↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メスガキラー  作者: わっか
第二部 ベアリィ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/118

第27話 暴行

 「やめてっ! ――あがっ!」


 佳奈(かな)の制止の声を聞く間(ま)もなく、ゴリラのぬいぐるみはさらに一発、佳奈(かな)を殴った。


 「全く、佳奈(かな)ちゃんが匂(にお)いを嗅ぎ分けられるって言うから、お願いしたのに。

 全然ダメじゃない」


 「うぐっ……、ほんとに違いや距離まで分かるの! でも、まだ力に慣れていなくて、上手(うま)く識別(しきべつ)出来ないだけ……」


 再び、ゴリラのぬいぐるみは佳奈(かな)を殴った。


 「ぐぁはっ!」


 佳奈(かな)は腹を抱(かか)えたまま横たわってしまう。


 「それが使い物にならないって言ってるの。

 また、あの“クマの人”に邪魔されちゃ面倒だから先手を打とうとしたのに、期待した私が馬鹿だった。

 これはお仕置きが必要かな……、“暴君(ぼうくん)”っ!」


 らむねの掛け声で、“暴君”と呼ばれるゴリラのぬいぐるみが指を鳴らす仕草をしながら、佳奈(かな)に近づいていく。


 「やっ……、やめてぇっ! 止(や)めて下さい! ほんとに痛いの!」


 らむねは暗い目をして言った。


 「私もあなたのお姉さんに同じ事を言ったわ。でも、中倏(なかじょう)さんは止(や)めてはくれなかった」


 らむねは冷たい口調で続けた。


 「それどころか四条(しじょう)さん達に命令してね、一人に付き五発殴るって言うの。

 殴られている最中声を上げる度に、さらに五発増やすと言ってね……。

 私は叫びたくなるような痛みを、声を押し殺して耐えたわ。

 でも、終わったと思って気が緩(ゆる)んだ私の脛(すね)を誰かに蹴られてね、

 私は声を出してしまった。

 そしたら、中倏(なかじょう)さんは五発増やすと言った。

 私は耐えきったのにどうしてと訊くと、蹴らないとは言ってないと答えた。

 結局、その後(あと)も中倏(なかじょう)さん達が満足するまで、難癖(なんくせ)を付けては何度も殴られたわ……酷いよね」


 「……」


 “暴君”は佳奈(かな)を殴った。


 「ぐあはぁっ!」


 佳奈(かな)は悲痛な声を上げる。


 「ねぇ、聞いてる? 佳奈(かな)ちゃんに話してるんだよ?

 ……まあいいや。

 という訳で、今から“暴君”が五発殴るから耐えてね。声を上げる度に、さらに五発殴るから」


 「うぐぅ……、何のために……」


 「お仕置きだって言ったでしょ? 言う通りに出来ない佳奈(かな)ちゃんが悪いんだよ?」


 “暴君”がさらに近づくと、佳奈(かな)は観念して口を両手で塞(ふさ)ぎ、身構えた。


 「いーちっ、にーいっ――」


 らむねの掛け声と共に“暴君”は佳奈(かな)を殴りつける。


 「んん~~っ!? ん~~っ!!」


 佳奈(かな)は声を押し殺して耐える。


 「――ご~おっ」


 最後は強めの一撃であったが、佳奈(かな)は耐えきった。


 「ふうぅー……っ! ふうぅー……っ!」


 いつ声を出しても良いのかタイミングが分からず、佳奈(かな)は口を塞いだまま鼻息を荒くして呼吸を整えようとしていた。


 すると、“暴君”は佳奈(かな)の脛(すね)を蹴る。


 「んああっ!?」


 その不意打ちに、佳奈(かな)を声を上げてしまう。


 「はい……声、出しちゃったね。それじゃあ、あと五発ね」


 「なんでっ!? 殴られている間(あいだ)はちゃんと耐えたでしょ!?」


 「殴る間(あいだ)だけなんて言ってないもの。ほらっ」


 らむねが言い終わると同時に、“暴君”は佳奈(かな)を殴りつけた。


 「がはぁっ!」


 今度は身構えていなかったせいで、その痛みから佳奈(かな)は悲鳴を上げる。


 「はい。さらに五発追加、あと九発ね」


 「あぁっ! あがっ……、がはっ……あぐっ!」


 その後、悲鳴を上げ続ける佳奈(かな)だったが、らむねはそれ以上殴る回数を増やす事はせず、ただ口元に手を添えてクスクスと笑っていた。


 そうして、“暴君”は追加の十発を殴りきった。


 「さて、私はそろそろ仕返しに行くから。佳奈(かな)ちゃんは今度こそ“クマの人”を探し出しておいてね」


 「うぅっ……あがっ……」


 佳奈(かな)は横たわったまま、殴られた腹を抱え、時より体が痙攣(けいれん)していた。


 「大袈裟(おおげさ)だなぁ……、その姿なんだから大(たい)して痛くないでしょ。

 ほんとに使い物にならなくなったら、動けるようにしておく意味が無いんだから」


 佳奈(かな)を放置し、らむねはその場から離れていく。

 少し遠ざかったところで立ち止まり振り返ると、“暴君”が佳奈(かな)へ近づき、殴りつけた。


 「がはぁっ! ……何っ!?」


 「この空間佳奈(かな)ちゃんが開いたんだから、さっさと閉じてよ。

 私が出られないでしょ」


 「今、探せって……」


 「仕返しに行くって言ったでしょ? そのくらい分かってよ……」


 「ごっ、ごめんなさい……」


 ゾーンが閉じられ立ち去ろうとした時、再び佳奈(かな)の方へ振り返ると、らむねは冷たい口調で言った。


 「いい? 裏切ったり、おかしな真似(まね)をしたら、お姉さんを二度と歩けない体にしてやるから」


 「――ひっ! ……やります! ちゃんとやるからっ!」


 佳奈(かな)の言葉を聞き終えることなく、らむねは姿を消した。


 佳奈(かな)はその場に手をつき跪(ひざまず)く。


 「うぐっ……うっ……お姉ちゃん……」


 その瞳から涙が零(こぼ)れた。


 「誰か……、助けて……」


よろしければ、ブックマーク・評価をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。