表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のペットは皆何故か凶暴です(仮名)  作者: じゃがいも
まずは味方を作りましょう
14/43

食べると結束力がupするビスケット












「それにしても今日の奥様、何だったの?あれ。」










ビスケットを持つと、小さな粉がポロポロと落ちる。





ちょっと焦げてるところもあるけど、きつね色に焼き色が付いていて、ふわりと甘い焼き菓子の匂いが漂って来て、少し幸せな気持ちになる。













「……あぁ………、あれね、えーと、今日は子羊じゃなくて牛、魚も煮込んだ物じゃなくて焼いたもの、それからサラダに乗ってるのは鳥じゃなくて牛が良かったみたいね。それからサラダにクルトンが入ってなかったのと、スープに入ってるのが足りないって。」



「はぁ……。本当に奥様はどうかしてるわよ。どれだけ肥れば気が済むんだか。」









あぁ、凄く美味しそう……。

惜しむらくは小さくて薄くて、サンドしている中の白い物も薄くしか乗ってない上に1人2個までしか食べられない事……。










大事に食べなければ……。









「旦那様も何も言ってくれないし……。また今日も出かけたんですって?」



「そうみたいよ。今日は賭け事か色事か、どっちかしらね?」



「はぁ…、本当に毎日毎日どうかしてるわ。」






1口口に入れるとサクサクとした軽い口溶けに、素朴ながら控え目な優しい甘さが口に広がる。

白いのはバターかな。






「多少なら紳士の嗜みとも言えるけど……、こうも毎日行かれて……。色々と大丈夫なのかしらね?せめて狩りとかなら面目も立つのに……。」



「本当よね、何か体を動かす勝負事なら体だって少しはスリムになるでしょうに。」





ちょっとした塩っ気が、より砂糖の甘さを引き立たせ、皆大好きの甘塩っぱい味。



これはいけない。

控えめな甘さとほんのり効いた塩味が、どちらも主張は弱いのに、どちらも弱いからこそ丁度いい塩梅でお互いがお互いの良さを引き出しあっている。



「そう言えば聞いた?旦那様、お医者様からその事で注意されたらしいわよ。ふふふ。」



「ふふ、でも無駄よ。旦那様、まったく聞く耳持たないんだもの。」





決して味は濃くないのに素朴ながら丁度いい塩梅で甘塩っぱく、またサクサクとした軽い口溶けで思わずどんどん食べ進めてしまい、食べれば食べるほど止まらなくなる。




「結局旦那様が烈火の如く怒って、お医者様を泣かせて帰らせたらしいじゃない?可哀想にね、あと何ヶ月持つのかしら。」



「少しぐらいその食料を私たちに分けてくれればいいのにねぇ……。」



「そしたら旦那様も丁度いい食事量になりそうなのにね。」




そこにメイド用の安い紅茶で口の中を潤すと、サクサクほろほろとした優しい甘塩っぱさが口の中で解け、少し味が薄く渋めのお茶のお陰で口の中がスッキリとする。










コイツ、なかなかやるな……。


他のメイドはこれより若干品質の良く、渋みもこれより少ない茶葉を選んでいたが、私がたまたま選んだ物は当たりだったようだ。




このビスケットには他のメイドが選んだやつより私の茶葉の方が合うだろう。


紅茶単体で飲むと安っぽく感じるけど、ビスケットと一緒だとこの数倍は美味しい。







香りばかりが良くて少し味が薄く渋めなので、見かけ騙しといった感じで不評らしいが、逆に味が薄い事によって渋みも思った程少ないし、控え目で素朴なビスケットに少しスッキリとした味わいでわりと合っている。

香り高いのもわりとポイント高い。





わりとこれ、下手な物より汎用性高いのでは?















「だからね、ちょっと聞いてる?」




「え?あ、はい。」




やっば、全然聞いてなかったわ。



謎にグルメ通ごっこしてたら楽しくなっちゃって。





「だからね、あなたもハウスメイドの人達とは仲良くしない方が良いわよ。あいつら本当に、私達にばっかり責任を押し付けて仕事も増やして来て。尻拭いまでしてやってるのは私達だってのに私達の悪口まで言いたい放題。」



「へぇ。」



「あまつさえ早く来なきゃ、こうやってゆっくりビスケットを食べる事も出来ないのよ?本当に卑しいのはどっちだか!」



「うーん、大変なんですねぇ。」



「そうなのよ!まったく。私達だって砂糖もバターも節約して、食べてる物だって皆同じだってのに、何を勘違いしてるんだか、訳の分からない事を喚くし。」



「あいつらこそ、奥様に良い物でも貰ってるでしょうに!」



「本当よね。私達がキッチンから出ないのを良い事に、掃除の合間にあいつらは代わる代わる食べ残しの料理やらお菓子やら奥様に貰って。」



「へぇ、実際に貰ってる所を見たんですか?」



「まさか!こっちだって仕事中なのよ?そこまで暇じゃないわ!」



「でもね、他にも何人もそういう現場を見たって言ってるのよ!」



「へぇ、その人達は今はいないんですか?」



「ええ、ここは移り変わりが激しいから。皆すぐ辞めるか辞めさせられちゃうわね。って言っても奥様も旦那様もあんな調子じゃ、無理も無いわよ。私だっていつまで続くか。」



「本当よねぇ……。人手不足なんだし、あんなに怒らなくたっていいのに。」



「そんな感じだから、まぁ、あなたも大変だとは思うけど、ハウスメイドのヤツらと奥様達に目を付けられない様に頑張んなさいよ。」



「ハウスメイドのヤツらのとこ行ったって貴方なんてせいぜい、パシられるのがオチなんだから。」



「機嫌が悪い時の、奥様や旦那様対応とかね。」



「パシるぐらいならまだマシでしょ。あそこはいじめもありそうじゃない?」



「確かに。こっちはそれなりに、結構仲良いけどあっちはギスギスしてそうよねぇ〜。」



「ふふふ、こっちの担当で本当良かったわ。」



「ね、皆良い人ばっかりだし、皆一緒だしね。」



「本当にね、私も本当こっちで良かったわ。」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