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私のペットは皆何故か凶暴です(仮名)  作者: じゃがいも
まずは味方を作りましょう
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ドジっ娘トゥイーニー








あれから私は、人気者になった。





両チームの派閥には代わる代わる呼び出され、時に料理を時に掃除をまた時にティータイムのお誘いを受ける事になり、現在両チームでは私を獲得する為の熾烈な奪い合いになっている。







全く嬉しくない。















とは言っても、午前の仕事と午後の仕事が違ったり、ティータイムや3食のご飯のメンバー変わったりという程度で、そんなにひっきりなしに変わる訳じゃない。

お互い早い者勝ち、声をかけた順という決まりがあるのか、私を前にして喧嘩になるという光景は見た事ないので私も放置してる。




下手に突っ込んで、やぶ蛇になる方が怖いし面倒だし。















ちなみに私がどっちの方にも付いて行くのは、お互いのメイドさん方には私が幼くて何も分かってないのに加え、大人しくて何も言えないから、相手のメイドに無理矢理連れてかれてると思われてるらしい。



私自身も中途半端な立場でいたいとはいえ、実際ほぼほぼ連行されてる様なものなのであながち間違ってはないし否定したら面倒な事になりそうなので否定はしてない。












お陰で私はどっちのグループでも1番下っ端のパシリ的なポジにいる。







今は勧誘期間みたいな物なので、お互いボロを出さないようにしてるのかイジメみたいなものは今の所無い。




5歳の幼児にしては基本的に手伝ってくれないし、優しくもないがとりあえず絶対無理そうな事は言われないし、幼児の体でもギリギリ出来そうなパシリぐらいしか言われない。









お菓子もご飯もちゃんとくれるし、寝床もあるのでなかなかの待遇だと思う。














両派閥としては逆らわないし大人しいし、言われた事は聞いてちゃんとパシられてるし、良い小間使いぐらいには思ってるのだろう。














お陰である程度の仕事内容や館内の場位置、何がどこに置いてあるのかといった事はある程度おおよそは覚えられた。





まぁそういった諸々のせいで私はたまにトゥイーニーちゃんと呼ばれていて、揶揄されたりする時もあるのだが実際仕事内容としては間違っては無い。













とりあえず目立たず大人しいイメージを壊したくないし、諸々面倒なのでトゥイーニーちゃんというあだ名は甘んじて受け入れてる。









良いじゃんトゥイーニー……。


響きとか可愛いし……。















ちなみにトゥイーニーっていうのは、本来キッチンメイドとハウスメイドの両方の下働きを兼任するメイドの事らしい。




仕事内容が多いわりに待遇や賃金も良くなくて、長く続けるような物では無い類の結構なハードワークな上、トゥイーニーという事自体忌避される仕事なので、場合によっては落ちこぼれがやる仕事といった感じで結構馬鹿にされるらしい。

















とは言え私の場合はどちらのグループにも属していない事と、幼過ぎて簡単な仕事しか出来ないからという事になってるらしく、たまに揶揄されたり軽くマウントを取られるぐらいで、特段酷い目には遭ってる訳では無い。






でもトゥイーニー自体ハードワークなんだし、もうちょっと尊重してくれても良いと思うんだけど。

せめてトゥイーニーを揶揄するとか止めて欲しい。





これ以上となると後々怖いんだが。

















「トゥイーニーちゃん、そろそろファイブオクロックの時間じゃない?」



「あ、はい。」



「今日は奥様も旦那様も観劇と賭け事に行くみたいだし、早くしないと休めなくなるわよ。」




大きなキャップを被ったキッチンメイドさん3が呼びに来る。






ファイブ・オ・クロックというのは午後5時頃にする軽食と紅茶を摂る休憩時間の事で、この時代の人達は労働基準法も何も無いので全て家主達の裁量や生活スタイルに準じて働く事になる。


一応子供は夜遅くまで働く事は良しとはされていないみたいだが、言ってしまえば家主達が社長でメイド側はサラリーマンみたいな物なので、社長がやれと言えばやるしかない。












そんなんだから評判が悪いんだぞとは思いつつ普通の貴族の子供はかなり早く寝るらしいので、心がそれなりの歳の私としては、まだまだ夜更かししたい気分なので丁度いい。

まぁ、まだ体はついていかなくて途中から眠くて眠くてグロッキー状態にはなるんだけど。





一応それでも、幼児過ぎて使えないのに寝不足でさらに使えなくなるとの事で、仕事が一段落するファイブオクロックの後は特別に3時間の仮眠が認められている。

もうちょっとでこの強烈な眠気とはおさらばだ。






今日は何かな。

パッサパサスコーンかな、それともパッサパサクッキーかな。





ぼーっとしながら休憩部屋に行くと、今日のお菓子はこの前食べた薄いビスケットに薄くバターを挟んだあの焼き菓子だった。


ただ、この後も仕事があるからか前回よりかはバターが若干多めに挟んである。





紅茶も前回と同じ1番不評な安い紅茶にしてやっと食べようとすると、眠気からかビスケットをテーブルから離れた床にコロコロと落としてしまった。











あー、大丈夫かなこれ。

食べられるかな。







周りから落とした事を揶揄されながら取りに行く。












煩いなぁ、こちとら幼児だぞ。

このぐらいの時間じゃ眠くもなるでしょうよ。















《バタンッ》




《パキッ》













痛ったぁっ!!


思いっきり手と足擦りむいたんだけど……。















ってか何か今、嫌な音しなかった……?












ゴミにつまづいて盛大にすっ転んだ私は、そろそろとゆっくり顔を上げる。






運の悪い事に手を着いた所にたまたまビスケットがあり、私は盛大に2つとも叩き割ってしまっていた。



粉々である。


















嘘やん、私の…………。



私の分のビスケット…………………。













「きょ、今日はもう寝たら?」



「そ、そうよ。」



「疲れてるみたいだし、掃除は私達がしておくから早く寝た方が良いわ……。」





自分の分である2つしかない貴重なビスケットを叩き割った事で、周りから同情を得たのかあまりの盛大な転びっぷりにドン引きしてるのか、笑いを堪えているのか、その場はシーンと一斉に静かになり皆悲痛な面持ちで私から一様に目を逸らす。








しょ、しょうがないでしょうよ。

眠かったし、何かゴミがあったからつまづいたんだし……。

ゴミは私のせいじゃないし…………。















っていうか、私の貴重なお菓子…………。



ゆっくりと体を起こして、地面に着いていた体を軽く払い無言で席に着く。














シーンとした状態で、私が紅茶を冷ます為にふぅふぅと息を吹き掛ける音だけが響く。












私は安い紅茶を流し込むと、無言で休憩部屋を出る。


誰も私の分を分けてあげるとかは言わなかったし、何も出来ないのに声がかけられなかったのか、笑いを堪えてたのか、皆無言で私から顔を背けていた。















甘い物を一緒に食べていないからか、いつも飲む紅茶はいつもより苦かった。



泣く。







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