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異世界にお仕事として赴くこととなりました。まあ、研修期間も設定されていますし割とホワイトな環境です。現場裁量で全てまかなうのは良いのですがどこまで自由に過ごして良いのでしょう?

フリーのSEである、青居荘一朗。新しい案件は異世界での調査?

行く先は貞操感逆転世界で種付けは自由と。

やることは旅をするだけのようですけど、本当に大丈夫でしょうかこの仕事。

異世界転移と聞くとみんなはどんなイメージがありますでしょうか?


トラック等にひかれて気がついたら異世界に居るという話でしょうか?

もしくは事故などにあって神様からチート能力をもらって異世界に運ばれる話?


大体元の世界では死んでしまってその魂を異世界に移すという形が大半であったように思います。

私もつたない異世界知識ではそう思っておりました。


さてさて、私に起きました異世界転移は少し変わった始まりをしたのでは無いかと思います。



私ははフリーのシステムエンジニアをやっております。

とは言え、ものすごい技術を持っているわけでも無ければ、すごい経歴があるわけでも、コネを持っているわけでもございません。

SEと言えばまあ聞こえはよろしいですが、どちらかというと何でも屋、便利屋という意味合いが強いのが悲しいところでしょうか。


プログラムも組みますが、UIのデザインもやります。イラストが必要となれば描きますし、クレームがあればクレーム対応も致します。

このように書きますとジェネラリストと思われるかもしれませんが、それほど立派な存在ではありません。

プログラムも掛けはしますが普通のプログラマーよりかなり時間がかかります、UIのデザインにしてもどこかで見たことがあるようなUIしかデザインできません。

イラストも手が早いことだけは褒められますデッサンか狂っていることが当たり前で、クレーム対応などはようは慣れです。

とりあえず心を無にして、相手の言っていることを聞いている振りをします。聞く必要はありませんどうせ同じ事を繰り返すだけですので。そして結論を出す必要もありません。

とりあえず、持ち帰って検討いたしますだけで十分です。

ほとんどの人は文句を言いたいだけで何が変わるとは思っていない方がほとんどです。



私は多分、便利使いが出来るからプロジェクトが始動するときに混ぜてもらえることが多いのでは無いかと考えております。

お掲げ様でそれなりに仕事も入りなんとか生活が出来ております。

ただ、収入が安定していないのは困りもの。プロジェクトが終わったときにはまとめて収益がありますが、受注前、プロジェクト進行中は基本的に入金はございませんし、そもそも仕事が無い状態が続けば収入は0になります。


そんな中、一つの大きなプロジェクトが終わった直後の事でした。

次の仕事を探さないとなぁと思って仕事用のメールをのぞくとこのようなメールが届いておりました。



『突然の連絡申し訳ございません。

 今回、ご連絡を取らせていただいたのは青居様にお仕事を頼まれていただけないかと思いご連絡とさせていただいております。

 少し長期の仕事になるかとは思いますが、十分な報酬を準備しておりますので一度お話をさせていただけないでしょうか?


 もしご興味がありましたらご都合の良いお時間をご連絡をいただけますと助かります。』


おっと、自己紹介が遅れました。

私、青居荘一朗と申します。しがないSE何でも屋です。


こういったメールは時々届きます。

大半はいたずらか単価の低いうまみのない仕事なのですが、極たまにあたりの仕事が入ってきます。

まあ、ダメ元で話だけでも聞いてみましょうか。と思って返信をさせていただきました。



『時間はあるので何時でもかまいません、ご都合の良い日程に会わせます。

 どのようなお仕事か一度お話を聞かせていただければと存じます。』


という返事を送った次の瞬間、俺はただ広い部屋に居りました。

正直意味な事を申しますと意味が分かりませんでした。

気がつくと目の前には木製の荘厳なと言いたくなるような立派な机とその向こうに初老の人物がニコニコした顔で座っておられます。



「ご返事誠にありがとうございます。

 何時でも良いとの事でしたので、早速ではありますがお呼びさせていただきました。」


「まずは条件面を含めてお話をさせていただきたく、少し時間もかかるかと思いますのでお座りください。」


目の前の人物はそう言うとソファを指さしました。

というか、こんなところにソファーありましたでしょうか?先ほどまでは何も無かったように思うのですが....


