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イデアリンクスーどうやら転生したようですー  作者: 兎神遊
第1章 転生後の世界は異世界
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第6話 「能力獲得③」

もうすぐ3歳になる。

3歳というのはこの世界では特別な意味を持つらしい。

それは、3歳になった時には主神による刻印(オラクル)の祝福があるということだ。


これは、体内に宿る魔術刻印や異能刻印のような人それぞれに備わっている刻印を制御するものー以降は制御刻印ということにしようーだと思っていいだろう。

主神から与えられた刻印は永遠に破壊することはできないのだが、酷使による喪失や刻印の制御不能による暴走状態に陥ることがあり、その際には多くの被害が出たことから主神に限っては制御刻印の破壊ができることになったという。


なんでも、その時は刻印について人間種(イルマーニュ)の一部研究員が強引に刻印の効率化を図ろうとして禁忌ー刻印における7つの禁忌事項というのがあるのだがそれは別の機会に説明しようーに触れ、その一族は神の逆鱗に触れてしまったという。

それ以降その一族の子孫は"刻印なし"という汚名を被ることになってしまったのは余談だ。


なぜ僕がここまでのことを知っているのかというと、今ちょうど読んでいる『刻印と神域』に記載されていたからだ。



「レイ、ちょっと降りてきて」


一人、本を読んでいたレイを呼びにクリスが部屋に来た。

どうやら、準備は終わったようである。


何の用か?そんなこと聞くのは野暮だろう。

だって、僕にはすべて見えているし、すべて聞こえているのだから。



「誕生日おめでとぉぉ!!」


「レイ、誕生日おめでとう」


「おめでとうございますレイ様」


「3歳おめでとう。レイ」


異常にハイテンションなグレン、シルフィに続きアイズと背後に続いているクリスがおめでとうと言ってくれた。

わかっていたことだといえ、実際に言ってもらえると嬉しいものだった。


だから、頬に一筋の涙が流れるのを止めることができなかった。


うれし涙というのは簡単には止められないということなのだろうか。


「ちょっ!?なんで泣くんだ」


「ちょっと、うるさいですよ」


騒がしいグレンを冷静に突っ込むシルフィ。

微笑みながら、頭を撫でてくれるアイズ。

静かに背中に手を当てているクリス。


あぁ、生きているって幸せなんだと実感できる。

今度こそ、大切なものを失わないように。少しでも多くの努力を、少しでも多くの能力を手に入れよう。


そう、胸に誓った。



※ ※ ※ ※ ※


「ありがとう」


ふーっと、ろうそくの灯を消す。

この世界でも、誕生日にはケーキとろうそくというのが決まりらしい。

まぁ、けーきとは言っても生クリームのないシフォンケーキだし、ろうそくも火の精霊を浮かび上がらせているだけなんだけどね。


「それじゃ、そろそろ主神様がいらっしゃるころだろ」


ケーキも食べ終えーほとんどグレンが食べてシルフィに怒られていたが、僕も含めてみんな楽しそうに、笑っていたー辺りも暗くなってきた頃合いだった。

余談だが、今は火の精霊の明かりで照らしている。


『我眷属シルフィエールよ、今宵の祝福を与えに来たぞ』


白いヴェールのようなものに包まれ、どこか神々しいオーラのようなものを纏う少女が扉から歩いてきた。

魔力感知をしてもバリアのようなもので弾かれているのか見ることができない。

万能能力と思っていたため、少しがっかりな気持ちの反面少しばかりの期待があった。


『解:解析不能の魔力によりジャミングをかけられています。《支配》を使用してジャミングの解除と解析を行いますか?  yes/no』


ーーyesで。あと、バレないようにしておいてくれ


『解:承知いたしました。これより解析を行います』


これで、魔力感知も強化されるだろう。

主神様には悪いことなのだが、これから神とも戦うことになるかもいしれないのだ。準備しておくに越したことはないだろう。


そんな考えとは別に話は進んでいたのか主神、アスタはレイの前まで来ていた。


『あなたは驚かないのですね』


「……?」


何を言っているんだ?


『まぁいいでしょう。これより、祝福を与えます。』


レイの顔に掌をかざすアスタに、静かに目を閉じるレイ。

祝福という制御刻印の付与は次第に終わることとなる。


『あなたに永久の幸福があらんことを願いこれも併せて付与いたしましょう』


少しだけ悲しそうな顔つきになったアスタは、刻印に何かを付け足したようだった。


『グレン、シルフィエール。少しだけ話しておかなければならないことがあります』


そして付与が終わったのち、グレンとシルフィを連れて外へ出ていくのだった。

何かレイ自身の未来をみてしまったかのような様子だった。


そしてしばらくたったころ、待っていた報告が来た。


『告:解析完了。《魔力感知》に反映しました。また、能力《結界》を取得しました』


思った以上の成果に、ついにやけてしまうのだった。


そしてそれからしばらくたったころ、グレンとシルフィは戻ってきた。

アスタは、神域へ戻った様子だ。


今日のところは寝るように言われ、部屋に戻り読書ー本の内容の支配ーの再開をした。

今日はグレンとシルフィ、アイズは寝ないようでリビングで話をしていたようだった。

クリスは疲れていたのかすぐに眠ったようだった。


これが、初めて魔術を使えるようになるまでに起きた出来事で、能力獲得まで至った経緯だった。

この時はまだ、不幸な未来が訪れるとは思っていなかったのだ。

レイはおろか忠告を受けたであろうグレンとシルフィは想像もしていなかったのだ。


幸せは儚く、もろいものだからこそ続くのだと信じてしまうのだ。


アスタが神の1柱であるがゆえに刻印の中に何かを付け足したものがレイにどのような影響を及ぼすのかはまだ誰も知る由はない。

能力一覧

名前 レイフィール・ヴァイスハーゼ

種族 人間種(転生)

性別 男

ユニークスキル 救世主、支配者、怠惰者

特殊能力 自己再生、結界

刻印 雷、風、水


名前 グレン・ヴァイスハーゼ

種族 人間種/獣人種

性別 男

ユニークスキル 天部、武装強化

特殊能力 獣化

刻印 風、火


名前 シルフィエール・ヴァイスハーゼ

種族 森精種

性別 女

ユニークスキル 治癒師、森羅万象

特殊能力 六重技法、身体強化、慈悲

刻印 水、火

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