廃れた小屋と弓矢と
「ゲホゲホ。ほこりがやばい。」
俺はむせながら掃除をしている。今後ここに来ることも増えるだろうから、あの後みんなで話し合って缶詰めやら水やらを買い足して、ここを掃除している。
「なーなーちょっと子供っぽいけどこんなのどうだ?」
そういう医人は手に大きめの板を持っていて『秘密基地』と書かれていた。
「「かっけー!いいなそれ!」」
俺と弓は口をそろえてそう言った。
小屋の屋根には穴が開いていて仕方がないので今は段ボールをかぶせてある。ほかにも壁は穴だらけで、隙間風がヒューヒューと鳴っている。壁の穴はどうにもならないが。ひとまず雨はしのげる。きっと。しのげたらいいな。
ふと耳を澄ますと小屋の外で風を切るヒュウという音がした。外に出て周りを見渡すと弓を持った弓がいた。弓の100M 先の木には赤い印があり、そのちょうど中央の位置に矢が刺さっている。
「お疲れ様。」
そういって弓の汗を拭う硯と拭かれてる弓を見ていると、お似合いだなって思うのと同時に、俺も早く彼女ほしいなーって思う。
「すごかったなそれ」
俺はそう言って、木に刺さる矢を指さす。
「まあな、少々ずれたけどな。多分数センチくらい。」
「そこまで細かくやんのか。すげーな」
「そうか?意外に簡単だぞ。お前もやってみるか?」
「いや、俺はいいや。出来ないのが目に見えてる。」
「そーゆーもんなんか?」
「さーね、わからんけど自分にできない事は分かるだろ。なんか、直感的に。」
そのまま俺たちは少し小屋の修理をしたところで、日が暮れてきたため小屋の中央部にホームセンターで買った箱を置いた。その箱の中には、5人の人が映った写真が入っていて写真にはそれぞれの直筆で名前がしっかりと書いてあった。
*****
『久しぶりにガキっぽいことしたけどあれ楽しかったな。』
俺は医人に向けてメールを送っていた。携帯の電源を落とし部屋の電気を消した。空にはもう月が浮かんでいて星が輝いている。俺はベッドにあおむけで寝っ転がった。すると右手に持っている携帯が小刻みに震えた。医人からの返信か、そう思い画面を確認すると送り主のところに予想外の言葉が書いてあった。
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