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メスガキラー  作者: わっか
傀儡女編

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第108話 螺旋

 花子はなこは三体の傀儡女へ目を通す。


 (……見たところ、右の“四つ足”は俊敏型、正面の“装甲”は防御型、左の“巨手きょしゅ”は攻撃型のようだ。


 ……ならば、相性的には今の割り当てで問題はない)


 「……全員、正面の傀儡女は任せた」


 「ええ」


 「了解だよ」


 弥兎(みう)真奈美(まなみ)は“四足しそくの傀儡女”、花子(はなこ)董華とうかは“加護の傀儡女”、夏樹(なつき)とひなたは“大手おおでの傀儡女”を相手にすることになる。


 チェーンソーの刃は高速回転を始め、三体の傀儡女は各憑依体へ向かい出した。


 “四足しそくの傀儡女”の四本の脚は膝から逆関節に曲がり、腰から下は馬と変わりない。


 ゆっくりと前進してくる相手を前に、弥兎(みう)は考えを巡らせた。


 (坊主頭の剣くらいなら斬りつけられてもスパイラル・アームで耐えられただろうけど、あのチェーンソーは無理でしょうね……。


 何より、前みたいに切断されるのはごめんよ)


 弥兎(みう)(りき)みながら、憑依体の腕を構える。


 (螺旋らせん状に巻いているスパイラル・アームは伸ばしきっている状態のせいで、これ以上能力による“腕の伸ばし”は出来ない。


 通常時より腕が長くなってはいるけど、威力と耐久力の増加の代わりに伸長が封じられてしまうのが難点だ……)


 身構えていると、“四足しそくの傀儡女”は走り出した。


 地面の土と砂利を後方に巻き上げながら二人との距離を急激に詰め、チェーンソーを大きく振りかぶる。


 「ひぃっ!?」


 真奈美(まなみ)は一瞬で方向転換をして回避し、弥兎(みう)は後方へ飛び退()いてから素早く無数の斬撃を放つ。


 「はあぁぁーっ!」


 “四足しそくの傀儡女”は直ぐ様走り出し一気に加速すると、左右へ動き回りながら弥兎(みう)の攻撃を躱す。


 そのままチェーンソーを構え、弥兎(みう)へ向かってきた。


 「んっ!」


 弥兎(みう)は再び距離を取って斬撃を放つも、方向を変えながら走り続ける“四足しそくの傀儡女”を捉えられず当てることが出来ない。


 「くそっ!」


 連続して素早い斬撃を放つ弥兎(みう)のラッシュ攻撃は、命中させれば抵抗させずに大きなダメージを与えられるが、回避性能に(すぐ)れた俊敏型相手には有効ではなかった。


 “四足しそくの傀儡女”が躱しながら弥兎(みう)へ再度接近し攻撃を仕掛けた時、真奈美(まなみ)あいだに入り先に攻撃を繰り出す。


 「独楽(こま)切りっス!」


 片足を軸に独楽(こま)のように回り、体の回転に合わせて掴んでいる六本のナイフも高速回転させる。


 “四足しそくの傀儡女”の下半身を何度も斬りつけるものの、傷付けるだけで切断することは出来ない。


 “四足しそくの傀儡女”は逃げることもせず、その場で真奈美(まなみ)へ向けてチェーンソーを振り下ろした。


 「ひぃっ!」


 真奈美(まなみ)は回転を()めて自分で掴んでいる二本のナイフでチェーンソーを受け止める。

だが、みるみる内に接触している刃の部分は削れていった。


 「ちょおっ!?」


 「ハム子っ! 退()いて!」


 「……」


 “四足しそくの傀儡女”は正面で構えている弥兎(みう)へ目をやると、前足で真奈美(まなみ)を蹴り跳ばした。


 「あいたっ!」


 そのまま前足で着地しながら体をひねり、後ろ足で弥兎(みう)も蹴り跳ばす。


 「ぐはっ!」


 二人は転倒せずに何とか体勢を立て直すも、“四足しそくの傀儡女”はその場から走り出して二人から距離を取った。


 (アイツ……スパイラル・アームが傀儡子に効いていたのを見て、自分にも有効だと分かっているから私の攻撃はしっかり躱していく……!


