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反逆

「へぇ、奇遇ですね。僕もジュダスさんという方を存じ上げているのですよ。」

「反逆のジュダスは十五年前にこの世界で何故か命を落としたのだ!貴様なんぞが会っている訳が無い!」


 ターシットの話を出鱈目だと思っているカースは、言葉を遮るかのように言葉を被せる。ただそんなカースがふとターシットの言葉の中で気になったことがあったことを思い出す。


「貴様、先程エターナルアゴニーオブデスが消えた時、満たされたと言ったな?」

「えぇ、貴方の必殺技から魔力を奪ったんです。この世界では二つとないと言うに値する、想像以上に素晴らしい魔力でしたよ。」


 魔力を奪う、その言葉を聞いて寒気を感じるカース。そんなことをできる者はそうはいない。悪魔も相手の魂を食らって魔力を得る。しかし、それは人間が食事をするのと一緒で生きるための行為である。


 しかし奪うというのはそれとは異なる。人間がポーションやエーテルを使うように回復するためにその対象から強奪するのである。まして放った魔法から魔力を奪うなどできる者はカースは一人しか知らない。そうやってデモンズリングオブトゥエルブから魔力を奪い去っていった悪魔。


「ま、まさか貴様はジュダス…。」


 カースは生気が失われるような感覚に陥る。ターシットと名乗るこの人間がジュダスであるとしたら、万に一つも勝算は無い。敵に回してはいけない者を敵に回してしまったことになる。


 悪魔にも悪魔の世界が存在し、その世界の頂点に君臨するのがデモンズリングオブトゥエルブである。悪魔の世界の秩序を為している存在である。基本的に悪魔は実力主義であり、強い悪魔がデモンズリングオブトゥエルブに名を連ねる。


 ジュダスはデモンズリングオブトゥエルブに名を連ねた訳ではない。しかし、その特異的な力からデモンズリングオブトゥエルブからも畏怖される悪魔だった。


 元々ジュダスはレッサーデーモンだったと言われている。進化してそれ程までの存在になったということになる。しかし進化する存在自体が稀有であったが、尋常ではない速度で進化していった。その進化を支えたのが、生きている相手の魔力を奪うということである。ジュダスは奪った相手の力を根こそぎ自分の物としていき自身を強化していったのである。最初は同位のレッサーデーモン、次はグレーターデーモン、更にデーモンロードと。あらゆる悪魔の力を奪ったことでジュダスはデモンズリングオブトゥエルブに相当する力を手に入れたという。


 ジュダスが強大な力を手に入れたことで、デモンズリングオブトゥエルブは驚異的な存在と捉えた。しかし、その力の手に入れ方が悪魔の中でも許しがたかったようだ。ジュダスはデモンズリングオブトゥエルブに匹敵する力を持ちながらも同族すら敵に回す悪魔、十三番目という呼称で呼ばれることになった。


 そんな中、ジュダスは十五年程前にプリミエールエトワールに召喚され、悪魔の世界を去った。そしてずっと戻ってこないジュダスは死んだと考えられたのである。悪魔たちは安堵した。悪魔であってもあの力はあってはならない力であると考えた。


 ジュダスは魔石を持つ者から力を奪ったと言われている。しかし、目の前にいるターシットは魔法から奪ったという。ジュダスであってもそんなことはできないはずだった。


「僕は元々魔法が使えない体質でして、その魔法に対する羨望がこの奪う力に新たな力を付与したのかも知れませんね。」


 ターシットはニヤリと笑う。ターシットは放出する魔法を使えない人間だった。魔法が使えない、そう思い込んでいた。そしてそこから魔法を放つということに強い羨望を抱くようになった。ジュダスの力を我がものとしたことで、その欲求によりターシットは魔法から力を奪うということができるようになったと思っていたようだ。


「さて、ゆっくり最後のお話もしていただきましたし、そろそろ終わりにしましょうか。」

「くっ…!」


 ターシットは口の端を上げ、剣をカースに向けて構える。


「調子に乗るなよっ…!エンドレスヘル!」


 ターシットとカースを大きな球体が包み込み、ターシットの目の前に映る世界が変わる。


「へぇ、まだ面白い能力持っていたんですね。」

「いくら貴様がジュダスと同じような存在であろうと、この私が作り出したこの世界からは逃れられん。私はこの世界で圧倒的な力を蓄え、デモンズリングオブトゥエルブとなるのだ!」


 いまだ余裕を見せるターシットに対し苛立ちを見せつつ話すカース。カースはこんなところでは終わる訳にはいかなかった。この世界にいるうちに自身の悪魔としての力を成長させデモンズリングオブトゥエルブに名を連ねるために、この世界で暗躍しながら時間を割いてきたのである。


「まぁ、どうでもいいですよ。ここで貴方は死ぬんですから!暗月!」


 ターシットは剣を振るい黒い斬撃の衝撃波を飛ばそうとする。


「っ!?」


 しかし、振るった剣から黒い衝撃波が放たれなかった。


「無駄だっ!貴様の魔法は無効化されている!この中ではいかなる魔法も使えんぞ!」


 ターシットの様子に余裕を取り戻した様子のカース。しかし、そんなカースを見てターシットはまた不気味に笑った。

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