とりあえず、立っていてもどうしようもございません、促されるままに私はソファーに座らせていただくことと致します。



「やはりさすがですね。落ち着かれている。

 今までも何人かの方とこうして面接を行わせてもらったのですが、慌てもせず、叫びもせずソファーに座られた方は貴方が初めてですよ。」


「いえいえ、慌ててますよ。

 というか、現状が分かっておりませんので、お手数なのですが少しご説明をいただいてもよろしいでしょうか?」



素直な私の疑問です。状況が分からないので分かっていそうな人に聞く、ごくごく当たりませの行動ですね。



「ああ、そうですね、まずは突然お呼びしたことをお詫び致します。

 私は、管理者、少し違うのですがあなた方の言うところの神に近しい者です。

 別に全知全能なわけでもありませんし人間を作り上げた存在というわけでもありませんが、現時点で地球を含む幾つかの世界の管理を行っている存在とご理解いただければと思います。」



神様ですか、これはまたかなり大きなクライアントですね。



「神様でございますか。

 なるほど神様なら一瞬で場所を変えることも出来ると、そうするとここは神界とかそういう場所になるのでしょうか?」


「いえいえ、ここは世界と世界の狭間、どこにも属さない場所というのが正しいですね。

 我々が住んでいる場所もあるのですが、そちらにご招待すると最悪お体に支障が出かねないと考えてこの場を用意させていただきました。」


「世界の狭間ですか、なるほどそういう場所もあるのですね。」



段々と理解が追いついてきました、神様というのはまあ信じて良いでしょうね、そうで無ければこのようなことは出来ないでしょうし、問題はいわゆる邪神という者に分類される存在なのか否かですが、こればっかりは判断できません。というか、善良なクライアントなんていませんからねいつも通りに対応していけば良いでしょう。



「今回、青居様にお願いしたいことなのですが、私の管理している世界の一つに赴いていただきたいのですよ。

 そこで、ちょっとした調査業務を担っていただきたく考えております。」


「調査ございますか?

 私は所詮はしがないSEに過ぎません、調査等の仕事であれば専門の、探偵などを営まれているかたの方がよいのではございませんか?」


まずは、なぜ私なのかということですね、私を選定した理由、何でも良いのですが理由が分からなければ判断が出来かねます。



「もちろん、そういう方にもお声がけをさせていただいては居るのですが、そういうお方は思いのほかこのような突発的なトラブルに弱いようでして、今までお声がけさせていただいた方は全てまともなお話し合いに至ることが出来ませんでした。


 そこで、今回はアプローチを変え、調査能力では無く汎用的な技術力を重視し、青居様にお声がけをさせていただいた次第です。」


「正直私としましては、このアプローチが正しかったと確信しております、少なくともこうして話し合いが出来る状況に至っているわけですので。」


ふむ、どうやら消去法で私にお話が回ってきたという事みたいですね。

あとは、やることが私に出来るのかと、報酬が納得いくのかにかかってきますね。



「なるほど、それではその調査というのはどういった内容なのでしょう?

 私自身はデバッグなどの経験はございますが、聞き込みなどの調査を行った経験はございません。

 私に出来る内容であれば良いのですが。」


まあ、これで最悪は私には出来ないという話でお断りすることも出来るでしょうし、話を聞いて見るしかありませんね。



「調査といってもたいした話ではないのですよ、私の管理する世界に行っていただき、幾つかの場所に訪れていただくだけです。

 その場所にさえ行っていただければ貴方を通して現地の情報が入ってくるようになっております。

 ですので、現地に行っていただき、そこで指示通りに動いていただければ調査、解析は当方で対応させていただきます。」


「なるほど、であれば私にも出来そうな内容ですね。

 指定された場所に行き、指示通りの行動を取るだけで良いというわけですね。」


「はい、それに加えまして現地に移動する前に問題が生じないように研修も実施させていただきます。

 現地は何分ファンタジーの世界というやつでして、文明の程度も18世紀程度ですし、魔物と言われるモンスターも存在します。

 このため、移動自体はほぼ徒歩となりますし、野営の必要もあります。

 また魔物に襲われる可能性もございますので、現地で生活する最低限の技能。

 そうですね、魔法の習得や身を守るために武術等を研修として習得していただいた後の移動になりますのでご安心ください。」



「魔法や武術の習得ですか?

