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イデアの書  作者: 片瀬
1/1

統央魔術戦線

 ―第X話『白炎の記憶』―


 本を開くと、そこに彼女は居た。

 純白の髪、透き通る様な白い肌、自分と同じくらいの背の少女。

 懐かしいこの気持ちを待っていた僕がいる。

「おかえり、イデア」


 ―第一話『声』―


「起きろー、蒼汰ー」

「ふあ~ ん、瀬呂か」

 聞き馴染みのある声で目を覚ますと、彼女がベッドで横になっている僕の腹の上に乗り話しかけてきた。

「君、今日何の日かわすれてなぁーい?」

「…あ」

 僕としたことが待ちに待ったこの日を忘れるとは。

「思い出してくれたならいいんだけど……先準備してるよー」

 部屋から出ていく彼女を尻目に、僕は自分の顔を叩きながら気合いを入れる。

「よし」



 片瀬蒼汰それが僕の名前だ。アザルエ大陸の中央に位置する、統央魔術国アイザ内にある中央都市アイザに住んでいる。


「おっ、やっとおりてきたか。おはよう蒼汰」

「おはよう」

 今声をかけてきた女の名前は水条瀬呂、僕の家の隣りに住んでいる一個上の幼馴染。毎朝窓から部屋に侵入してきては起こしにきてくれる。


「ねっ! 今緊張してる?」

「当たり前だろ、今日は魔力認定試験の最終日で、僕の士団生活とこれからの魔術ライフがかかってるんだ。これで落ちた時には僕の人生は……はぁ」

「そーネガティブになるなよ。魔術だけが全てじゃないだろ?」

「そうは言っても魔術……いや魔術師は僕の夢の一歩なんだ。こんなところでつまづいてる場合じゃ」

「大丈夫。蒼汰にはこの天才魔術師の私がついてるんだから。君の潜在能力の高さは私が保証する」

 そう話をしているうちに支度を済ませると瀬呂が僕の手をひいて言う。

「いくよ!」

 優しく力強い言葉と共に僕たちは家を飛び出した。



 ――魔術とは

 詠唱することで、魔力を術に変えて具現化したもの。

 魔力、魔術には様々な種類があるが、魔術の基本かつ汎用性が高いのが元素魔術である。

 産まれた時から体に備わった自然的な力、元素魔力を用いる魔術で、6つの属性がある。

 魔力を元に対象を燃焼させる性質を持つ『炎元素』

 対象の魔力を流失させる性質を持つ『水元素』

 魔力を元に対象を凍結させる性質を持つ『氷元素』

 魔力量を密度に換算し、破壊力が増す性質を持つ『土元素』

 魔力で風を制し、対象を収集する性質を持つ『風元素』

 魔力を伝い、対象の数電染させる性質を持つ『雷元素』


 産まれ持つ元素魔力は始めは基本的に1種類のみで、潜在能力の高さによって他の元素魔力が覚醒する場合がある。


 元素魔術を使える者の例として、水条瀬呂は水元素を扱える。基本的に自身の元素魔力が分かるようになるのは士団術師生科に入団できるようになる16歳からだが、水条瀬呂は他とは違い圧倒的な才を持ち、わずか6歳の頃から元素魔力を使えた。

 対して片瀬蒼汰は16歳、瀬呂が魔術を使えるようになった日から、毎日欠かさず魔力に関する本を読み漁っていて、知識はあるが毎年2月、3月、4月にある入団試験、魔力認定試験に2回落ちている。現役で士団に入るためには、今回の試験で元素魔力を含めた潜在する魔力を試験官に示さなければならない。



 ――試験開始

 夢の1歩を防いできた試験官を前に瀬呂の言葉を思い出す。

『蒼汰、君の体の奥からは懐かしいような、心の奥にしまってあるようなそんな魔力を感じるんだ。大丈夫、君の努力は、知識はきっと君を見捨てない。思い出してあげるんだ』

「そうだ。俺はなるんだ。俺は魔法使いに!」

 蒼汰は魔力を感知する特殊な魔術瓶の前に手をかざす。


 瞬間。蒼汰の頭の中に何かが流れ込む。

『…れ……いで』

「ッ!」

 ハッとして状況が飲み込めずにいると、机を挟んで反対側でふんぞり返っていた試験官が机の前に立っていた。

「……これは」

 驚いたような声を出している試験官の目の先を見ると。

「魔術瓶が光ってる」

 瓶が光る。つまり己に宿る魔力が証明されたということ、しかし試験官が驚いているのはそこではなく、瓶の光の色。通常、元素魔力が判明した時はその属性から想像できる色に光る。炎なら赤、水なら青。

