05奴隷購入 其の弐
奥のカウンターのようなところにきた。
「お客さまはどのような奴隷が欲しいですか?」 「性の奉仕?」 「労働?」 「戦闘?」 「生憎と戦闘奴隷は魔王討伐のために買い占められているので在庫が少ないんです、はい」
「奴隷にはどんな人種がいるんだ?」
「代表的なのは人間、獣人、ドワーフの三つでしょう」「エルフは高いのであまり入荷しませんので、はい」
「獣人とはどんな人種なんだ」
「二足歩行する獣といえばいいでしょうか」「身体がほとんど人間で耳と尾だけ獣もいますね、はい」
「ドワーフは?」
「私は手先が器用ならばドワーフとして売っていますね」「店によってはずんぐりしているなどを特徴にしているところもあります、はい」
エルフも気になるが今はいいか。
「お客さまの要望は?」
「料理ができる奴が欲しい」
「料理……」「ですと種族は問わないのですね」
「ああ」
「どれくらいお持ちですか?」
どれくらい? お金のことか。
「安いのはどれだ」 質問に質問で返す。
「こちらへ」
奴隷商についていく。
「これらが最低ラインの品です、はい」
「いくらだ」
「金貨10枚ほどです」
「ごゆっくりお決めください」
どんなのがいる? どれどれ。
「ゔぁあああ」
『ガコンッ』
何だ? 音が出た檻を見る。
女の子が檻に体当たりをしていた。
耳? 彼女の頭に丸い耳のようなものがついている。獣人かな? これが。
ふと彼女と目があった。めっちゃ威嚇されている。
彼女の髪は山吹色。 キツネかと思ったが耳の形を見るにイタチかテンかな。
「あなたはだあ〜れ」
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なまえ:見れません
種:獣人(貂)
属性:幻・火
スキル:
《料理Lv6》《爪術Lv1》《剣術Lv2》
ユニークスキル:
《幻魔法Lv1》《鑑定Lv5》
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お! この子料理のスキル持ってる! レベルについてはいまいちわからないけど僕よりはできるだろう。
五郎丸にもついていたけど属性って何だ?
他のも見てみたけど、料理のスキルを持っているのはこの子だけだな。
「奴隷商」
「はい?」
「こいつはいくらだ」
そして彼女に指をさす。
「そちらは見た目は良いのですが、見ての通り素行が悪くて」
「金貨12枚ほどでどうでしょう」
金貨12枚。余裕で出せるな。こういう店、情報量とか取られそうだな。一枚多く渡そう。
「これで」
「毎度あり」 「では、こちらへ」
さっきのカウンターのところに戻ってきた。
「こちらにお客さまの血を一滴垂らしてください」
なるほど、これを想定してたんだな。 能力をカにして吸血。 口じゃなくても吸血できるみたい。
「これでどうだ」
そして奴隷商に血を渡す。
「では始めます」
奴隷商が何やらブツブツ言っている。魔法を使うのかな。どんなのだろう。
「契約」
彼女の手の甲に何か浮かび上がった。いつの間に大人しくなったんだろう。
「これでこのものはあなたの物です」 「毎度ありがとうございます」
彼女を抱えて店を出る。
「そういえば僕、制服着たままだな」