのは、小型の魔獣なら十分なんだけど、
中型が何頭かや、大型の魔獣が来たら持ち堪えられないんだってさ、
そんでもって、もし、そんな魔獣が来た時って如何すると思う?」
「そりゃ・・・逃げるしか、無いんじゃないの?」
「そうですよね、私達も昔、
両親と一緒に、パルプンの街に暮らして居た時に、
警報の鐘が鳴ったら、門から街の外に逃げる様にって教わっていました。」
「うん、そうだよね、姉ちゃん」
「ラビ子とウサ太が暮らしてた場所って、
街の門の近くだったのか?」
「ええ、街の中心部の方は、行政施設の他は、
偉い方々や、裕福な商人の方々などの邸宅が立ち並んでおりますから、
自然と、飲食店や、一般の方が利用する商店などは、
街の門に近い、外周に集まっておりましたね、
門から近い方が、材料の搬入などにも便利でしたし・・・」
「ホントに、門から直ぐだったよね姉ちゃん」
「なる程な・・・そんじゃ、
その、街の中心部に住んでる人達ってのは、
警報の鐘が鳴った時って如何すると思う?」
「それは・・・逃げても間に合わないかも知れないから、
どこかに、隠れるとかするしか無いんじゃないの?」
「そうですよね・・・」
「うん、オレも、そう思うな」
「ブッブ~!皆、ハズレです。
答えは、諦めるしか無いが正解でした~!」
「ええっ!?何で!?」
「それって、如何いう事なんですか!?シュウ様」
「かくれれば、大丈夫なんじゃ無いの?シュウ兄ちゃん」
「それがな、聞いた話では、
街の防御結界を破って来る程の魔獣じゃ、
建物の中に隠れていても、建物ごと破壊されちゃうんだってさ」
「へ~、そんなに破壊力を持ってるんだ・・・」
「石造りの建物を破壊するなんて、凄いですね」
「そんなんじゃ、かくれてもムダだよね」
「その話を聞いて閃いたんだが、
俺達の活動資金を得る為に、新たな商売の種がありそうなんだよ」




