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今際
暗い暗い地の底で。
痛みからも寒さからも目を背けるように、ぎゅっと握りしめた手に縋った。
眠りに落ちるように安らかに息を止めた君の熱が、どんどんと消えていくのがただただ悲しくて。……虚しい。
大事な片割れだった。1番大切だった。
愛してる、のに。
君がどんどん消えていく。
君を知っている人たちだって、いなくなってしまう。
そんなのは、いやだ。
なんにもないけど。
なんにも残せないけど。
せめて。
君だけは、幸せになって欲しかった。
こんな虚しい最期じゃなくて、もっと穏やかに…………。
チカチカと途切れそうになる意識の中で、言葉にならない願いごとをした。
もしも、×××××××××___。