 申し訳ないのですが、ここのところ運動不足で数ヶ月の研修でこれらを習得できるとは思えないのですが...」


運動系の部活をやった経験もございませんし、日常的に運動をしているわけでもありません。

ましてや魔法などと言う全く未経験の分野一朝一夕に習得できるはずもありません。

これは対応出来ないと考えた方が良いかもしれませんね。



「ああ、ご安心ください。

 基本的な事柄はスキルとしてインストールさせていただきますので、即座に習得できます。

 ただ、スキルとして与えられたからと行ってすぐに十全に使えるというわけではありませんので、その辺を習熟いただくという話になります。

 具体的には使い方とコツなどをご理解いただけるようご説明させていただくことと、現地での注意点等の座学が中心になります。」


ふむ、私もソシャゲなどの案件の影響で異世界転移などの知識はそれなりに把握しているつもりです。

言われてみればいちいち納得な内容ですね。

スキルをもらって使い方の説明もなしにいきなり送り込むとか、今時ブラック企業でもそんなことしませんよ。



「なるほど、大体は理解致しました。

 研修はどれくらいを想定されていて、現地での対応はどれくらいの期間を想定されておられるのでしょうか?」


「研修は概ね3ヶ月を想定しています。

 場所は、ここですねこの狭間の空間を利用致します。食事や宿泊設備はこちらで準備致しますので、何もいりません。

 研修中は大体朝10時から昼休みを1時間とりまして17時までを想定しております。

 現地での期間はおおよそ1年ほどでしょうか?所定の場所を全て回っていただくまでの間となります。

 現地での就業時間は定めておりません、というのも何時に起きて何時に寝るか、どういう移動方法でどこまで向かうか等完全自由裁量に任せております。

 現地での訪問場所10ないし11カ所ほどですが、そこに移動していただき、その場所で1日程度指示に従っていただく以外は自由にしていただいて結構です。

 現地での滞在費も最初お渡しさせていただきます。ただ、これらは現地通貨となりますのでご注意ください。

 普通に移動、宿泊、食事などをなされる分には十分な金額をご準備させていただく予定ですが、現地でそれ以上の交遊日が必要な場合、ご自由に現地調達をなされてもらってかまいません。

 魔物を狩ってその素材などを商店に収めるなどすればそれなりに稼げるかとは思います。


 次に報酬に関してなのですが、全てが終わり地球に戻られましたなら、宝くじをご購入いただく予定です。

 ご購入された宝くじは必ず1等が当選致しますのでこれを報酬と変えさせていただきたく。」


ふむ、1年半というところでしょうか?結構な長期ですね。

ただ、報酬はかなり良いですよ。宝くじの1等賞金って確か10億くらいでしたっけ、それに非課税というのも大きいですね。


「報酬で宝くじの当選というのは大きいですね、これは連番で買ってもよろしいので?」


「ええ、好きにお買いになられてかまいません。ご購入された中に必ず1等が入るようにこちらで調整致します。

 正直、適当に現金を持ってくるには地球だと色々弊害があるんですよね。

 宝くじが一番手っ取り早いんですよ。当選番号をなんとかするだけですからね。」


ああ、紙幣のコピーをするにしても番号の問題もありますしね、どこからか持ってくるとするとそのお金の元の持ち主はどうなるなどが問題になると。

システムに則ってお金を作るとするなら宝くじが一番良いと言うことですか、確かに納得できます。



「なるほど、では私の方で用意する物等ございますでしょうか?」


「いえ、特にございませんというか、現地には地球の物を持ち込むことが出来ませんので、現地に持ち込む物は全てこちらで準備させていただきます。

 研修の際には持ち込んでいただいてかまいませんが、現地が終了するまでこちらで保管とさせていただきます。

 ああ、現地に持ち込みたい物等ございましたら予めご連絡ください。これは研修期間中に仰っていただければ問題ございません。

 現地に存在していて問題の無いものであれば基本的に準備をさせていただきますが、現地に無いような物あるいは持ち込まれると不都合になるような物は持ち込み自体を禁じさせていただくこととなります。」


「現地に無いものを持ち込めないは理解できるのですが、不都合な物とはどういった物なのでしょうか?