 やはり、今までのキラードールよりも判断能力が高い)


 「ハム子、平気?」


 「はい……」


 真奈美(まなみ)は返事をしながら刃が大きく欠けてしまったナイフを捨て、新たに二本のナイフを生成する。


 「しかし……自分の攻撃では、まるで歯が立たないっス……」


 「遠心投げナイフなら効くかもしれないけど、ここは私がやるわ」


 (ラッシュが駄目でも、スパイラル・アームで強化された“螺旋刺打撃(らせんしだげき)”なら……一撃で大きなダメージを与えられるはずだ)


 「ハム子、ヤツの注意を引ける? その隙に私が仕掛ける」


 「(おとり)なら任せてください!」


 (危険ではあるけど、この中で最も回避性能が高いハム子ならこなせるはずだ)


 「頼んだわよ! ハム子!」


 「うっス!」


 真奈美(まなみ)が“四足しそくの傀儡女”へ向かっていくと、弥兎(みう)は腰を落として憑依体の右腕を縮め始める。


 ((かた)っ!?)


 通常の刺打撃より遥かに腕力を要求され、弥兎(みう)は思い切り(りき)みながら腕を縮めていくと、憑依体の右腕はギチギチと音を立てながら短くなっていった。


 真奈美(まなみ)は“四足しそくの傀儡女”に接近し、周囲をちょこまかと動き回る。


 何度も振るわれるチェーンソーを躱しながら斬りつけ続ける行為は、効果が弱くとも注意を引きつけるだけで意味はあった。


 そんな中、自身の周りでヒットアンドアウェイを繰り返す真奈美(まなみ)を“四足しそくの傀儡女”は目をギョロギョロと動かしながら観察し、振りかぶろうと右腕を構える。


 そして、真奈美(まなみ)が正面へ来たタイミングでチェーンソーを足元の地面へ突き刺した。


 すると、土と砂利は水道管が破裂した際の水のように巻き上がり、真奈美まなみを直撃する。


 「ちょおっ!? ぶっ、ぺっぺっ!」


 顔は勿論、服の中にまで土と砂利が掛かりながら視界を(ふさ)ぎ、真奈美(まなみ)の動きが止まった瞬間を見逃さず、“四足しそくの傀儡女”は左手で憑依体の頭部を鷲掴みにしてきた。


 「あっ!?」


 「ハム子っ!」


 “四足しそくの傀儡女”は真奈美(まなみ)を仰向けに倒すと、前足で彼女の腹を踏みつけ、チェーンソーを垂直に構える。


 「ひぃっ!」


 (まずいっ……!)


 「はあっ!」


 弥兎みうは即座に螺旋刺打撃を放ったが、焦ったせいで打ち込む際に芯を外し、攻撃は右上方向へ大きくれる。


 (外した……!)


 伸びた腕は一瞬で元の構えの位置まで戻ったが、“四足しそくの傀儡女”の攻撃を防ぐには間に合わない。


 (ハム子っ!)


 「ん……!」


 チェーンソーが迫り、真奈美(まなみ)が目をつむって顔を伏せようとした瞬間――頭に被るハム蔵の頭部の口元から、刃物になっている大きく長い二本の前歯が生え出した。


 真奈美(まなみ)の腹部付近までの長さがある前歯がチェーンソーの攻撃を防ぎ、前歯は削られることなく彼女を守る。


 「こっ……これは!」


 (あれは……ハム蔵の刃物の前歯。キラー・スタッフト・トイの時は特徴的だったけど、憑依体の時には無くなっていた。


 さっきまでハム子達がベニアサブクロを倒してくれていたけど、その時の魔力回収によって使えるようになれたのか?)


