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かくも世界は醜くて~魔導師学校の陰陽師~  作者: おおよそもやし
泥中を迷う
33/107

空夜

 ショッピングモール1階、食料品売り場西側エリア。


「…なんだか嬉しそうだね。良いことでもあったのかい?」


 騒乱の跡がそのままに放置された売り場で、試食コーナーにベーコンをつまんで珈琲色の髪の軍服の女が尋ねると、同じく軍服姿の黒髪の青年はぱっと笑った。


「それはもう。この上なく良いことがあったんだ。」

「ふーん。それにしては頬が腫れているように見えるけど?」


 パタンとケースの蓋を閉じながらどうでも良さそうに掛けられた問いに、青年はこれまたにっこりと笑った。


「うちの子にね、ちょっと。やりすぎてしまったみたいで怒られてしまって…。」

「なるほど。君、親バカなんだな。」

「ふふふ。当たり前でしょ。

…それにしても、死んだ時はもう2度と会えないかと思っていたけど…2人仲良く頑張ってるみたいで良かったよ。ああ、やっぱりかわいかったなぁ。」


 そう微笑んで、青年は踊るような歩調で出入口の方へと向かっていった。


「…怖ー。」


 女は、足元の小狐を抱き上げて青年の後を追いかけた。


「待ってくれよ、カザハヤくん。奴らは連行しなくてもいいのかい?」


 小走りで青年に追い付くと、女はびっと通路に転がされている黒装束たちを指さした。


「必要ないよ。…それに、『魔導学園』が今回の騒動を『常世教団』の仕業だと勘違いして食い潰しあってくれれば、私たち『日本(ヒノモト)解放軍』が少ない労力で両方とも潰せるしね。」

「おおっと…性格悪いな君…。」

「いえいえ、ホマレさんほどでは。」

「おい。それはどういう意味だい?」

「ははは。」


 そのまま2人は壊れて動かない自動ドアをこじ開けて、夜闇のなかに消えていった。


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