表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/64

質問

 湊君がいなくなって、もう3時間くらい経過していた。

 ガーネットさんは湊君を捜しに行き、部屋にはロレンスさんとメアリーちゃんと私だけが残った。私は、何をするでもなく、ずっとソファに座っていた。

「りん、なかないで。みなとはぜったいかえってくる」

 メアリーちゃんが、そう言って私の肩を撫でた。

 別に、泣いていたわけではない。でも、泣きそうな顔は、していたかもしれない。

 ……こんな小さい子供の前で、情けない。

「うん、そうだね。ありがとう、メアリーちゃん」

 そっと頭を撫でると、先程の様に、私を見て優しく微笑んでくれた。


「あの、ちょっといいですか?」

 と、その時、聞きなれない声が聞こえた。

 顔を上げると、声の主はロレンスさんだった。そういえば、今の今まで声を聞いていなかった。

「な、何でしょう」

「さっきから話に出ていた、湊……という人物は、あなたの友人ですか?」

「え? あ、はい、そうです」

 友人……間違いない、よね?

「そうですか」

 そのまま黙ってしまった。

「……あの、湊君がどうかしたんですか?」

「いえ、何でもありません。ちょっと気になる事があったもので」

「は、はぁ……」

「せっかくなのでもう1つお聞きしたいのですが、彼の名字は、何ですか?」

「え?」

 私は、その質問に違和感を覚えた。

「橋本、ですけど……」

「……そうですか」

 間を開けて答えたロレンスさんの顔にも、少し違和感を覚えた。

「あの、ロレンスさん、今どうして―――」

 その時だった。

「おい! 湊が帰って来たぞ!」

 ガーネットさんが慌ただしく部屋に入ってきた。

「本当ですか!?」

「ああ。とにかく来てくれ、フロントにいるから!」

 部屋を出て行ったガーネットさんを見て、咄嗟にメアリーちゃんを抱き上げ、フロントへ走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