 しかし、仰向けの状態で押さえつけられている真奈美(まなみ)が危険な状況であることには変わりなく、防ぐのに成功したこのチャンスを弥兎みうは逃さなかった。


 (より正確に狙う必要があるなら……はっ!)


 弥兎みうは口に咥えているロリポップを自分の左手で持つ。


 腰を落としたまま、左腕を真っすぐ伸ばし横向きに持ったロリポップの飴玉を照準器代わりにして“四足しそくの傀儡女”に狙いを定めた。


 (さっきは放って伸びた瞬間の衝撃で軸が微妙にずれた。

 今度はそれを想定してぶれないようにすれば……)


 次は外さないという決心の元、弥兎みうは“四足しそくの傀儡女”へ言い放つ。


 「くらえっ! スパイラル――!」


 「……!」


 「――ストレートぉぉっ!」


 目にも止まらぬ速さで螺旋刺打撃が放たれた瞬間、“四足しそくの傀儡女”の下半身はバラバラになって吹き飛び、放たれた憑依体の右腕は一瞬にして伸縮した状態で構えの位置まで戻ったのであった――。





 一方――迫りくる“大手おおでの傀儡女”が持つチェーンソーに対し、夏樹(なつき) は警戒を強めていた。


 (初めてベニアサブクロと戦った時、ひなちゃんは鉄パイプの攻撃を大きな綿玉になって防げてたから……打撃なら問題無し。


 だけど、あのチェーンソーはヤバそう……。

 あーしがちゃんと防がないと、取り返しのつかないことになっちゃう)


