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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
11/215

備えあれば・・・

「よ~し、住居じゅうきょ部分の探索たんさくも終わったから、

亜空あくうトレウス』の機能きのう検証けんしょうは、この辺で良いだろう」


「うん、そうだねシュウ兄ィ、

それで、これからどうするの?」


「そうだな、折角せっかく、広々とした倉庫や加工場かこうばが確保出来た事だし、

材料用のトレントと、普通の木材もいくらか確保かくほして置く事にしようぜ」


「うん、分かった。」


『亜空トレウス』を出たシュウとケンは、再び森へと入って、

ラッセン村の猟師りょうしフツーニから教わった方法でトレントを5体と、

普通の木を3本ほど伐採ばっさいして『亜空トレウス』へと積み込んだ。


積み込まれたトレントや木は、シュウとケンの手で魔導加工具によって、

様々な大きさの木材へと加工されて、

種類別にキレイに整頓せいとんされた状態で積み上げられた。


「よし、このぐらい確保しておけばしばらくは材料には困らないだろう」


「じゃあ、次はラッセン村で売る家具作りだね、

でも、これから作り始めるんじゃ出来上がる頃には、

暗くなっちゃうんじゃ無いのかな?」


「俺も、それを心配していたんだけど、

さっき追加でトレントを狩りに『亜空トレウス』から出た時に、

運転席に付いてる時計を見て、ある事に気が付いたんだよ」


「その、ある事ってなんなの?」


「ケンは、さっき俺達が『亜空トレウス』の機能を調べる為に、

中に入っていた時間は、どれぐらいだと思う?」


「う~ん、少なくとも1時間以上は入ってたんじゃ無いのかな?」


「そう思うだろ?

でも実際には、『亜空トレウス』中に入る前に車両を目立たない場所に移動した時に見た

時計の時間から5分ぐらいしかってなかったんだよ」


「え~っ!? 5分って事は絶対無いよ~」


「俺も、そう思うから、

それらからみちびき出される答えはただ一つ、

『亜空トレウス』内では時間が、ゆっくりと経過けいかしているって事だな」


「なる程、そういう事か」


「ああ、だから中で、これから家具作りを始めたとしても、

ラッセン村には余裕よゆうで暗くなる前に到着とうちゃく出来ると思うぜ」


「それは便利そうだね」


「この、時間のアドバンテージはデカいよな、

作業さぎょう時間のみにかかわらず、休憩きゅうけいや夜に就寝しゅうしんしている時間も、

『亜空トレウス』の外では、いくらも経過していないって事だからな」


「そう言えば、そうだね、

こんな能力が日本に居た頃にもあったら、

建築工期けんちくこうきが短くて突貫工事とっかんこうじになる現場げんばなんかで助かったのにね」


「ハハハ、違いねぇ」


「でも、暗くなる前にラッセン村まで行けるのは良いんだけど、

『亜空トレウス』の中の時間は普通に流れているみたいに感じるんだから、

僕達の、お腹は空いたりするんじゃ無いのかな?」


「ああ、ハラは普通に減るだろうな、

取りえずは、さっき『亜空トレウス』の作業場にあったたなの上に、

俺達の道具と一緒に朝、荷台に積みこんだ弁当が置いてあったから、

それを食べれば良いんじゃないか」


「あっホント? 気が付かなかった。

それなら、村に行くまでの間は大丈夫だね」


「ああ、もしかすると日本に帰る方法を見付けるまでは、

ゴハンを食べられる最後の機会になるかも知れないから、

しっかりと味わいながら食べた方が良いぞ」


「そうか、こっちには米が無いかも知れないんだね」


「ああ、こっちの世界に送られたのが俺達だけだとしたら、

そういう事も考えられると思うんだよな、

まあ、大概たいがいの場合は先人せんじんが居て、米作りをしててくれるんだがな」


「そうなってると良いね、

僕んなんかは、子供達が好きだから朝食はパンを食べてるけど、

シュウ兄ィや父さんは、基本ゴハンじゃないと我慢がまん出来ないもんね」


「ああ、常日頃つねひごろから神様には、

『もし異世界に送られるなら、米のある世界でお願いします。』っていのってるから、

大丈夫だとは思うんだけどな」


なかなか々、常日頃から、そう祈ってる人って少ないだろうね」


「何を言ってるんだケン!

男は常に、あらゆる事態じたい想定そうていしてそなえをおこたってはならんぞ!」


「シュウ兄ィ、今時いまどきは、

80を過ぎたウチの剣道場の師匠ししょうだって、そんな事は言わないよ」


「何!? 送られた異世界で、

ポケットの中の小銭こぜにすご価値かちを持ってるとか、

着ている服がトンデモ無い値段で買い取ってもらえるとか、

普通の人は祈ったりしないのか!?」

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