バロス!
「見た目が違ってるのに、
シュウ兄ィが、その先輩と間違えたって事は、
この、ロックっていう選手の雰囲気とかが、
似てるって事じゃないのかな?」
魔導映写機の画面に映るベスボル・プレーヤーを、
戸惑った表情で見つめるシュウに、ケンが告げる
「雰囲気か・・・うん!そうだな、
この、ロックっていう選手の投球動作とか、
マウンド捌きが岩田先輩にソックリなんだよ」
「人を見る目に優れているシュウ兄ィが言うんだから、
僕は、他人の空似とは思えないな、
若しかしたら若しかすると、
この、ロックって人は、その岩田さんっていうシュウ兄ィの先輩の人が、
こっちの世界に転生とかしたんじゃ無いのかな?」
「岩田先輩が転生だって・・・?
だが確かに、当時注目の超高校生右腕って言われてて、
当時、まだ2年生だったのにも関わらず、
1年後のドラフトでは複数指名が間違い無しって言われてた
岩田先輩が蒸発しちゃったもんだから、
テレビとか週刊誌で、色々と報道されていたけど、
どの報道でも一貫して、蒸発する理由が見当たらないって言ってたから、
その可能性もゼロでは無いよな・・・」
「うん、今の日本で、
それ程、テレビや週刊誌に出てて、
全く足取りが掴めなくなるなんて、ちょっと考えられないと思うな」
「そうだよな・・・よし!
ケンを、日本に送り返す方法が見つかって、
無事に送り返す事が出来た暁には、
この人を尋ねて、確かめに行って見るかな」
「なる程、本人に聞いてみるのが一番確実だよね」
「でも、シュウ様、ケン様、
この方は、超有名人でも在られますし、
ザドス王国で爵位を賜った歴とした貴族様ですから、
お会いするのは、とても難しいと思われますよ」
「その辺は・・・まあ、何とかなるだろ、
最初は、館のリフォームをさせてくれないか?とか言って、
徐々に近づいてけば、その内チャンスが訪れるって」
「まあ、ちゃんと建築業ギルドには登録してるし、
シュウ兄ィは、変に運が強いところがあるから、
ホントに、その手で会えるかも知れないね」
「そうなのですか・・・何か、そうお聞きすると、
確かに、シュウ様なら、容易にお会いする事が、
出来そうな気がして来ました。」
「その時は、オレも一緒に、
ロック選手に会わせてくれよな、シュウ兄ちゃん」
「おう!勿論、ウサ太たちも一緒に連れてくぜ」
ホテルのリビング・スペースでの会話を終えたシュウ達は、
シュウは、そのままの場所で魔導映写機の観賞を、
そして、ケンとラビ子とウサ太の3名は、
天然温泉の源泉掛け流しと、ホテルの案内パンフレットに記載された
屋上にあるという、天空の大浴場『裸ピタの湯』へと向かった。