 ただ周りを照らしている、無色の光。

 これまで数多の術師候補生の魔力認定試験を請け負ってきた試験官だが、この色は1度も見たことがなかった。


 上層部に確認すると言い、急いで部屋をあとにすると、既に片瀬蒼汰には別の考えが頭にあった。

(魔力が証明できたのは良かった。だけどあの光、そしてあの声は一体……)

 色々頭の中で考えを巡らせていると、外で待っているはずの水条瀬呂が部屋の扉を勢いよく開いて入ってきた。

「蒼汰! やっぱり私の目に狂いはなかった。なるよ魔法使いに!」


 一話『声』終

本文で出てきた人物、用語の解説、補足

〜人物紹介〜

・片瀬蒼汰

白髪(親は黒髪だが何故か白い)・170cm・水条曰く可愛らしい顔・努力家だが結果がイマイチ出ない、勝気な勤勉野郎・仲間にはなんだかんだ優しい


アザルエ大陸・統央魔術国アイザ・中央都市アイザ


アイザ魔術騎士団・術師生科・候補生


父はアザルエ大陸、母は別大陸の出身で元々母の出身で暮らしていたが、片瀬家とものすごーく仲良くしていた水条家の瀬呂が魔力に目覚めたのをきっかけに、高度な魔術を学べるアザルエ大陸のアイザに引っ越してきた(片瀬家は蒼汰が瀬呂と離れたくないと猛烈に駄々を捏ねた結果一緒にきた)、他にも蒼汰と同年代の幼なじみの櫻木千夜と緋日楓が一緒に引っ越していて、千夜と楓は1回目の魔力認定試験で合格し、今は入団の準備をしている。

父と母は水条家と旅行に行っていて家に居ない。

片瀬家「瀬呂がいるから私たちが居なくても大丈夫よね!試験頑張ってね〜」

と言われ現在は瀬呂とはほぼほぼ同棲のような状態。


父が言うには由緒あるすんごい家系らしいが、そう伝えられてるだけで何が凄いかは父も知らない。


・水条瀬呂

茶髪(これは遺伝)・175cm(蒼汰の頭ポンポンするくせがある。蒼汰のイライラの原因その1)・片瀬曰く可愛いよりの美人(特に何か意識してる訳でもないがマジ美人)・ポジティブマイペースの天才・蒼汰を弟ように思っている


片瀬蒼汰と一緒


アイザ魔術騎士団・術師生科


片瀬家と二人三脚で生きて来たのでほぼほぼ同じ!

ただ片瀬家と違ってマシで普通の家系で瀬呂は突如産まれた天才。

たまに1人でどこかに行くことがあり、行く先は不明。蒼汰も気になって後を着いて行ったことがあるが、どこかしらで巻かれる。


〜用語〜

・アザルエ大陸

地球上で最も大きい大陸で主な国に統央魔術国アイザ、魔法公国シンガが挙げられる


・統央魔術国アイザ

魔術が発展している国で、世界でも五本の指に入る程の強さを誇る魔術団、『アイザ魔術騎士団』が属している。


・中央都市アイザ

統央魔術国アイザの首都。蒼汰や瀬呂達が住んでいる都市で、アイザ魔術騎士団の本拠地や王城がある。


・アイザ魔術騎士団

防衛、護衛、討伐などを受け持つ。術師生科と呼ばれる魔術を学ぶ為の場所でもあり、騎士団に所属する者のほとんどが術師生科出身。


・魔術

詠唱(言語化した図面的な)することで魔力を術に変えたもの。基本的な元素魔術を始め、様々な魔術が存在する。


・魔力

有機物が有する特別な力、大気や水などにも含まれている。それぞれが魔力の性質を持っている。


・魔術瓶

術者の手をかざす事で、任意の魔力、魔術を封じ込める事が出来る。主に魔力認定試験で用いられる。

瓶の蓋を開けても霧散するだけだが....


・魔力認定試験


術師生科候補生が正式に術師生科に入るための試験。

試験官とマンツーマンで行われ、魔術瓶に魔力、魔術を流し、瓶が光れば合格。光らなかった場合は不合格となる。

試験日は毎年2月、3月、4月に行われる。編入生があり、一定の功績がある場合は特例で試験をする場合がある。




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