メキシコの乗り合いタクシーで見知らぬ人に運賃を払ってもらった話
メキシコシティにはペセロと呼ばれる乗り合いタクシーが走っている。
マイクロバスかワゴン車サイズで、車体にルート番号が書いてあり、決まったルートを巡回している。一応乗り場はあるけれどルート上ならどこで乗り降りしても構わない。運転手さんに言っておけば目的地に一番近い所で降ろしてもらえるから便利。
料金は日本人の感覚からすれば激安。ルートや乗った距離によって変わるけど運転手さんがちゃんと計算してくれてボラれる心配もない。
さて、そんな便利なペセロだけど異邦人でスペイン語も操れない私には乗ろうとしているペセロがあっているかどうか不安でしょうがない。だから一応乗る前に乗り場近くにいる人に片言のスペイン語で確認をとるようにしていた。
幸い、私が接触したメキシコシティの人達ってホントに親切だった。近くにいた人に
「どこそこへ行きたいんですけど、ここへくるペセロに乗って大丈夫ですか?」
っていう風に訊くと、みんなそのペセロが来るまで一緒に待ってくれて、運転手さんに
「この子達(私と友人の二人)どこそこへ行きたいんだって(と言っていたと思われる)」
と伝えてくれた。
とあるおじさんなんか運転手に
「どこそこまで、いくらだ?」
って訊いてくれて(いたんだと思う。雰囲気的に)、よく気が付く人だなー、と感心していたら、そのまま「あの子たちの分だ(と言っていたみたい)」私たちの分の運賃を払った後、颯爽と去っていった。
異性にまったく恐怖心を与える事無く、完全に下心がないとわかる親切。道を訊くふりをして近寄ってくる変なナンパ男達に見習って欲しい。
1994年2月の出来事。