 現地に既にあるのであれば持ち込んでも問題にならないように思うのですが?」


「そうですね、例えば毒薬とか病原菌などがそれに当たりますね、現地には一応爆薬も開発されていますがこれらも持ち込みはご遠慮いただきたく思います。

 それ以外にも王族を示すアクセサリーだったりとか現地には有るのだけれど特定の人が持っていると問題になるような物は禁止とさせていただきます。」


「ああなるほどですね、旅人が持っていて問題の無いものはOKだけど、持っていることがおかしい物はダメと。

 納得がいきました、これはしょうがないですね。」


まあ、正直大量破壊兵器とか持っていたくないですしね、王族を示す物とかトラブルの元でしかない。

具体的な物は研修中に確認が取れそうなので現時点ではこの辺までですか。



「魔法などのスキルに関しましては、


 1.4属性(火水風土)の基本魔法

 2.回復魔法これは自動発動としております、怪我や病気になると自動的に発動して修復する形ですね、四肢欠損くらいは直りますのでご安心ください。

 3.ストレージ魔法、所謂アイテムボックスです。生物は入れられませんが時間経過はありませんので食料品などは手に入るときに買って入れておくと良いですよ。

 4.転移魔法、一カ所指定した場所に帰れる魔法です。現地に移動した後まずはセーフハウスを準備していただく予定です。

   このセーフハウスに戻れる魔法を準備させてもらいました。これはなんと言いますか誰かに捕まったり、監禁されたときの対応用ですね。

  どうしようも無くなったなら、この魔法でセーフハウスに戻ってください。

 5.剣技と槍技、近接戦闘が出来ないと割となめられますので準備させていただきました。

   剣技だけで良いかとも思ったのですが、リーチのある槍の方が戦闘になれてない方には向いて居るかと思いまして、研修中も基本的には槍を中心に習得していただく予定です。

  剣は槍の使えないような狭い場所でのいわゆる保険的な立ち位置ですね。


 これらを考えています。後研修中に余裕があるようなら馬術も追加しようかと思っています。

 馬術があれば移動が素早く出来るようになりますからね、とは言え馬から振り落とされるようだと危険ですので研修中に習得できない場合はなしと言うことで。」


「おお、割と手厚いですね。ありがたいです。

 ですが、転移魔法ですか?監禁されたときとのことですが、そうそう監禁などされないと思うのですが。」



「えっと、そのう、非常に申し上げにくいのですが、現地は所謂貞操感逆転世界というやつでして。

 男女比が非常に偏っています、おおよそ女性100人に対して男性1人くらいでしょうか?

 村に一人男性がいるくらいの比率です。

 このため、男性が一人で旅をなされていた場合、捕まってしまう可能性がございまして。」


「なるほど、捕まってしまったときに逃げるようと言うわけですね、であるのであれば普段は男性だとばれないようにした方が良いのでしょうか?」


「いえ、それには及びません、それなりに戦えて、魔法も使えて勝てないと分かれば襲ってくるような人はまれだと思いますし、

 その、なんと言いますか。現地で子作りをなされることはそのぉ、禁止しないと言いますか、どちらかというと推奨する話となっておりまして。

 これは出来ればで良いのですが、貴方の遺伝子を向こうの世界にできるだけばらまいていただけると助かります。

 貴方のお子様は地球と同様に男性が生まれる確率が50%ほどとなっております、これは、現地の男性不足を解消する事も出来るのでは無いかと期待されているのですよ。

 ですので、現地で気になる方がおられましたら、遠慮せずに押し倒していただいてかまいません。

 といいますか、おそらく貴方がやりたいと仰るならそれを断るような者は現地には居ないとは思いますが...」



なんか、とんでもない話になってきましたね。

現地に遺伝子を残すと、まあこれは任意みたいですが後腐れも無く好きに出来るのであればまあ適当に遊ばせていただきましょう。



「それでは、ご契約でよろしいでしょうか?

 よろしければこちらの契約書を一読いただいて、こちらにサインのほどお願いします。



とまあ、こんな感じで私の異世界転移が決まったわけなのですが、この案件がこんなにきついとは本当に予想外でした。


そんなに長くならない程度に収める予定です。

まあ、豆じゃないのでw

基本不定期ですね。

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