転生
お腹も少し膨れ体調も良くなった私は、頭が少しシャッキリしてきたので状況を整理する。
まず、私はどうすればいいのか。
これはリアルな夢なのか。
寝て起きたら、いつもの様に戻っているだろうか。
体の痛みも重さも、野菜の美味しさも、屋敷に忍び込む緊張でバクバクと脈打った心臓も、夏の暑さのような少し強い日差しも、全て夢なのだろうか?
私は昨日まで、何をしてたっけ。
早く寝なきゃと思って、ベットに入った事は覚えてる。
でもその前がどうも思い出せない。
ここ最近の出来事も、これまで自分がどういう人生を送って来たのかもよく思い出せない。
日本、に住んでいた。
歳は、いくつだったか……。
高校生、大学生ぐらいだった気がする。
名前は……、愛理、そう、速水愛理。
親は……、覚えてる。
お姉ちゃんもいて、仲も良かった。
友達もいた、気がする。
もしや本当に転生……、いやそんなまさか。
本を読むのは好きだったから、そういう類の物は大好きだけど実際に現実に起きてるなら別だ。
冗談も大概にしろ。
神だか何だか知らないが、こちとら親も兄弟も友達もいるし、それなりに充実してた気がする。
にもかかわらず転生とかどういう事よ。
こういう物の鉄板は、酷い目に遭っててあっちに思い入れの少ない人とか、トラックと事故に遭うと飛ばされるんじゃないのか。
私ベットに入った所までしか覚えてないぞ。
神と会話した覚えもないし、スキルとか授けられた覚えもない。
まさかステータスオープンとか言うと、お馴染みのやつが出てくるんだろうか。
「ス、ステータスオープン」
気恥しさも相まって、少々どもりながら口に出すとブォンと音を立てて、ゲーム画面のようなお馴染みのプロフィール画面が目の前に出てくる。
わ〜お。
本当に起きよった。
名前:レティシア・レスピレ・アリス・リベルマン
(速水愛理)
年:五歳
HP:15/100
MP:10/100
役職:公爵令嬢
属性:火,水,土,風,光,闇
備考:転生者 神の子 祝福持ち
わ〜、お決まりのやつー。
しかも神の子って何〜。
祝福持ちって何〜。
チートの匂いしかしなーい。
もう異世界転生確定じゃーん。
しかも公爵令嬢って何だ。
薄汚れた服を着て、ご飯も与えて貰えない公爵令嬢とは。
あれか。
まさか、両親がクズパターンか。
ついでに言うと、まさかメイドとかもクズパターンか。
嫌だぞ私。
両親もクズでメイド達もクズとか、今世の人生ハードモード過ぎないか。
もう既に詰んでないかコレ。
どうやって生活していけばいいのよ。