面倒事には足が生えている
えー、
何かもう既に色々面倒くさい〜。
こんな小さな子まで巻き込んでまでする事なの?
何だ今の、キッチンメイドの人達と仲良くするなよっていう牽制?
優しいフリして忠告して、相手に悪印象持たせて分断させて、自分達の仲間を増やして相手に味方を増やさないぞ的な感じ?
年齢も多分ここじゃ一番年下だろうし、何か軽くマウント取られてるし、あの人の望む通りにハウスメイドの輪の中に入った所で確実に立場1番下だよね。
可愛がられる末っ子ポジなら有難い話だけど、絶対アレ違うよね。
何ならパシリとかにされるポジだよね。
え〜、もう本当に面倒〜。
私を巻き込まないでくれ〜。
どうしたらなんて悶々としていると、今度は大きめのキャップを被ったメイドさんその3が歩いてくる。
あぁ、どうしてこう次から次へと……。
「あら、貴方ここに居たのね。早くしないとメイド達のイレブンジズが終わっちゃうわよ?そろそろ掃除道具片付けて、休憩室に来たら?お菓子無くなっちゃうわよ?」
「え、分かりました。すぐ片付けます。」
イレブンジズって何だろう。休憩時間かな。
知らせに来てくれたメイドさんに掃除道具の片付けを早くしろと急かされ、1人で片付けて一緒に休憩室に向かう。
「イレブンジズって何ですか?」
「あら、この仕事初めて?イレブンジズって言うのは、午前11時になったらする休憩の事よ。奥様にもイレブンジズのお茶をお出ししなきゃならないし、この屋敷ではメイド達は少し早い30分前にするの。」
「へぇ、大変なんですね。」
「って言っても私達は奥様付きじゃないし、11時ぴったりでしてもいいんだけどね。」
「そうなんですか。」
「でも早くしないと、ハウスメイドの奴らにお菓子取られちゃうから。あいつら、前に遅く来たらほとんど食べて行っちゃったのよ。信じられる?貴重な休憩時間が私達の唯一の楽しみだってのに!」
「へぇ、大変なんですね。」
「こんな事なら、公爵家なんて来るんじゃなかったわ……。人手が少な過ぎて仕事内容は多いし、公爵様は我関せずって感じで遊び呆けてるし、奥様も怒ってるか遊んでるかのどっちかだし。」
「へぇ、大変なんですね。」
「そうなのよ!しかもここ、他と比べると私達の給料随分と安いのよ?公爵家のメイドだったら箔が付くと思ったけど、こんな事なら止めれば良かった。」
「それは大変ですね。」
「私が来た時もね、長年務めているような人が少ないから、引き継ぎも上手く出来てなくて。やり方も分からないのにやらされて、それで出来てなきゃ当然怒られるし。出来てても気分によってはメイド長や奥様、料理長に怒られるのよ?本当にやってらんない!」
「あぁ、それは大変でしたね。」
「まったく、嫌になるでしょ?今日のお菓子はビスケットなんだけどね、それさえもあいつらは自分の分以外も取ろうとするんだから、卑しいったらありゃしないわ。」
「アハハ。」
「ほら、早くしないと。」
そんな事を話してるうちに休憩室に着く。
中では何人かのメイドさん達が思い思いの事をしていた。
使い込まれた大きなテーブルには、まだたくさんのビスケットがお皿に盛られている。
よしよし、まだビスケットは残ってるな。
カロリー大事。
メイドさんに教えて貰いながら、メイド達が使っていい茶葉で紅茶を入れる。
ビスケットは、薄くて小さめなビスケットに白いクリームのような物が薄〜く挟まれていて、1人2つ。
す、少ない……。
まだまだ小さくて成長期なんだし、もっと食べさせて欲しい……。
とは言え、まだまだ初日だ。
まだまだ私は下っ端だし、仲良くなっていけばもう少し貰える様になるかもしれない。
焦らずゆっくり、じっくりと!
イレブンジズというのは労働者階級の者達の休憩時間ですが、使用人たちが休憩を取るというのに、立場が上である自分達が取らないのは可笑しいという感じで、奥様は必ずイレブンジズをしています。
ちなみにこの世界の貴族はイレブンジズをしたりしなかったり、どちらでも良い感じです。




