序章、第1章
僕は周りを見た。そこには兵士たちが死に物狂いで機関銃をバッバッバッとばらまいていた。もう…慣れてしまったが、そのけたたましい音とともに数えきれないほどの人が死んでいく。
これが戦争なのだ
「青春戦争記」
第一章
2030年3月20日、僕は両親に別れを告げ、戦いの中に身を置くことを決心した。家からバスで2時間ほど市街を通り、船に乗った。船は10日ほど海の上をほどよい速さで航行し、ようやく、山海諸島についた。
初めて、海新島の土の上に立った僕はその市街地の様子、街並み、すべてに驚いた。それらはすべて20世紀初頭のヨーロッパにそっくりだったのだ。車などは90年代のスパイものに出てきそうなしゃれたものばかりであった。
一行はそのあとこれまたレトロな雰囲気を出すバスに乗り、市街地の中心部にある学校を目指した。バスの乗り心地はすこぶる悪かったが、窓の外側に見える景色を見ているとそんなことどうでもよくなった。
学校につくと、簡易的な入学式があり、クラス分けが発表された。A組だった。早速A組の教室に入り、自分の席に座り、皆も同じように座った。
教師がやってきて自己紹介を終えると、
「次はみんなに自己紹介をしてもらいます」
と言い、出席番号の若い人から始めることになった。
「姉山太郎です。特技はー、、、、」
と出席番号一番の人の自己紹介の裏で僕は一生懸命考えていた。が、
やばい…
とにかく時間がない。なぜなら僕、池の出席番号は2番だからだ。
ということです。これからよろしくお願いします」
終わってしまった。
少しよたよたしながら立った。
「池田です…よろしくお願いします。特技は…あまり_ないです…」
座った。怖かった。皆の視線が
体の首筋から背中にかけてこれまで経験したことのない冷たい「なにか」が走った。
「うちの名前は梅田蒼や!特技は運動や!仲良うしよな」
すごい関西弁なまりだなと思っていたが、一瞬その子と目が合った。梅田はにっこりと僕に微笑みかけるが、僕はすぐに目をそらしてしまった。
しばらくして、クラス全員の自己紹介が終わり、15分の休み時間となった。休み時間中特にやることもなかった僕は、皆が話し合っているのを横目に窓の外をぼーっと見ているとひとり僕の目の前に立った。
「やっほー池田君元気にしている?」
女子だ。さらに僕はこういう人が苦手だ。
「まだここにきてから1日もたってないからあまり元気ではないけど…」
「君のこと、これから池って呼んでいいい?」
「べつに…いいけど」
僕はその場を立ち去ろうとしたその時、話しかけてきた女子はなんと、大胆にも机に手を当て、僕を押し倒した。僕は初めて話しかけた女子の顔を見た。かわいかった。
「君は…そういう人なんだね」
彼女はそう耳元でささやくと、僕に微笑みかけ、
「私の名前は川根 桜 桜って呼んでね」
といい姿を消した。去っていく桜の姿を見ると、どことなく寂しかった。
休み時間も終わり、初めの授業はこの島々の時事についてのものだった。
この諸島には9つの国とその国家に属する9つの学校があり、それぞれが国家に属する機関となっている。そのなかでも、僕の所属する学校のある国、ドクトは全体主義国家であり、隣国テネスとの関係が悪化の一途をたどっている。さらにテネスは同盟国から孤立していて、不安定だ。もう一つの隣国、モルクでは革命が発生し、立派な社会主義国家に急速に発展した。最後に、僕たちは3か月後に初めての戦争をしなければならない。対象はテネス。僕たちはそれまでに軍を整備し、来るべき戦争に備えなければならない。
ここまでの説明を先生は100分ほどかけ、じっくりとおしえてくれた。
学校が終わると、ある人は宿舎に、あるものは新たに家を探しに行った。というもの自炊や生活能力がある人は一人暮らしを選択できるのであった。そして、僕は自炊ができ、集団生活が嫌いだった。その結果、夜中まで不動産屋で悩んだ結果セント川のほとりに立つマンション(これまたレトロな雰囲気な)の5階の一室っを借りることにした。家賃は7千ルク。ちなみにルクはこの国の通貨で1ルクだいたい10円ほどの感覚だ。新しい我が家のカギをもってドアの前に立った時にはとっくに日も暮れ、もう少しで日も変わってしまうというありさまだった。家のカギをガチャガチャと開け我が家に入った。2kの部屋を借りたのだが少し後悔した。 広すぎた… しかし、窓の外から見えるセント川と美しいドクトの街並みを見るとそんなことどうでもよくなり、僕はくつろぎ始めた。
ー第一章完
初投稿です。