 「ひなちゃん! チェーンソーの攻撃はあーしが受けるから、側を離れないでね!」


 「うっ、うん」


 そうこうしていると、“大手おおでの傀儡女”は長い腕の先の巨大な左手を前方の地面につけ、棒高跳びのように左腕を軸にして一気に夏樹(なつき)とひなたの前まで跳んだ。


 落下する勢いを利用して右腕のチェーンソーを夏樹(なつき)目掛けて振り下ろす。


 「よおっ!」


 夏樹(なつき)は球体になり後方へ転がりながら躱すと、直ぐさま通常形態へ戻りながら前へ跳び、突き攻撃を繰り出す。


 「はあっ!」


 直撃する前に“大手おおでの傀儡女”は巨大な手で握り拳をつくり、向かってきた夏樹(なつき)を殴り付けた。


 「どわぁっ!」


 全身の装甲がダメージを軽減してくれてはいたが、夏樹(なつき)は体勢を崩す。


 彼女が(ひる)んだ隙に“大手おおでの傀儡女”は攻撃対象をひなたへ切り替えチェーンソーを振り上げる。


 「えいっ!」


 ひなたは自分の正面に綿の壁を生成し、内部には横方向へ針を無数に生やすことで強度を高めた。


 しかし、縦に振り下ろされたチェーンソーは綿の壁をあっという間に切断してしまう。


 「ふえっ!?」


 障害を排除した“大手おおでの傀儡女”は右腕を後ろへ伸ばし、ひなた目掛けて勢いをつけたチェーンソーを横振りする。


 「ちょい待ちっ!」


 あいだに入った夏樹(なつき)は、振られたチェーンソーを両腕の盾で受け止めた。


 右手が防がれたため、“大手おおでの傀儡女”は()ぐさま巨大な左手を使い、ひなたへ殴打を放つ。


 「わあっ!?」


 ひなたは咄嗟(とっさ)に自分を抱きしめて綿を生成し大きな綿玉となったが、同時に殴打が直撃した。


 「わぁぁ~っ!」


 「ひなちゃん!」


 殴り飛ばされたひなたは転がっていき、チェーンソーを押さえ込んで身動きが取れない夏樹(なつき)へ向けて、“大手おおでの傀儡女”は今一度拳を構えた。


 「ほっ!」


 夏樹(なつき)はチェーンソーを押し退けてから球体化して衝撃に耐えようとしたが、“大手おおでの傀儡女”は殴らずに拳を広げて球体を握り、地面に押さえつけた。


 「えっ!?」


 “大手おおでの傀儡女”が握ったまま指を広げると装甲同士を強引に開き、隙間から内部の夏樹(なつき)を睨み付ける。


 「夏樹(なつき)ちゃんっ!」


 体勢を立て直したひなたは足元に綿を積み重ね、急いで飛行機雲のように飛んでいく。


 「え~い!」


 空いた装甲の隙間からチェーンソーを差し込まれ兼ねないため、ひなたは空中から綿を放ち“大手おおでの傀儡女”の左手を綿で覆った。


 「やぁ~っ!」


 手の甲へ向けて無数の針を突き立て、“大手おおでの傀儡女”が一瞬力を緩めた隙に夏樹(なつき)は転がりながら脱出する。


 「え~いっ!」


 着地したひなたは透かさず両腕の先から大量の綿を出し、“大手おおでの傀儡女”を大きな綿玉で覆う。


 「どりゃあぁーっ!」


 いで通常形態に戻った夏樹(なつき)が両手で突き攻撃を食らわせると、“大手おおでの傀儡女”は転がりながら森側へ後退させられた。


 「やあぁ~っ!」


 さらにひなたが両腕を振り下ろすと、無数の針が内側へ向け抜き差しを繰り返す。


 しかし一本一本の針では貫くことが出来ず、鬱陶うっとうしそうにしながら“大手おおでの傀儡女”は自身にまとわりつく綿をチェーンソーと巨大な左手で剥がし始めるのであった。


 相手と距離を置けたところでひなたが呼吸を整えていると、夏樹なつきが声を掛ける。


 「ひなちゃん、ごめんね」


 「ふえっ? 何のこと?」


 「あーし……ひなちゃんを危ない目に遭わせたくないって思っちゃっててさ。


 無茶させられないから、任せられないって考えちゃってた」


 「夏樹なつきちゃん……」


 「だけど、ウサちゃんが言ってた通りだね……あーしもひなちゃんに助けられた。


 ひなちゃんだってドール・ゲームを生き抜いてる強い子なんだから、あの子に勝つためにも協力し合わなきゃだよね。


 だから、あーし……ひなちゃんをちゃんと頼る!


 あーしが突っ込むから援護をお願い。それから、あーしが側に居なくても自分を守り抜いて!

 ひなちゃんなら出来るって信じるから!」


 「夏樹なつきちゃん……うん! 大丈夫だよぉ。

 初めて憑依体になった時から、私は守られるだけなのは卒業したから!」


 夏樹なつきはひなたを見ながら頷き、自分の上腕へ手を回す。


 「これ使って!」


 夏樹なつきは両腕に備わる縦長の盾を外し、ひなたへ渡した。


 「夏樹なつきちゃん!? そんなことしたら能力を使えなくなっちゃうんじゃ!?」


 「心配しないで。あーしの球体化は固有能力で出来ることの一つに過ぎないから」


 「ふへ?」


 口を動かしながら、夏樹なつきは手早く球体化の際に側面に当たる装甲を腰や脚から外して腕周りに取り付けていく。


 「あーしは……装甲同士を繋げることが出来るんだよ!」


 複数の装甲を連結させ、夏樹(なつき)は上腕を覆う装甲のアームカバーを左右の腕に作り出した。


 (これだと防御範囲は落ちるし、丸くなれない以上完全防御も出来なくなるけど……。

 自分だけを守っていたんじゃ――大切な人は守れないから!)


 「お~し……」


 夏樹なつきは今までと同様に球体化の動作を行う。


 しかし、側面の装甲が不足しているため丸くなることはなく、内部に居る本体が丸見えなタイヤ状態となり、転倒しないように両腕のくいで体を支えた。


 (この状態で能力を使ったことはないけど、お願い……上手くいって!)


