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イデアリンクスーどうやら転生したようですー  作者: 兎神遊
第1章 転生後の世界は異世界
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第5話 「能力獲得②」

目を覚ますと、自分の部屋に寝かされていた。

スライムのせいでびしょびしょになっていた服は変えられている。



『 解:個体名『アイズ・ルクスレス』が先ほど(レイ)の悲鳴を聞きつけて駆けつけ、服装を取替えていました。

また、先ほど主の歩行が完璧にできるようになったことをお知らせします』


《 救世主》の声に反応して歩行を試みてみる。

今までのようなふらふらとした歩行ではなく、とてとてとした二足歩行が可能になっていた。


ーーーどうして急に歩行ができるように?


当然、質問をしてみることにした。

まだコツをつかめていなかった歩行が突然できるようになっているのだから当然の疑問といえよう。


『 解:《救世主》の能力のうち並列思考により歩行の補助と《支配者》により身体強化を実施いたしました。

このまま継続しますか?  yes/no』


身体強化って言うと支援魔法のようなものだろうか。

ならば、ないよりはましだろう。


ーーーyesでいようか


『承認:身体強化は常時発動されることに致しました。

また、支援魔法《筋力強化(ストレングス)》《魔力強化(フォーブースト)》《ヒール》を獲得いたしました。次回より無詠唱での発動が可能です』


ーーーよくわからないがいろいろ獲得したみたいだな。


だが、歩行可能になったのは大きい。

これで知識を集めることが可能になる。


すぐに行動すると何かしら制限がつくかもしれない。

故に家内を捜索するのは夜、寝静まってからにすることにした。

それまては何をするのかって?

もちろん、能力の分析だ。


ちなみにクリスは隣で寝ている。

アイズはシルフィに呼ばれたのか1階にいるらしい。


なぜわかるのかって?

それは、《魔力感知》ができるようになったからだ。


やり方は簡単、《救世主》に周りの状況を見聞きせずに調べる方法はないか聞いたところ、《魔力感知》と《熱源感知》があるらしかった。《熱源感知》は一部の魔物が持つ固有能力のようなので、《魔力感知》をできるようにしてくれと言っただけだ。


すなわち、MA・RU・NA・GEである。


これは便利なもので、一人称の視点と第三者視点で立体的に周りが見えるという違いだ。

一人称では視界は限られており、必ず死角というものが存在する。


だが第三者となれば自分を含めた周囲を見ることが出来、死角が無いのだ。

それだけでなく、広範囲にわたり障害物に関わりなくものの位置や生物の位置が把握できるのも大きいだろう。詳しい話はまたいずれかとする。


それのおかげで、近くに来る生物の早期感知や目的のものの捜索が可能になる。


それによるとアイズは1階でシルフィの手伝いに行き、クリスはすぐそばの視界にも映る位置で寝ていることがわかる。


グレンは今は家にいないようだった。


「さて、早速初めてみるか」


並列思考により言葉の習得ができるようになったレイは、まずは自身の筋力を確かめてみることにして、落ちていたおもちゃを握りつぶした。


「ふぁ!?」


予想外の結果にレイは声を上げて驚く。

おもちゃは木製ではあったが普通の人間では握りつぶすなどできないはずだからだ。


「んうぅ……レイ、起きたの?」


目を擦りながらクリスが起きてしまった。

能力の分析はできなくなってしまったが、クリスと遊ぶことにした。



※ ※ ※ ※


夜になった。


クリスとアイズが寝静まったのを確認し、書籍を部屋に運び始める。

《魔力感知》は便利なもので、暗い中でもはっきりと見ることが出来た。


この世界は、視界が光の屈折より見えているという考えではなく大気中に流れる魔素によりものとして捉えられるという考えの様子だった。


シルフィとグレンが何をしているのかは記述しないでおこう。


書斎から、7冊の本を取り出した

それらを部屋へ運び出し、1冊ずつ読むことにする。


それがしばらく続き、魔人パンドラという本に出会った。


魔人パンドラ。自らの持つ箱の中には多彩な能力があると言われ、そのいずれも悪魔のような能力であったことから魔人と呼ばれる少女の話だ。


彼女は1人だった。

魔人種として生まれ、魔人の中でも低い魔力から蔑まれ親にも見捨てられた少女。

それがパンドラだった。


彼女の転機は、ひとつの箱に出会ったところだ。

ふらりと現れた勇者に渡された箱の中には多彩な能力が宝石のように入っており、それを砕くと宝石の中に封じられてる能力が手に入れられるという。


だが、本当の意味での転機はそれだけではなかった。


パンドラの持つ箱を奪おうとするもの達に触れたパンドラは、その相対者の能力を根こそぎ奪うのだ。

彼女は震えた。彼女は狂った。彼女は嫉妬した。


数多くいる人達のように触れ合うことが出来ないのだと。蔑みが侮蔑へ、侮蔑が憎悪へ変わり、最後に彼女は勇者率いるパーティーに滅ぼされた。


彼女の持っていた箱……《パンドラの箱》は行方不明となり、少女パンドラは畏怖と憎悪の対象へとなってしまった。




なんと悲しい話なんだろうか?

ただ1人、友達が欲しいと願う少女を利用した勇者は一体何者なのか、《パンドラの箱》は今一体どこにあるのか、この話は事実なのか。


いずれもわからないのだが、それ以前に民衆の視点はパンドラへの恐怖にしか向いていないという。

それから、『悪さをした子にはパンドラによる天罰が与えられる』という言葉が生まれ、この本が教本としてあるのだろう。



『解:パンドラは存在しています。また、箱の所在は不明です』


レイにはこの話が空想だとは思ってもいないのだ。

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