 夏樹なつきが魔力を消費して特殊能力を発動すると、憑依体は高速で縦回転を起こし、バーンアウト状態となる。


 「やった!」


 夏樹なつきは高速回転しながら、全ての綿を振り払った“大手おおでの傀儡女”を捉える。


 彼女の憑依体は回転中、契約者が酔うことも方向感覚を失うこともなかった。


 ひなたは盾が落ちないようにするため、何本もの針を交差するように生やすことで両腕に固定させる。


 「お~しっ! 突撃だしぃ~!」


 タイヤ化した夏樹なつきがスピードを上げて向かって行くと、“大手おおでの傀儡女”はチェーンソーを振り上げて身構える。


 (今度の“突き”はさっきまでとは別物だよ……!)


 夏樹なつきは“大手おおでの傀儡女”に接近した直後にタイヤ化を解除し、地面を滑りながらスピードを乗せて右手で突き攻撃を繰り出そうとする。


 そんな彼女に“大手おおでの傀儡女”がチェーンソーを振り下ろすが、左腕の装甲のアームカバーで防ぎ攻撃を通した。


 「“加速突き”だしぃー!」


 加速によって威力の増した突き攻撃が直撃すると、“大手おおでの傀儡女”の体にはひびが入る。


 体勢を崩しそうになるも、“大手おおでの傀儡女”はなんとか踏みとどまり、夏樹なつきへ向けて殴打を放った。


 「よおっ!」


 だが即座にタイヤ化してバック走行を行った夏樹なつきに躱され、彼女はドリフトしながら側面へ回り、再度加速突きを命中させる。


 「どっせぇぇ~いっ!」


 手を着いた“大手おおでの傀儡女”が正面を見据えると、一人になっているひなたを捉える。


 走り出してから左手を着いて棒高跳びのように跳び、彼女の目の前に着地しながらチェーンソーを振るう。


 「んんっ!」


 ひなたは夏樹なつきの盾でこれを防ぎ、入道雲のように真上へ飛ぶと、後ろからはタイヤ化した夏樹なつきが急接近していた。


 「背中がお留守だしぃ~!」


 両腕の加速突きによって“大手おおでの傀儡女”が転倒すると、バック走行で距離を取った夏樹なつきの隣へひなたが着地する。


 「夏樹なつきちゃん、今度は私が力を渡すね」


 そう言うと、ひなたは夏樹なつきの両腕に綿を付着させた。


 「これは?」


 「今の私が出せる一番強力な攻撃は、複数の針で作る大針なんだぁ。

 これに夏樹なつきちゃんの加速を加えれば……きっと!」


 「うん……! オッケー、ひなちゃん!」


 案を理解した夏樹なつきは、タイヤ化してさらに距離を取る。


 ひなたは飛行機雲のように飛んでいき、起き上がった“大手おおでの傀儡女”の周囲を飛び回った。


 ひなたが注意を引いているうちに十分な加速距離を取った夏樹なつきは、全身を高速回転させて突っ込んでいく。


 「うおおぉぉぉーっ!」


 夏樹なつきの接近を確認したひなたは、“大手おおでの傀儡女”の攻撃を躱しながら高く飛んで退避する。


 ひなたが離れ、向かってくる夏樹なつきに“大手おおでの傀儡女”が気付いた瞬間――ひなたは針を生成した。


 「え~いっ!」


 タイヤ化を解除し勢いよく地面を滑っていく夏樹なつきの両腕の綿からは、先端を合わせてたばになった無数の針が1本の巨大な針を形作る。


 両腕の巨大な針を“大手おおでの傀儡女”目掛けて突っ込んでいきながら、夏樹なつきは声を上げる。


 「かますよぉ! ひなちゃんのお墨付き――」


 「……!」


 「“大針おおばり加速突き”ぃぃっ!」


 夏樹なつきとひなたの合体技を受け、“大手おおでの傀儡女”の全身はバラバラになって吹き飛んだ。

次回へ続く。

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